あの男の後悔(400字の小説)
久しぶりに飲んだ酒の銘柄が、
俺の記憶を蘇らせる。それは、・・・
あの時、俺は若かった。
いや、子供だった。
大人達に煽てられ、担がれて、俺はその気になっていた。
役にも立たない家来を連れて
乗り込んだ所が、小さな島だった。
奴らが奪った財宝を奪い返しに
俺はこの島にやって来た
正義の旗を振りかざし
俺は奴らを退治した
逃げ惑う奴らを
俺は許す事なく殺した。
持ち帰った財宝を、俺は村の人達に分け与え
俺はヒーローにされていた。
ヒーローになった俺は傍若無人に振る舞った。
村人はそれを許したが
心では許してはいなかった。
時が経つにつれ俺は疎外され孤独となる。
今、冷静に振り返ってみると、
あの時、奴らを退治したのは正しかったのか?
子供の俺に退治される奴らが
他人の財宝を奪い取れるのか?
あの財宝は奴らの物なのかもしれない!
本当に奴らは悪者か?
俺のやった事は唯の強盗か?!
後悔の念が湧き上がる。
そう、私は「鬼殺し」
この酒の銘柄と同じだ!
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