Photo by papikocre 霊が撮れる例のカメラ(1) 7 ボーン 2023年7月29日 19:48 1私は35歳のサラリーマン。いつも9:00から17:00まで会社に勤務する。私は誰からも頼りにされない男。役にも立たない男。俗に言う「5時から男」そんな私でも夢がある。プロのカメラマンになるのだ!目指すは一流の売れっ子カメラマン。夢は大きく持つべきだ。だけど最近は、スランプ。人を感動させる写真が撮れない「これが私の実力か!」と、諦めの気持ちが湧いてきている。会社からの帰り道、見かけないカメラ屋が街の片隅にオープンしている。「面白そうだな。」と、独り言しか言えない孤独な、僕。店に入ってみると、何だか薄暗い。従業員は一人も居ない。「いらっしゃい」の声も無い。商品を見て見ると、古ぼけたカメラが並んでいる。……骨董品か?何だ?この店は。こんなカメラしか無いのか……と、思いつつも数台のカメラを触ってみた。「お客さん。何か気に入ったカメラ、あったかい?」と、ぶっきらぼうな声が掛かる。見ると、顎髭が白髪で髪の毛の色は茶髪。どう見ても不自然な組み合わせ。歳は60歳以上に見える。この店の店主であろうか?「何か古い機種ばかりですね。この店はカメラの骨董品屋さんですか?」と、遠慮無しに質問した「お客さん、そのカメラ骨董品に見えるかい?」と、上から目線で言ってくる。僕の言葉が気に触ったみたいだ。「新しくは、見えないです」と、遠慮がちにつぶやく様に言った。「そうかい、お客さん。面白い物見せてやろうか?」「面白い物ですか?ど、どんな物ですか。」と、言葉が泳いでいる。別に期待しているのでは無いのだが、何か卑猥な事を期待している僕だった。男は、ガラスのケース箱から一台の古そうなカメラを出してきた。最近のレジタルカメラではなくフイルム式のカメラである。「お客さん、このカメラは優れ物だよ。」と、嬉しいそうに私の顔を覗き込む……騙されてはいけないぞ!……と、僕は自分に言い聞かせて「どう優れているのですか?」と、怪訝そうに聞く。フフフと😆笑いを堪えるかの様に店主は言う。「これはな!」「うん、これは」と相槌を返した「これは、霊を撮れるカメラだ!世界にこれしか無い!」と、自信をもっているのか、真剣な眼差しである。そのカメラには「霊を写せるカメラ」と銘打たれたステッカーが貼ってある。……嘘くせい。こんな眉唾物信じられるか!……と、怒りに似た感情が湧いてくる。「嘘だと思っているだろう?私は嘘などつかない、正直者だ」と、目は真剣そのものだ。その真剣な眼差しに私は負けてしまう。「これってお幾らですか?高かったら買う事は出来ませんが。」と、買う意思を示してしまった。「これは、売りもんじゃねえよ。」と、訳の分からない事を言い出す。「売りもんじゃなかったら何なのですか?」「これは、心の綺麗な正直者しか写す事の出来ないカメラなのだっ、ぞ」と、何故か語尾に愛嬌を入れる言い方をした。店主の顔に似合っていない言い方だ。「じゃ、嘘つきはこのカメラでは写真が撮れないのですね。」「わかっているじゃねぇ〜か。そうだよ。正直者の心の綺麗な人しか写せねよ。」と、言葉が荒っぽい。「だったら、僕は無理です。正直者でも無いし、心も綺麗では無い」https://note.com/yagami12345/n/n03053c4ecc0a ダウンロード copy #言葉 #売れないKindle作家 #骨董品 #正直者 #コメディホラー小説 7 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート