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変身スーツのその後(最終回)(二分で読める小説)

二人は腕を組み、初めて会ったのに恋人同士を楽しんだ。
そして無事にホテルにチェックイン。
これで、後は写真を撮るだけで良い。
スマホを出そうとした時、
上司は、後ろか抱きついてきた。
それは飢えたオオカミが獲物に喰い付く様に似ている。
「ちょっと待って、焦らないで・・」
と言っても聞いてはいない。
私はスマホを取り出す間もなく、
上司にベッドに押し倒され
服を脱がされ、抵抗も出来ない。
ラム酒をかなり飲まされ酔っていたみたいだ。
そして全部服を脱がされた時、
驚きの声が聞こえた。

「何だお前は!!!」
私は裸になったのかと思ったが、服は着ていた。
そうだった、変身スーツを着ていたんだ!
それを脱がされた!

「おおおおお、おまえは吉田では無いか・・・・!」
と、驚く上司。

…しまった、正体がバレてしまった。
ここは開き直るしか無い……

「そうだ、俺は吉田だ。俺は何にでも変身出来る悪魔だ!
解るか?悪魔だ。おまえの日頃の行動は、
悪魔界で有名なのだ。
命が惜しかったら俺の言う事を聞け!」
私は、腹を振り絞る声で脅した。
彼は私を本当の悪魔と信じたみたいで、
私に土下座をして頭を床に擦り付けている。

哀れな奴と思ったが、ここは積年の恨みを放すとき
彼の後頭部を踏みつけて言った。
「これからは、部下にパワハラ、セクハラ絶対にするな!
もし今度同じ事したら、悪魔の大王がおまえの命を奪いにくるぞ」
と、渾身の力の入れた声で脅してやった。
「特に吉田は大事にしてやれ!」
と、念を押した。
彼は、震えが止まらないみたいだ。
見ると、失禁している。
哀れな男だ。
こんな男に私は虐められていたのかと思ったら
腹も立つが、上司が可哀想に思えた。
私は脱がされ服を拾い集めて、ホテルの部屋を後にした。
これで、恨みは果たせた。
あとは、上司が約束を守ってくれるかどうかだ。
あの怯え方だと、きっと反省しているだろう。
もう虐められる事は無いはずだ。
と、私は高をククっていた。
次の日、会社で上司に会う。

私は上司の目を睨みつける様に見てやった。
すると、上司が私を見て

「吉田君、昨日僕は変な夢をみたよ。
君が、女だったんだ。それに気づかないで、
僕は一緒に酒を飲んでいたんだが
君が急に元の吉田君に戻ったんだ。面白い夢だったよ」
と、肝心なところは何も言わない。
「で、課長その後はどうなりましたか?」
と、聞いてみた

「その後は全然覚えてないんだ。昨日は飲みすぎた。
ラム酒は口当たりが良いのだが、アルコール度は高いな〜
全く覚えてないんだ、ははは🤣」
と、笑っている。
…しまった、ラム酒にするんじゃ無かった、
ビールだったらよかったのか…
と、思ってみても後の祭り。
上司はあの事が何も無かったかの様に反省も無く
いまだに、私への虐めパワハラは止むこともなく
続けられている。
「全く、とほほだよ」(>人<;)

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