(再掲載)私は誰⁉️(15)私の好み(2分で読める小説)
結局、自分の事が分からないまま、時が過ぎた。
18時頃、妹が帰宅した。
買い物をしてきたみたいで、ビニール袋を持っている。
「冷蔵庫に何も無かったので、食材を買ってきた。」と言ってる。
今日はカレーにするみたいだ。
妹は、どの様な人物なのか興味がわいた。
料理が上手なのかも知れない。
でも、カレーは誰でも出来るか!
と、思いながら、気付かれないように、妹を観察していた。
楽しそうに料理をしてる。包丁の使い方も上手だ。
「ねえ、ケイコって、料理作るの、好き?」
と、聞いてみた。
「好きだけど、食べる方がもっと好き。
後は、カレーを煮込むだけ、、。
もうチョット待っててね。」
と言いって、僕の座っている、ソファーに腰を下ろした。
此のソファーは長椅子で三人ぐらいは座れる。
広げるとベッドにもなる。
妹は、テレビの電源をオンにした。
(花瓶に気付くだろうか?)と一瞬思ったが、
妹は何も気付いていない。
テレビのどの様な番組が、僕は好きだったのか?興味がわいた。
「僕って、どんな番組好きだった?」
妹は、びっくりしたのか、僕の顔ジーと見て言った。
「何が好きだった?と聞かれても、よく分からないけど、
お兄ちゃんと子供の頃観たのは、サスペンスドラマを観たわ。
歌番組も観たし、野球もボクシングも一緒に観たわ。」
「僕、どこの野球チームのファンだった?」
「ベースターズよ。昔からずーっとベースターズ。
それも、忘れてしまったの?信じられない。
あれだけ好きだったのに、本当に、、、。」
妹は悲しそうな顔をした。
これが演技だったら、相当な女優だ。
カレーのいい匂いがしてきた。
「僕は辛口が好きだった?、それとも甘口?どっちだった」
「お兄ちゃんは辛口だったよ。激辛では無いけど。
私も辛口が好き。甘いカレーって何!って感じよね。
だから、今日も辛口カレー買って来た」
「ご飯は、?」
「パックの物で、チンするだけでいいの。」
それから、二人で辛口カレーを食べた。
美味しかった。
妹に聞いてみた。
「いつまで、ここに居るの?」
妹は黙っている。何も言わない。
言えないのかもしれない。
暫くして、言った。
「お兄ちゃんの記憶が戻るまで、此処に居るよ。」
と、僕は複雑な気持ちだった。
妹の愛情?
それとも、誰かに雇われているの?
どっち何だろう??
信じる事が出来ない辛さ、お分かりになるでしょう。
一体、私は誰、妹は本当の妹なの?