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日本株増配株投資の実力 実際のところ儲かるの?

米国は株主還元への意識が高く、米国株には60年以上増配を続けている企業も存在します。それだけ稼げているのか、半ば意地になっているのかはともかく。

私は日本株中心に投資運用をしていますので、日本の増配株についてお話していきます。

日本で最長連続増配記録を持っているのは「花王」で33年です。以下、「SPK」25年、「三菱HCキャピタル」24年と続きます。


ところで連続増配株って儲かるのでしょうか。「花王」の場合は利回り2.5%~3%程度。ダンヤモンドzaiの連続増配株ランキングベスト20の銘柄を見ても、利回り1%未満から、一番高くても4%程度です。

短期で見たら、利回り4~6%の株には敵うわけがありません。

では長期で見たらどうでしょうか。


今回は連続増配年数日本一かつトイレタリーで日本最大手の「花王」を使って調べていきます。

尚、比較対象は6%高配当株と5%高配当株です。下記の株がそれに該当してきます。7%はちょっと狙うのがきつそうなので比較対象から外します。

(7%株):JT低株価時、株価暴落時の各株
6%株:JT、ソフトバンク、三井住友FGなどの通常時
5%株:住友商事やLIXILほか、通常時に散見される。

「花王」の過去10年配当金とその平均、その他情報は下記表のとおりです。
ちなみに増配を「額」ではなく「率」で行うと、複利が働いて将来の配当金が信じられないくらいの大金になるので配当平均を使用しています。
株価は執筆日のものを使用しています。


花王の配当データ

このデータを基に、以下の条件で20年分をシミュレーションしていきます。

<条件>
・シミュレーション銘柄は毎年平均増配額の分だけ増配する
・6%株と5%株の配当金額は毎年変わらないものとする
・投資資金は1百万円とし、100株以下の端数も計算する
・税金については勘案しない


結果は以下のようになりました。


花王の増配シミュレーション

5%株は20年で投資額1百万円を回収しました。
花王については20年の配当金合計が84万9,106円で5%株を下回っています。

配当金合計が小さくなる理由は二つあります。

①増配額が小さい場合
②株価が高く、取得株数が少ない場合

今回は②が原因と思われます。株価が高い(=利回りが低い)ため、1百万円で取得できる株数が少なく、結果として得られる配当金が少なくなったということです。

ちなみに5%を超えるための株価は約4,800円で利回り3.13%、下記のようになります。


花王株価4,800円時のシミュレーション

20年目の配当金累計額が5%運用時より18,750円高いです。


また6%運用に勝つためには株価4,050円、利回り3.7%の時です。


花王株価4,050円時のシミュレーション


ただし、これはあくまで花王が毎年8.89円(=9円)の増配を平均で続けた場合になります。直近3年の増配額は平均3円で、10年間の標準偏差も4.70。平均から標準偏差を引くと約4円になることから、厳しめに見る場合は増配平均4円で考えることになります。その場合は株価3,800円で5%に勝てますが、あまり現実的ではないので厳しめに見るのはやめておきます。

ということで、「花王」の場合は現在の株価では5%高配当株には20年の運用成績で負けることが分かりました。このように、連続増配株が必ずしも長期的に見て高配当株に勝てるわけではありません。高配当株も増配する可能性はありますし。

今後も色々な銘柄で20年間の運用シミュレーションを行っていきたいと思います。よろしければフォローいただけますと幸いです。

ショートカットキーは勿論、きれいな表の作り方など金融以外の業種でも使えるノウハウ本です。「お前、これで学んでおいてあの程度の表か!」とか言わないでください。

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