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NISAには裏がある?NISA・iDeCoができた理由の考察

小倉優子さんが「NISAは国が推してるから裏がある。だから私はやらない。」と発言したそうです。


まあ、あるでしょうね、裏。別に知ったこっちゃありませんが。

ではどんな裏があるでしょうか。私が考えるに二つの裏があります。


予想される理由の一つですが、「国が税収を増やすため」です。

「え、NISAって株に関する税金を非課税にする制度でしょ?矛盾してない?」

仰る通りです。一見すると矛盾してます。
その矛盾を解決する鍵が、政府の進める「貯蓄から投資へ」のスローガンです。

現在タンス預金も含めて日本人の多くは株式投資よりも銀行に預金したままで、資金を寝かせた状態にしています。ここでは個人の預金者のことを「家計」と呼ぶことにしますが、家計が資金を貯め込んでいても、何も生まないのです。この低金利ではせいぜい数十円の利息で、それに課税しても数円程度にしかなりません。こんな金額、政府はもらってもしょうがないです。

そこで政府はNISA制度を導入することによって、家計の資金を投資に向かわせようとしているのです。投資、すなわち企業に資金が回るようにしたいのですね。

資金が株式市場に流れ、株が買われるようになると、企業の株価が上昇します。すると企業の価値である時価総額が高くなり、信用が増します。
信用が増すと、

・優秀な人材が確保しやすくなったり
・金融機関から多くの資金を借りることができたり
・公募増資と言って、追加で株式を発行して資金調達したり
・経営陣の報酬が増えたり(経営陣は大体自社の株式を持っています)

といったメリットが生じます。

企業に資金が流れると、事業を拡大するために今度はその資金を使うようになります。
事業拡大がうまくいくと、企業が大きくなります。多くの利益も出ます。

さて、待ってましたとばかりに政府の登場です。

多くの利益を出した企業に対して、政府は税金を課します。
「法人税、住民税および事業税」で大雑把に35%くらい利益に掛かります。
その他企業の備品にかかる「償却資産税」や、事務所にかかる「事業所税」なんてのもあります。

つまり企業は家計の預金を企業に回すことで、企業から多くの税金を取ろうとしている訳ですね。だから家計が得をするNISA制度を作ったものと思います。

NISAが非課税と言っても金額に制限があります。例えば株の売買を頻繁に行うトレーダーにとっては、年間で使える非課税枠が小さすぎるのでNISAの恩恵は無いも同然です。専業トレーダーは普通に20.315%の税金が取られると思ってよいでしょう。NISAはあくまで家計部門で使うためのものなのです。


また2024年4月から、少額交際費の額が従来の5,000円から10,000円に増額となります。

ここからは税務に関する話なので、特に気にしなくてよいですが、ちょっと説明させてもらいます。

実は企業は接待などの交際費を税務上は基本的に費用として取り扱えません。会社の金で好き勝手飲み食いするのを経費として認めるのはどうなんだということですね。

例えば10万円の利益を出した企業があり、5万円の交際費を使ったとします。
会計上は10万円- 5万円 = 5万円の税引き前利益になり、これに約35%を掛けて17,500円が税金となるように思えます。

しかしこれは間違いです。税務上はこのような計算を行いません。先程述べたように、交際費は基本的に費用として認識されないからです。
よって10万円の利益から交際費は引かれず、10万円 × 35% = 35,000円の税金が引かれます。

ところが企業にとっては交際費も必要な経費に違いありません。サラリーマンの皆さんだって、行きたくもない飲み会に強引に連れていかれるでしょう。私も飲み会嫌いです。ただ取引先と良好な関係を築くためにも交際費は必要な経費なのです。

そこで救済策…というわけでもないでしょうが、「少額交際費」という制度が存在しています。これは、一人当たりの飲食費が5,000円以下である場合は全額費用として税額計算して良いとする制度です。

今回、この5,000円という金額が10,000円に上がります。つまり、一人当たり10,000円までの飲食ならば会社の費用として認められるようになります。

この上限引き上げの趣旨としては、「多くの人に外食してもらい、飲食業を活性化するため」としています。

で、これを私なりに悪意を持って書き換えると、「多くの人に外食してもらい、飲食業に資金が流れるようにするため」となります。

要するに、飲食業に多くの資金を流すことで、そこから税金を多く取ろうということです。

売上の要素を分解すると、

売上 = 単価 × 顧客数 × 回転数(リピーター)

となります。少額交際費上限引き上げで、この3つの要素が全て上昇することが見込める、すなわち税収が上がることが見込めるわけです。



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