台湾はなぜ「えん罪事件」再審の法制度をアップデートできたのか
オープンガバメントの進む台湾で見つけたもの
台湾の司法院(最高司法機関)のウェブサイトを見ていたら、日本統治時代の司法運営に関する資料が公開されていて、見覚えのある法服が!
日本統治下の台湾では1896年7月15日から、(当時日本が西洋に倣って採用していた)西洋式の法服が制服として着用されるようになったそうです。
台湾政府が推進するオープンガバメントの一環なのだと思いますが、他にもさまざまな資料が公開されています。
「市民と政府が同じデータを見て話し合うこと」が民主主義の基礎だというのは、オードリー・タンさんたちから教わったことです。
大正時代から一度も改正されていない、日本の再審制度関連法
日本では、袴田巌さんに無罪判決が言い渡されたことが大きなニュースになっています。
袴田さんは裁判のやり直しになんと40年以上もかかり、“世界で最も長い期間 拘置された死刑囚” だったそうですが、これは、大正時代から一度も改正されていない日本の再審制度関連法がネックになっているそうです。
これは、NHKのクローズアップ現代がウェブで公開している取材ノートで、とても詳しく、分かりやすく紹介されています。
裁判のやり直しを申請するためには、弁護側が“明らかに無罪であることを示す新たな証拠”を提出しなければならないのに、
その証拠は検察や警察側が保管され、弁護側はどんな証拠が存在するかのリストさえ知ることができないとのこと。
同じくNHKクローズアップ現代が、これに驚く台湾の冤罪証明NPO代表のコメントを取ってくださっていました。
「えん罪事件」再審の法制度をアップデートする台湾
それに対し、台湾では近年、冤罪事件に関心を寄せる市民たちの動きがうねりとなり、再審制度に関する法制度のアップデートが進んでいるそうです。
私はこれをポリタスTVで知り、簡単に検索してみると、日本の各メディアも台湾が再審制度を法改正でアップデートしてきたことをたくさん報じてくださっていました。
・『報道ヨミトキ FRIDAY #172|袴田事件再審裁判で無罪判決、自民総裁に石破茂元幹事長、立憲代表に野田佳彦元首相、能登豪雨で孤立集落が大量発生……|ゲスト:青木理、西愛礼(9/27)』
ゲストにイノセンス・プロジェクト・ジャパンにも参画されていらっしゃる元裁判官・現役弁護士の西愛礼さん が出演されている回です。
・日経新聞
『袴田さん無罪 再審へ法改正できた台湾、できない日本』
・朝日新聞はシリーズで連載にしてくださっています。
『廃死 台湾から死刑制度を考える』
日本で暮らしていると、「そんなに簡単にはアップデートできないだろう」と思いがちな法改正ですが、台湾では市民たちが声を上げ、連帯して行動し、自分たちの社会を動かしているのだと知り、大きな刺激を受けました。
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