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小学生からシニアまでが平和に参加。10万人規模となった台湾・民主デモの現場から(5/24)
前回のnote「日本のニュースが報じない、台湾で昨夜起こった3万人規模の民主デモの話」には1,000近い「いいね」をいただき、たくさんの拡散やコメントなど、多くの反響をいただきました。ありがとうございました。
こうして知っていただく、関心を持っていただくことが、台湾だけでなく、日本の民主主義の力にもつながると思っています。
(トップ画像提供:sasakiayako)
日本のニュースでも報道されるようになりました。
見つけたものをこちらでまとめています。同時期に報道していただけて、ほっとしました。報道してくださった皆様、本当にありがとうございます。
5/24には台北だけでなく、台湾各地、そして日本でも抗議の集会が
前回に続き、国会が開かれ強行スピード採択されそうな危機が高まる5/24(金)にもまた、今回は立法院(国会)のある台北だけでなく、台湾各地で抗議のデモや集会が開かれました。
台中、彰化、嘉義、台南、高雄、台東、そしてなんと、日本の池袋でも。
↓高雄、台南、嘉義で開かれた抗議デモ、集会の様子
【沒有討論,不是民主】 這幾日全台各地皆有集會行動,歐巴桑們關心著國會的狀況,一同前往參與各地的集會聲援。 你參加了哪一場呢? 從台東、高雄、台南、嘉義到台北,歐巴桑與民眾站在一起堅定守護台灣民主,以參加者的身份,與孩子一起加入...
Posted by 小民參政歐巴桑聯盟 on Friday, May 24, 2024
↓花蓮
花蓮與你們同在 大家加油 pic.twitter.com/zm1yW70Lsu
— Wubing 區區 (@chychy_0406) May 24, 2024
↓日本・東京池袋での集会
立法院周辺では朝から深夜まで抗議デモ・集会、ピーク時には10万人が集結
そして焦点となっている台北の立法院周辺では、5/24(金)朝9時から深夜0時頃までデモや集会が行われ、ピーク時には10万人が集結しました。
私も夕方16〜17時ごろ、そして夜23〜0時ごろ現場に行き、現場に集まった人に話を聞きながらインスタライブを実施しました。今回のnoteでは、そこで見聞きしたこと、感じたことを記してみたいと思います。
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デモに参加することは怖いことではない
日本だと、「デモに参加するなんてちょっと極端な人」といったイメージがあるかもしれません。もしかしたら台湾も以前はそうだったのかもしれませんが、2014年のひまわり学生運動を経て、そうしたイメージはどんどんアップデートされているようです。
↓ デモの現場で「みんなの疲れを取ってあげたい」と、無料でマッサージをしているボランティアの方たちのブースを発見。
マッサージを受けながら日本に向けてインスタLIVEをしているところを、台湾の国営通信社から取材を受けるというなかなかにレアな体験をしました。
とてもPEACEでした。
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おじいちゃんおばあちゃんたちから若者への支援
今回、デモに参加したくても交通費・宿泊費が足りない若者に向けて、おじいちゃんおばあちゃん世代がカンパするという現象、通称「金孫に課金する阿公阿嬤(可愛い孫に課金するおじいちゃんおばあちゃん)」が起こりました。
若者たちに「リアルな公民課(日本でいう社会科の「公民」)」の授業、社会科見学をさせてあげようと、離島も含む台湾各地からの交通費・宿泊費、そして物資などの支援が次々に寄せられたそうです。
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↓ 23歳、高雄から来たという若者のスピーチでは、だいたいこのようなことが話されていました(スピーチ動画はこちら)。
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・10年前、13歳だった時にテレビの前で観たひまわり学生運動で、政治の啓蒙を受けました。
・今自分は23歳で、私たちが民主主義を守る番です。
・今の私は、学生でもなく、新社会人でもありません。学業を休み、働いている若者です。
・私が今日高雄(台湾南部の地方都市)からここに来たのは、ここにこられたのは、2023年に国会で通ったコロナ後の条例により、教育部が就学ローンの補助金を打ち出すことができ、私がコロナ禍で失業して学費が払えない期間があっても、仕事を探すことができたからです。
・私が今日ここに来られたのは、2021年に国会で通った長期ケアサービス法により「長期ケア2.0」が始まり、長期ケアサービス業が一種の専業とみなされ、低収入ではなくなったからです。
・国会を通過すべきなのは、こうした人々の助けになり、国の助けになり、国をより良くしてくれる良い法律であるはずです。今回のようによく議論もされず、強行採択されるようなものではないはずです。青(国民党)と白(民衆党)が自分たちのために権利を拡張するための悪法ではないはずです。
・最後に、私がここまで来られた実際の理由は、高雄からここまでの交通費、宿泊費、プラカードの印刷費までサポートしてくださった“課金おじいちゃんおばあちゃん”のおかげです。本当にありがとうございます。
・昨日、プラカードを印刷しに行ったら、写真館のオーナーが私に「ありがとう、台湾にあなたたちがいてくれて本当に良かった」と言われました。
・今日、私はこの件に関心を持ってくれた全ての人に、同じことを伝えたいです。
大学生、高校生ばかりか、小中学生もたくさん現場に来ていましたし、ベビーカーを押しての赤ちゃん連れ、犬の散歩をしながらという方も数多く見受けられました。
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3時間で集められ、結成された有志らによる管楽隊
なんと、デモ現場で3時間で集まった有志らにより臨時で結成された管楽隊が、下記3曲を即興で演奏したのだそう。
どれも民主主義を象徴するような楽曲で、胸を打ちます。
Do you hear the people sing(邦題:民衆の歌)レ・ミゼラブルの劇中歌
晚安臺灣(邦題:おやすみ台湾)Fire EX.
島嶼天光(邦題:この島の夜明け)Fire EX.
↓ 現場に居合わせたフォトグラファーが記録した動画があるので、ぜひ観ていただきたいです! →こちら
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「冷静を保とう、立法院に突入するのはやめよう」の呼びかけ
「立法院に突入するのはやめよう」というプラカードを持ち、立法院前に立ち続けていた若者たち(おそらく20代の女性たち)に話を聞きました。
「10年前のひまわり学生運動のように、中には突入したい人もいると思うけど、今回はそこまで切迫した状況ではない。今突入すると、逆に国民党・民衆党が法案を進めやすくしてしまう可能性もある。
香港のデモも、衝突が衝突を生み、対立が激化し、良い結果にはならなかった。突入や衝突は良い手ではないと学んだ」と話してくれました。
↓ 多くの民間団体が「自分を守れてこそ国家を守れる」といった啓蒙をSNSに投稿していました。
「もし挑発的な行為をされたら、衝突は避け、できるだけその場から離れよう」など、緊急事態の対策をシェアしていました。
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デモ、集会の場を安心安全に
前回のnoteにも書いたように、台湾の民主運動を常に支持してきた「長老教会(濟南教会、立法院の隣にある)」が休憩スペースとして民間に開放し、水や食料などを配ってていました。
そして今回はさらに民間団体や著名人、インフルエンサーらが大量のテントを設置し、授乳やおむつ交換スペース、休憩スペース、医療チームなどを準備されていました。数千脚もの椅子もそこかしこに設置されており、皆が座ることができるようになっていました。
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クリエイティブを発揮する場に
↓ SNSではプロアマ問わず、皆自作のイラストを公開し、無料転載を許可したり、コンビニで印刷できる番号を公開していました。
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デモへの参加を呼びかける、台湾トップデザイナーのアーロン・ニエさん。
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台湾の政党「おばさん連盟」(正式名称は小民參政歐巴桑聯盟)
台湾にはなんと、「おばさん連盟」という政党があるんです。ずっと会いたかったので、お見かけして思わず声をかけてしまいました。
皆さん、台南や嘉義など、台湾各地から子連れで来ていらっしゃいました。
「各地で集会に参加しているメンバーもいるけれど、できれば立法院に来たかった」とのこと。
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「会社を休んで参加した」39歳の会社員
手にゆりの花を持っていたので、話しかけてみたこちらの男性。21日のデモではひまわりを手にした人が多かったけれど、この日はゆりの花を持っている人が数多く見受けられました。
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この方によれば、1990年に起きた民主化運動の「野百合学生運動(三月学生運動)」に敬意を表し、民主主義の象徴として受け継いでいくという気持ちで有志が持ち始めたとのこと。
こちらの方は、現場で見知らぬ方から「自分はもう帰らなければならないから、使って!」と、もらい受けたのだそうです。これもまた台湾らしいなと思いました。
10年前のひまわりは参加しなかったけど、あれから数年かけて民主主義の大切さを感じるようになり、今回は「行かなきゃ」と思い、会社を休んで参加したとのこと。
そして、たまたまこの方のお隣に居合わせた70代のおじいさんからもお話を伺いました。
おじいさんによれば、「若者たちが苦労してデモに参加しているのを見て、自分も頑張らなければと思った」ので、現場まで足を運ばれたのだそうです。(写真はNGでした)
私が日本人だと知ると、日本の教育を受けたこと、東日本大震災では3,000米ドル(47万円近く)寄付したよ、と話してくれました。
「17時に仕事が終わり次第、台中から新幹線に乗って駆け付けた」30歳のIT系会社員
ここからは夜、23時ごろに再び現場を訪れた際、インスタライブをしながらお話を伺った方たちについて(アーカイブを残していないので、写真がなくてすみません)。
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台北まで行くかどうかをか考えていて、当日の16時(定時1時間前)に決意、定時の17時ちょうどに会社を出て、台中から新幹線に乗って駆け付けたという30歳のIT系会社員の方に話を伺いました。
台中から台北までは、新幹線で片道1時間ほど、費用は自由席700台湾元(およそ3,500円)。明日も仕事だから台中に戻らなければならないのだそう。一泊するかどうかはまだ決めていないと話されていました。
ひまわり学生運動は参加しなかったけど、あれから民主主義について関心を持つようになり、今日は思い切って参加したとのこと。
結果、本当に来て良かったと話されていました。
これが自分にとって初めてのデモ参加で、民主主義を体験することができたし、街頭では12歳の小学6年生がスピーチしているのを見たりして、「台湾にはこんなに民主主義を守ろうとしている人がいる」、「自分の頭で考えられる人がいる」と知ることができて、嬉しかったそうです。
彼は、「(国会では国民党と民衆党が過半数だから)この悪法案は通ってしまうかもしれないけれど、少なくとも自分たちが今日集った目的は、“市民の声を無視する政治家たちに「次の選挙では当選させないよ」と、デモを通して示すこと”だと話されていました。
「平和に暮らせる社会が作りたくてここに来ているから、暴力はダメ」会社員男性
大学で日本語を学んだから日本語で話してくれた男性がいました。
私が「日本ではデモは怖いとか、暴力みたいなイメージがあるけれど、台湾は違いますね」と話すと、「暴力はダメです、みんなが平和に暮らす民主的な社会が作りたくてここに来ているのですから」と答えてくれました。
現場に速報「今日の国会審議では法案が通らないことが決まった!」
こんな話を聞いていた時、現場に「今日の国会審議では法案が通らないことが決まった!」という速報が拡声器を通じて知らされ、 あたりは喜びの叫び声で沸きました。
そして、「みんな気を付けて帰ってね」のアナウンスとともに、民衆たちは少しずつ駅へと向かい、帰って行きました。
でももう0時を過ぎていて、「こんなに終電遅くまであったかな?」と思ってい他ところ、インスタライブに参加してくれた台湾人から、この日は台北メトロやバスが最終便を増便したことを教えてもらいました。
辺りのゴミはきれいに片付けられ、タバコやお酒を飲む人も本当に少なかったのですが、それも事前にそうした呼びかけがあったからなのだそう。
今回のデモ活動の名称が「青鳥運動」になった理由
今回のデモ活動の名称は「青鳥運動」と名付けられたそうです。
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これは、デモ現場の道路名が「青島東路」であるものの、「青島」というキーワードがFacebook(台湾では日本以上に普及している)では政治的だと識別されてしまい、投稿のインプレッションが制限されていることが分かったため、急遽「島→鳥」に変えたのだそう。
↓ この動画も素敵でした
今回の争議の全体感が分かるWikipedia
最後に、今回の立法院をめぐる争議「2024年立法院改革爭議」について、法案の内容や争点などがまとめられ、全体感が掴めるWikipediaが立ち上がっていましたのでシェアします。
次は5/28(火)にもデモが行われます。今のところ発表されているデモは明日で最後。明日も現場に馳せ参じようと思います。
ここから先は
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有料版「台湾が気になるあなたへ」
有料記事や、無料マガジン「台湾が気になるあなたへ」の中から、有料マガジンへ移行した記事たちです。生活者として、取材者として、ガイドブックに…
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