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今甦る、下山国鉄総裁事件の真実🚉

 熊井啓監督の映画🎬「日本の熱い日々・謀殺下山事件」(1981年)。昭和24年に起きた未解決事件である。矢田喜美雄の原作「日本の熱い日々 謀殺・下山事件」の映画化。出演は仲代達也、山本圭、浅茅陽子。DVD📀を観た上で、原作本📕も読んでみた。
 この時代には2つの社会的背景があった。1つは敗戦後の日本が米軍の占領下にあって、国家的主権が全くなかった時代。従ってアメリカ🇺🇸の言いなり(今でもそうかもしれないけれど)。もう1つは米ソ冷戦で、朝鮮戦争を目前にした時代であったこと。アメリカ🇺🇸は日本🇯🇵を早急に東アジアの防共の砦とする必要があった。その前提として、ドッジ・ラインによる経済立て直しと、レッドパージによる大規模解雇(60万人)が日本を揺るがせた。特に10万人を解雇された日本国有鉄道国労は、反対運動の紛争における最大の拠点であった。
 そんな混乱の中で、国鉄初代総裁・下山定則が日本橋三越から行方不明となった。その夜、足立区五反野の列車線路上に轢断死体で発見された。結果的に他殺か自殺かすら明らかになっていない。その後で国鉄には、三鷹事件、松川事件が立て続けに起こる。これらの事件はいずれも共産党左派が起こした社会的不安として処理された。しかし2024年4月29日に放送されたNHKスペシャル「未解決事件」では、下山総裁事件を他殺とハッキリと明言している。つまりGHQ参謀第2部(G2)直轄の秘密情報機関が、日本における反共感情を煽るために、自作自演の謀略ミステリーを仕込んでいた。警察やマスコミは精力的な捜査の果てに、目に見えないところからの政治的圧力や口封じに屈してゆく。占領下で主権のない日本🇯🇵が、巨大な不正に懸命に抗う姿を描いている。
https://www.nhk.or.jp/mikaiketsu/

NHKスペシャル「未解決事件」🔟下山事件

◆以下は映画と原作の公式紹介文。

1️⃣ 映画🎬「日本の熱い日々・謀殺下山事件」(フィクションで実名にあらず)

・昭和24年7月、敗戦後の騒然とした雰囲気の中で労働運動は大きく高揚していた。昭和日報の社会部記者・矢代(仲代達矢)は、上野に集結するシベリアからの復員兵たちの集会を取材していたが、その時、下山国鉄総裁の行方不明を知らされた。翌朝、下山の死体が発見されると、政府はいち早く他殺説に近い立場をとり、各新聞の主張も自殺説と他殺説に分かれた。この中で昭和日報は、他殺の線ですすめるべく、矢代に東大法医学研究室を取材させた。矢代は遺体解剖を行なった和島博士の「死体轢断の鑑定は絶対に間違いない」という言葉で他殺説に自信を持つが、一方、事件現場近くで下山の姿(替玉)を見たという証言者が現れたり、東大鑑定に対する慶應の異論も出て、自殺説がクローズアップされてきた。しかし矢代は他殺の可能性を執拗に追い続け、東大研究室に通い続けるうちに、轢断現場近くに、下山の死体を運んだ時についたと思われる血痕を自らの手で発見する。この発見と前後して無人電車の暴走という三鷹事件が発生する。追求の手を緩めず走る矢代の背後に黒い妨害の手が現われ、ホームから突き落とされ、電車に轢かれそうになる。彼は検察の要請で特別研究生として身分を拘束されることになった。事件から一ヵ月後、警視庁が自殺を発表することになったが、突然、その発表は中止された・・・。https://www.shochiku.co.jp/cinema/database/04114/

2️⃣矢田喜美雄「謀殺下山事件 日本の熱い日々」(講談社文庫)

昭和24年7月6日午前0時20分、国鉄レール上で起こった事件、下山国鉄総裁の死をめぐる謎は深い。占領軍が駐留する混乱した状況下での解明は、「自殺」か「他殺」かをめぐって難航をきわめた。しかし、30年に及ぶ執念の追跡が、昭和史の暗闇に眠る恐るべき真相を解き明かした。事件の全貌を決定的証言で綴る。 死後轢断に至る惨殺の手口の惨たらしさ。起こさなくてもいい事件を、敢えて起こした占領軍の暴挙。ずいぶん前から仕組まれた綿密な計画。特に裸に剥いた下山総裁の血液を体内から抜く殺し方。村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」の皮剥ぎボリス大佐の処刑を思い出してゾッとする。総裁の殺害からレール轢断までの時間帯に、犯行現場周辺に替玉を出没させて自殺を演出する狡猾さ。警察や司法への自殺説を強要したり、捜査を打ち切りにさせる圧力。事件に関係した数名のその後は風前の灯。統治権を他国に奪われた国が、いかに主権と自尊心を踏み躙られていたかに、読んでいて忸怩たる思いに至る。しかも三鷹事件、松川事件に続く、下山総裁事件は戦後史最大の国鉄ミステリーとなった、占領軍による狂った赤狩りであった。https://www.amazon.co.jp//dp/B0B38WN9J9/

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