白鵬支持のサイレントマジョリティ
二つの報道で「偉大な横綱」と称して論評が張られていたことが心強い。これまでは批判記事ばかりだったのが、引退を機に風評が好転してきた。実際に白鵬を応援している人の方が、批判している人より多いと思う。白鵬への支持がサイレント・マジョリティであったことが、今の相撲ファンたちの動向でわかる。
朝日新聞にも、ようやく白鵬擁護の記事が掲載。1月31日朝日新聞朝刊「角界余話」で「闘い続けた21世紀の横綱」。横綱在任中はガッツポーズ、張り手やカチ上げなどで非難されることが多かった白鵬。モンゴル力士全盛で、日本人力士贔屓の逆風を浴びた。ここでは朝日新聞のスポーツ記者である抜井規泰氏がレポート。白鵬の語ったことばが歪められて伝わったこと、横審の根拠のない苦言など、心ない白鵬への攻撃的な風潮を暗に批判。偉大なる父のモンゴル国籍を捨て、日本人の妻を持ち、日本という国を真摯に愛する白鵬の生き方に理解を求めている。
そしてTBS「白鵬ドキュメント日下開山、最後の十五日」。十五日間のレポートというところが、NHKの数年かけた追跡とは差を感じるが、一連の白鵬引退番組のフィナーレを飾りそう。何度見ても泣けるのが家族の応援と千秋楽の涙。律儀に果たした亡き父親との約束。これだけの深い思い、ガッツポーズぐらい横審はネチネチ言わずに察してやれよと思う。初めて見たのが鍛錬を弟子たちが応援する風景。拍手まで要求する白鵬に笑える。そして意外だったのが14日の正代戦の朝に弟子たちに作戦を明かしていたこと。それだけ部屋の信頼関係が厚いのだろう。双葉山の「後の先」を習っていたというのは知っていたが、脚を痛めてからは「先の先」を取ることに切り替えていたということも知った。そういう意味で現実に柔軟に対応できる能力と努力が白鵬に備わっていたということだろう。
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