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『マザーランドの月』サリー・ガードナー(三辺律子:訳)読了。
『世界を7で…』と同時期に図書館で借。(三辺さん訳読みたい期)

主人公、スタンディッシュ・トラッドウェルは難読症(著者も10代前半までそうだったとこのと)で想像力豊かな少年。
とありていな、紹介ではまずそうなるだろうけどそんなことは概ねどうでもよくなるストーリー。

本をあまり読んでこなかったという人が身近にもわりといるけれど、そういう人が読んだら置いていかれるんじゃないかと思う、これ。

YAに分類されているのは、柔軟な思考のうちに触れたら考えるよりもすっと物語が入ってくるからなのかなあと思ったり。

想像力が豊かな主人公で、言葉の甘さ(本人が言葉は甘いというところがある)を知る少年のその思考と、本のなかの現実についていけるならとてもおもしろい作品。
尚、自分は6割位のしがみつき度で、途中からようやくその世界に入れた(年取ったな)。
SFでもあり、現実でもありうる、しかも最後はかなしい。10代の自分だったら、もっと何とかならなかったのか!どうしてだ!と憤っていたかも知れないけれど、今の自分はそのかなしみの重さも現実的に描かれたその世界もまたわかるから、余計にかなしい。
それでもかなしさだけが胸に残る終わり方ではないのは、トラッドウェルの明るさ(といっていいのかどうか。前向き、の方がいいのか)や、ヘクターとの憧れや恋にも近い友情が胸を熱くするからかも知れない。

侮るなかれよ、YA。
大人こそ、まっすぐな言葉や物語を受け取るのは困難なのだから、手にして忘れてた何かを思い出すなり得るなり出来るのだ。

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