栄養管理の方法:嚥下障害の重症度別に考える

*目次が本日の内容の結論です

1.脳卒中後の重症嚥下障害(回復を期待する場合)は早期に摂食嚥下介入することが重要

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*ごく限られた条件下でのみ経口摂取が可能であるor全く経口摂取が不可能な場合と定義する
・わが国の脳卒中患者を対象とした研究にて、早期経口摂取へ向けた介入による嚥下機能良好、肺炎減少、在院日数短縮などの好ましい結果が報告されている
・摂食嚥下リハを早期に開始することで、摂取総栄養量は禁食患者に比べて有意に増加する

「早期嚥下リハの重要性は臨床場面でも特に感じます。

禁食期間が長ければ長いほど、その間にサルコペニアは進行し、経口摂取再開の可能性は低くなりますよね。

もちろんリスク管理は重要なので、食べさせれば良いということではないですが、リスク管理をした上で可能性を探るのがSTの仕事だと感じます。

少なくとも一度誤嚥をしただけで、いきなり誤嚥性肺炎が起こるわけではないので、評価は安全にかつ継続的に行っていくことが大切です。

ただし、禁食している間にもどんどん嚥下能力は低下していると考えたほうが良くて、禁食だから安心、安全という考えは逆に危険だと思います。

直接訓練が一番の嚥下訓練だと思いますし、常にその可能性は探っていける言語聴覚士でありたいですね。」

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2.重症嚥下障害(回復が見込まれない場合)は人工栄養を導入したいか早期に意思確認を行う

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*典型は進行性神経変性疾患に起因するもの
①人工栄養を導入する場合
・本人に疾病について予測される経過を含めて情報提供したうえで人工栄養を導入したいかどうか、早期のうちに意思確認をとることが理想
・進行性神経変性疾患患者へ比較的早期に人工栄養を開始すると、遅れて開始した場合より予後がよいという報告がある
・栄養量を確保するだけではなく、ADL,社会参加、合併症予防、認知機能ケア、その他多くの健康関連因子へのケアも同時に包括的に介入する
②人工栄養を導入しない場合
・ヨーロッパ臨床栄養代謝学会のガイドラインでは、認知症終末期になってからの経管栄養法導入をすすめていない
・必要に応じて軽症、中等症の時期に期間を区切った人工栄養を行うことをすすめている

「人工栄養の導入は臨床場面でも悩む点かと思います。

基本的には本人、家族への説明を行ったうえで、意思を確認するというのが当たり前ですが、実際に医療機関への判断を委ねられるケースも多いのではないでしょうか?

病気のかたは詳しくはわからないのでお任せします。

というご家族の方も、もちろんいますよね。

人工栄養の話が出るときには、本人自体も思考・判断が徐々に難しくなってきている段階であることが少なくありません。

そう考えると、やはり早い段階で本人へ説明、意思を確認しておくのは重要だと思いますが、先延ばしになりやすいのも現実かと思います。

そこに関しては、まず本人と丁寧に継続的に関わり、信頼があるパートナーを目指すのが一つかと思います。

家族からの説明が理想かと思いますが、それが叶わない場合、医療者がその間に入る場合もでるかと思います。

いきなりきた人に、人工栄養の話なんかされたら、誰だって嫌な気持ちになりますよね。

まずは継続的に本人と丁寧にコミュニケーションをとるのが大切なことかと思います。」

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【まとめ】

◎脳卒中後の重症嚥下障害(回復を期待する場合)は早期に摂食嚥下介入することが重要

◎重症嚥下障害(回復が見込まれない場合)は人工栄養を導入したいか早期に意思確認を行う

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*中等症嚥下障害、軽症嚥下障害については明日まとめます!


本日の引用は

でした!

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