40代の私が転職して一年でまた転職したハナシ
実は3社目なんです
私は新卒で20年勤務した会社を退職して、転職しました。
そして、その一年後に再び転職して、現在3社目に勤務しています。
なぜ、そうなったか。そこから何を得たのか。
自分自身の体験を踏まえて、これから先の見えない時代に転職を考える方の参考になればと思います。
はじめに申し上げておきたいのですが、転職は悪いことではありません。
ただし、心身ともに元気な時にしっかり準備が必要です。
体験談の前に、少し、私の経歴を紹介しますね。
新卒以来、IT関連の企業でお仕事をしており、1社目は総合的にIT関連の仕事をするSIer。技術部門、営業部門、子会社、管理部門といった部署で仕事をして約20年勤務。そして2社目はソフトメーカー。公共系機関が最終的なお客様で、某地域担当の営業マンとして、タイトルのとおり1年ほど勤務しました。
そして、現在。3社目は少し規模の小さいSIer。2社目と同じような業界をターゲットにしたビジネスをしてます。どちらの経験も活かせる会社だと思っています。
ちなみに「事業承継できるかな」シリーズの事案に携わったり、事業承継士を取得したのは1社目を退職する少し前です。
事業承継に関わることができるよう、いろいろ活動をしたものの、結果として転職して会社員の道を選んでいます。ですが、ゆくゆくは地域で独立を志す方のご支援をして産業の活性化に貢献したいと考えています。
リスクを承知で転職するワケ
さて、当たり前ですが、短期間の転職はリスクがありました。
私は40代。少しくたびれてきた年代。家族もいます。いくら転職市場は売り手が有利と言われていても、チャンスは多くありませんでした。
当然、周囲から「せっかく転職したのにもったいない」「時間が解決する、もう少し頑張ってみては」というお話を頂きました。
心配してくれて、電話で何時間も話してくれた知人もいます。
しかしながら、2社目の仕事はいくら考えても合っておらず、その先もやりがいが感じられないのだろうな、と当人が一番感じているのです。
やりがいや手応えを感じられるように、と創意工夫をしても、会社の方針と違う方向で工夫しても得るものは少ないでしょう。そもそも、自分の気持ちにフタをして、創意工夫して仕向けなければいけないって何なんでしょう。
自分の心の声と違うことを続けるほど、人生は長くないと思うのです。
もしかしたら、2社目でも転機があるかもしれませんが、そんな保証はどこにもありません。就職氷河期世代なのもあったのでしょう、最初の会社も2社目も自分の気持ちにフタをして押さえつけていました。我慢して仕事をこなせば、いつか転機があるかもしれない。
また、頭ではわかっていても、気持ちはスルーしていたことがありました。
会社が自分の人生を保証してくれるわけではない、という事実です。
もう、自分の心の声にフタをするのはやめよう。他者からのわからない可能性を待つくらいなら、自分の心の声に従って、出来る限り自分の人生の満足度を上げる方法を取りたい、そう考えました。
短期間での転職は思った以上にハードでしたが、なんとかご縁を得て3社目に転職できました。ただ、2社目の経験無しにご縁があっただろうか、と考えると、ちょっと違う気がします。
確かに2社目の経験は一年にも関わらず、得たものは大変貴重ではありましたが、自分としてはやはり転職は失敗だったかな、と感じています。
今振り返ると、最初の転職活動を始めた当時、当時の仕事で悩むことが多々あったことと、精神的な身の危険を感じたことがあり、早く職場から離れなくては、と焦っていたこともありましたが、それを差し引いても、見通しが甘かったし、自身とちゃんと向き合わなかったな、というのが正直な感想です。
退職した理由は……
そんな私が2社目を退職する理由は大きく3つでしょうか。
1. 上司・周囲との人間関係
2. 1社目と2社目のビジネスモデルの違い
3. 仕事の将来性
きっかけは1.でしたが、転職活動を進めると、2.と3.が大きな理由となりました。順番に詳しく書いていきますね。
退職する理由1. 上司・周囲との人間関係
短期間で退職することになったきっかけは、当時の部門長です。
営業技術や経験、実績も高いものを持っていましたが、配属された人が何人もやめていくことで有名な方でした。
理路整然と相手を追い詰めるタイプで、どうやっても最後は言われた側が悪い、ということになります。全社共通のチャットに夜中に書き込みすることも少なくなく、個別に早朝からチャットで問い詰められたこともあります。
営業同行した時に、お客様との打ち合わせの席上やお客様先のロビーで叱責されたことも珍しくありませんでした。さすがに「この人と一緒に仕事はしたくないなぁ……」「でもこれは自分のワガママかも……」と悩み始めたのが大きなきっかけと思います。
これについて、相談出来る環境もほとんどなく、一人で悩むことも珍しくありませんでした。
日常業務も同様で、すべて一人で抱え込む環境でした。わからないなりに答えを自分なりに考えて周囲に相談するものの、レスはほとんどなく、いざやってみると後からあれこれ言われるのも多々ありました。ハシゴを外される思いも何度かしました。
結局、退職直前、組織変更で上司が変わったのですが、その時にはしっかりと退職する理由が別にありましたので、上司はどうでも良くなっていました。
退職する理由2. 1社目と2社目のビジネスモデルの違い
これは転職活動して改めて認識したことで、2社目の転職活動の甘さにつながったことです。1社目と2社目の違いは下記のとおりです。
細かいことは違いますが、ざっくりと感じて貰えれば……と思います。
1社目のSIer
営業先 : システムを使う最終ユーザー
アプローチ : ユーザーの要望に合わせてシステム構築を提案
売上方法 : システム構築費と保守費をもらう
2社目のソフトメーカー
営業先 : ソフトを販売してもらう流通代理店
アプローチ : 流通代理店と組んでターゲットの最終ユーザーに提案
売上方法 : ソフト単体のライセンス料をもらう
私自身は、開発やプロダクトを組み合わせて最終ユーザーのニーズに応えたり、課題に対する提案をしたりといったことに「やりがい」「面白み」を感じています。2社目に転職した時にも同じようなことを志していたはずですが、3社目に転職した時ほど強くは意識していませんでした。
このようなことは入ってみなければわからないこともありますが、今思えば、こうしたビジネスモデルの事前確認(企業研究)やギャップの洗い出しをちゃんとやらなかったがために、1社目の経験が全くと言って良いほど活かされず、自信喪失してしまったのでした。
転職を考える場合、条件面に目が行きがちですが、その前に出来る限り「ビジネスモデルはどんなものか」「そのモデルのビジネス経験があるか」「ギャップは何か」などをよく考えておかないと、入っても戸惑うばかりで、私のように短期間で退職することになりがちだと考えます。
今思うと、仕事内容よりも福利厚生に目が行ってしまい、肝心な仕事内容に関心がそれほど持てなかったのが失敗要因だと分析しています。
退職する理由3. 仕事の将来性
程度はあると思いますが、得意の業界があるようであれば、それを主軸にして他の業界などの新規開拓を進めるものかと思います。
私自身、新規開拓で新しいお客様の所に向かうのは楽しみです。
しかし、ある時の月次朝礼で社長さんが「○○業界にこれからも特化していく」という話で、他の業界と業種には一切営業しない、ということを明言しました。
勤務していた当時、2社目の得意先業界はプチバブルのような、上向きの景況でした。上司からも事あるごとに「これだけ引合のある年は珍しいんだぞ」と言っていました。
ただ、実際は過当競争気味になっていましたし、その年が終わればかなり冷え込むことも、現場でお客様と接しているとおおよそ予測がつきました。
先に入社して営業活動を始めていた方は、今までの販売基盤などの「貯金」があるでしょうから、来年度はしのげると思いましたが(当然、来年度の仕込みもしているでしょう)、引き継ぎらしい引き継ぎもなく、エリアの販売基盤もほとんどない状態の私では、今よりもっと心身ともに苦しくなるのは容易に想像できました。
結局、自分に合っていない会社を選択してしまったのです。
当たり前の話ですが、転職の場合は、採用した人を育てるよりも、戦力としてすぐに活躍してもらうことを求められます。
このため、マッチする業務経験が豊富であれば書類選考は通りやすいですし、入社後に早く馴染むこともできるのではないでしょうか。
しかし、似たような業務でも私のように業界や売る仕組みが違うと大変です。経験が役に立たないので新人と大差がないのです。
実際に私が書類選考で通過した企業さんから聞けたフィードバックの大半は「この経験が長いから会ってみようと思いました」という内容でした。期間が短くても、ギュッと濃縮したような経験をしていれば、職務経歴書のアピール方法しだいでうまくいくかもしれませんが、従事した年数が長いことはその分経験値があると見なされるので、長いに越したことはありません。
実は、私の失敗談は、転職サイトや転職ノウハウ本に書かれている失敗ばかりです。
なかなか良い結果が得られなかったり、他の人が先に決まったりなど、つまずいて焦ることも多々あります。最初の転職は焦って心身ともにいっぱいいっぱいで決めたので、冷静な比較検討ができないばかりか「内定を断る」という選択肢すら考えていませんでした。
振り返ると、3社目の転職活動はまだ心身に余裕があった頃から始めたから、なんとかなったと考えています。面談でしっくりこなかった会社さんはお断りしたことも少なくないし、条件面が折り合わず内定辞退も勇気を持ってできました。
ただし、最初の転職のように「ちょっとヤバい」状態から始めると、判断力が鈍って失敗しがちです。そもそもまともな状態じゃないんだもん(笑)
ちょっとでも転職を考えるのなら、転職サイトに登録する前に、自分の棚卸しをしておくことをオススメします。いつ、何をやって、成果は何か、特徴的なエピソードはないか、そこでの気付きは何だったのか。売上金額など指標を持っている人は、出来る限り抑える。
また、自分自身の推薦文を書いてみることもオススメです。エージェントさん任せでなく、自分で書くことで、面談の時のアピールポイントを整理できますし、何より推薦文と自己アピールに矛盾がありません。
転職活動は収入があって精神的に余裕が生まれやすい在職中に行うのが良いと思います。ちゃんと収入があれば「いったん転職活動をやめる」という選択肢だって取れるわけですから。無理に続ける必要もないのです。
以上、私の失敗談をお話しました。何かの参考になれば嬉しいです。
40代で転職はできない訳ではありませんし、自分の新しいステージに挑戦することは、大いにプラスになることでしょう。
しかし、転職活動はハードです。活動期間は3ヶ月くらいが標準的ですし、企業面談も30分から1時間程度です。その短い期間と時間で自分の将来が左右されますから、元気なうちに少しずつ準備と棚卸しをしておきましょう!