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令和にプレイした『FF4』は、呆れるほどワンパターンなストーリーと、レベル制を否定するシステムの駄作だった

『令和にプレイしたレトロゲーム』シリーズでは、私が初見でプレイしたレトロゲームの感想・評価をまとめていきます。
当時の時代背景を考慮に入れつつも、「今から遊んでも楽しめるか?」「今からわざわざ遊ぶだけの価値はあるか?」という現代的な価値観を大事にしています。

他のゲームの感想も挙げていますので、よければご覧ください。


【はじめに】

本稿は批判意見を多分に含んでいます。
本作が好きな方は閲覧に充分注意してください。


【プレイ前のイメージ】

FF4,5,6の3つは、SFCのJRPGを代表する名作というイメージがある。
自分はJRPGが好きで、ドラクエシリーズはDS版4,5,6など数多くプレイしていたが、FFシリーズは世代ではないのでほとんど通っていなかった。
以前からプレイしたいと思っていたので、PS1版FF4をプレイすることにした。


【評価点】

●ストーリー進行に合わせて目まぐるしくパーティメンバーが変化するため、バトルに変化が出る


●イベントシーンではバトルを利用した演出が多く、見ていて楽しい

・特にラストバトルの演出は熱い

●BGMが良い

・雑魚戦やボス戦の曲は結構好き。

●キャラのグラフィックは良い

・キャラのミニドットや、敵のグラフィックは、SFCらしく良好。


●増殖バグが楽しい

・バグがあること自体は褒められたものではないが、現代のゲームではなかなか楽しめないものであり、自分の場合はかえって独自性として楽しめた。


【賛否両論点】

●定期的なレベル上げが必須のゲームバランス

・要所要所でしっかりとレベル上げをしないと次に進めないため、プレイ時間の殆どをレベル上げのために使うことになる
・容量不足が死活問題だった当時、長く遊んでもらうための工夫の1つだったのだろう
・サクサク進めたい人には向いていないが、コツコツレベル上げするのが好きな人には丁度いいかもしれない
・パーティメンバーがコロコロ変わるため、せっかくレベル上げをしてもすぐに離脱してしまい、またレベルの低い仲間が改めて加入する「レベルのリセット」(後述)が頻繁に発生することも、この問題を助長している。

●ストーリーやシステムは単純明快であっさり

・時代を考えればそこまで珍しいことでは無いが、ジョブ制だったFF3からシステムの自由度が下がっており、SFCソフトでありながらFCソフトに劣るというのはどうかと思う。

●フィールドのグラフィックがややチープ

・SFC初期の作品だから仕方ないとはいえ、色数が少なくFCと大差ない
・前述の通り、フィールド以外のグラフィックは良い。


【問題点】

●シナリオがワンパターンで、お涙頂戴がひどい

・特に「ポッと出の仲間が自己犠牲で他の仲間を守る」という展開が4回も繰り返されており、ワンパターン。命が安売りされているようにも感じる。
・更には後半になって、その殆どが実は生きていたことがあっさり判明するので、二重に興ざめする。

・一回目はちょっぴり感動したのに、二回目は同じことの繰り返しで呆れたし、三回目以降はワンパターンすぎてもはや笑うしかなかった。
・名付けて4連死ぬ死ぬ詐欺である。
・しかも、この4連死ぬ死ぬ詐欺こそが「レベルのリセット」(後述)の原因の一つでもあるので、尚更ムカつく
・FF10もキャラの死による雑なお涙頂戴が酷かったが、その源流はFF4の頃から既に始まっていたことが分かる。

●レベル制を否定する「レベルのリセット」が頻発する。

・上記の通り、4連死ぬ死ぬ詐欺のストーリーのせいでパーティメンバーが死にまくるので、せっかくレベルを上げたキャラがすぐに離脱して、新しいキャラと入れ替わる
・新しいキャラの加入時のレベルは固定であり、離脱したキャラのレベルが引き継がれるわけではないので、また1から育成し直すことになる。
・このゲームはこの「レベルのリセット」がとにかく多い。
・一時離脱したキャラのレベルが再加入時にリセットされるのは勿論、普通のRPGなら離脱しないはずの主人公ですら、光戦士へクラスチェンジした際にレベルがリセットされる。
・レベル上げ前提の難易度なのに、レベルがどんどんリセットされるため、育成のモチベがどんどん下がっていき、楽しくない。
・レベルはRPGの中核を担う要素のはずなのに、レベルが上がることに楽しみが無いため、RPGとしての魅力が乏しい。これならADVにでもしてくれた方がマシ。

●育成要素が乏しい

・レベルを上げる以外にステータスを強化する方法が、HPアップのリンゴくらいしか無い
・ファミコンのドラクエ3ですら、職業と各種たねがあるのに……
・これが「しっかりレベル上げをしないと進めない」ゲームバランスの原因にもなっている。
・目まぐるしくパーティが変わることとの両立が難しいからなのかもしれない。
・唯一の育成要素であるレベルを懸命に上げても、前述の「レベルのリセット」のせいで無駄になるので、もう最悪。

●バトルの戦略性が乏しい

・ATBの「常に時が流れる」という構造上の欠陥により、あれこれ戦略を考えるよりも、最速で入力できる通常攻撃を選んだ方が良い場面が多い。
・最終メンバー以外の仲間の特殊コマンドは使いにくいものが多く、魔法系くらいしか役に立つものが無い。

・また、本作のATBは渋滞が発生しやすい。
 FF9もかなり渋滞しやすかったが、 本作は5人パーティであることや、TIMEゲージが見えないことにより、更に渋滞しやすいように感じる。

・そもそもATBの上位互換であるタイムラインバトルが、ATBよりも先に完成している。
・タイムラインバトルは、ATBと同様に魔法の詠唱や不規則な行動順などが表現でき、それでいてメニューをいちいち開かなくても時が止まるので、ATBのように無駄に急かされる必要が無い。
・ATBは後発でありながら、タイムラインバトルよりも面白くない。
・なんなら後にFF10でATBを止め、タイムラインバトルを採用したことから、制作陣もタイムラインバトルの方が優秀だと気付いたのでは?とも思う。

●説明が分かりづらい

・フィールド上で使えるアイテムは説明が見られるが、フィールド上で使えないバトル専用アイテムは説明が見られない
・バトル中は全てのアイテムの説明が見られない
・魔法に至っては、ゲーム内の説明が一切無い

・この頃のRPGは魔法やアイテムの説明を説明書に丸投げしているものが多く、珍しいことではないが、不便なものは不便だし、中途半端に実装されているので尚更気になるところ。
・ちなみにWiiU VC版の電子説明書にはアイテムや魔法の効果が記載されていないので、FF4AのWiiU VC版の電子説明書を読んだ方がよい。


●「デジョン」が役に立たない

・ドラクエのリレミトのようなもの…かと思いきや、「その部屋の入口へ戻る」という魔法
・ダンジョンの入り口に戻れる訳では無いため、ハッキリ言って使うタイミングが無い。
・リレミトはFC初期のドラクエ1からあったのに、SFCでありながらドラクエ1より不便って…

●建物の入口や1マス道路などの重要な場所を、NPCが塞いでしまうことが多い

・シンプルに移動の邪魔。
 1マス道路にはNPCが入れないようにしてほしい。

●「パカパカ」が多用されていて目が痛い

・ラストバトルの「ビックバーン」で特に酷い
・これに関しては発売時期の問題なので、GBA以降の移植版やVC版なら問題はないはず

【項目別評価】

ストーリー ☆1
演出 ☆4
キャラ ☆2
育成 ☆1
マップ ☆2
バトル ☆2
バランス ☆2
音楽 ☆4
グラフィック(フィールド) ☆2
グラフィック(キャラ) ☆4
UI ☆2
ロード ☆3
テンポ ☆2
※各5点満点、「☆5+」は特に良かった項目。

【総評】

ストーリーやシステムが単純すぎたり、ちまちまレベル上げを挟まないと進められなかったり、バグ技が楽しかったりと、悪い意味で「レトロゲームらしい」作品
シナリオ・バトル・育成・探索といったRPGの魅力をことごとく否定しており、現代のゲームに慣れた人はとてもオススメできない駄作。
当時で比較しても、ドラクエ3,4やFF3、後のFF5やドラクエ5には遠く及ばない残念な出来で、よほどのレトロRPG好きでなければオススメしない。

【余談】

自由度の低さや、キャラの死で涙をさそうストーリーなど、FF10との共通点を強く感じる作風だった。
FF10があんな出来になったのも、必然だったのかもしれない。

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