【ネタバレ無し感想】令和にプレイした『FF10』は、世間の評判が信じられないほどのクソゲーだった
『令和にプレイしたレトロゲーム』シリーズでは、私が初見でプレイしたレトロゲームの感想・評価をまとめていきます。
当時の時代背景を考慮に入れつつも、「今から遊んでも楽しめるか?」「今からわざわざ遊ぶだけの価値はあるか?」という現代的な価値観を大事にしています。
他のゲームの感想も挙げていますので、良かったらご覧ください。
【はじめに】
本稿は批判意見を多分に含んでいます。
本作が好きな方は閲覧に充分注意してください。
また、重要なネタバレについては別ページにまとめていますが、その他の部分についても軽微なネタバレが含まれる場合があります。
【プレイ時間】
およそ50時間程度。
【プレイ前のイメージ】
シリーズで一番人気とも言われている作品。
FFシリーズは、7をスマブラ参戦の時にプレイしたのみで、それ以外は全く触れてこなかった。
ネット上では「一本道だけど、ストーリーが良いから許されてる」とか言われてたし、ストーリーがかなり良いらしい。
JRPG史上最高傑作と言う人もいるくらいなので、かなり楽しみ!
インターナショナル版は日本語ボイスが無いので、今回は安価で手に入るオリジナル版でプレイ。
【評価点】
●ボス戦が特殊コマンドをはじめ様々なバリエーションがあり、とても楽しい
・毎回攻略法を探る楽しみがあり、飽きにくい
・ATBではないため、ボス戦でじっくり攻略法を考えることができる。
・このゲームにおいて、唯一まともに褒められるポイント。ここだけなら神ゲー。
●ティーダ、ユウナ、アーロン、リュックの4人はキャラが立っている
・行く先々で休憩中の仲間に話しかけてボイスを聞くことができたり、ほとんどのキャラがちゃんとバトルで活躍できてベンチ要員がキマリ以外に居なかったりと、キャラクターをうまく引き立たせている
・ただし、そのキャラクターが魅力的かどうかは別の問題
・また、各キャラクターの行動原理についての掘り下げは全然無い
●海や水がベースの独特な世界観
・自分はあまり気に入らなかったが、個性的なのは間違いない。
●迷わず進めやすい
・一本道マップ(後述)はクソだが、それのお陰で迷うことが少なく、かえって進めやすい
・ただし、寺院で躓くので、サクサクプレイはできない
●ストーリーの範囲内なら、ゲームバランスは良好
・そりゃプレイヤーの自由度を全部消し去ったら、バランス調整はしやすいよね…
【賛否両論点】
●曲が微妙
・同じ曲や同じフレーズの使い回しが多く、ワンパターン。耳に残るを通り越して、くどい。
・中でも特にピアノ曲がやたら多い。感動的(に見せたい)シーンで毎回ピアノ曲が流れるので、「ピアノを鳴らしておけばとりあえず感動するだろ」的な制作側の安易な考えが透けて見えて、かえって冷めてしまった。
【問題点】
ーーーフィールドの問題点ーーー
●一 本 道
・本作最大の問題点。覚悟はしていたつもりだけど、想像以上に酷かった。
・分かれ道等の探索要素がほとんど無く、自由に後戻りのできない、細長いモノレール型のマップをひたすら歩かされる
・行く先々でムービーが挟まるため、「一本道を歩いてムービーを見る」という作業を延々と繰り返すことになる
・飛空挺入手後に多少改善されるが、遅すぎる
・ナギ平原のようにマップが広ければ、一本道を歩かされる感覚がマシになったのに…
●移動が遅い
・チョコボに乗れば速くなるが、乗れる場所がとても少ない
●エンカ率が高い
・終盤になると「エンカウントなし」の装備が手に入るが、入手難度が高い
・入手できても、今度は移動の遅さがネックになる。
●寺院のパズル(モドキ)が直感的ではなく、理不尽
・同じスフィアでも使用する場所によって得られる効果が変化することがあるため、実際に使ってみるまで効果が分からない。
そのためパズルゲームのように先の展開を予想して解くことはできず、謎を解くためには総当りが必要。
理不尽で、パズルとして成立していない。
ーーーバトルの問題点ーーー
●雑魚戦が単調で作業的
・属性を使ったバトルシステムの例として、当時既に人気があったポケモンと比較してみると分かりやすい。
・ポケモンの場合、水タイプのポケモンは草タイプに弱いが、冷凍ビームを覚えさせれば、草タイプにも対抗できるようになる
・味方は1キャラにつき最大4属性の技を覚えられて、敵側も1キャラにつき2~4属性の弱点を持ってるから、そのうちどれか1つの組み合わせで弱点を突ければいい
・毎回入れ替えなくても弱点を突けることが多いし、弱点を突けなくてもタイプ一致補正で押し切ったりもできる
・そしてこれにより、どの属性の組み合わせを使うのか、キャラをいつ入れ替えるのかというバトルの楽しみや、タイプ一致技や弱点を突ける技をどう覚えるかという育成の楽しみがある
・しかしFF10は、1キャラにつき属性1つ、敵1匹につき弱点1種が普通で、弱点を突ける組み合わせは1通りのみ。
そのため敵に合わせてほぼ毎回メンバーを入れ替える必要性がある。
入れ替えにリスクが無いため、そもそも毎回キャラを入れ替える前提のバランスになっている。
・スフィア盤が一本道なせいで、育成や編成の自由度も無い。
ポケモンで例えるなら「水タイプのポケモンは水技しか覚えられず、草タイプにまず勝てない」といったようなシステムであり、キャラ毎の役割があまりに固定されすぎている
・色違いの敵は全て弱点が共通しているので、新しい敵と出会って弱点を探るという楽しみも無い。
・弱点が突けない敵にはまず勝てず、中盤以降はまるで後出しじゃんけんのように、型にはまった事を延々とやらされているという作業感が強い
・終盤、「捕獲」ができるようになると、捕獲を組み込んだ戦いが求められるようになり、単調さがやや軽減される
・しかし「捕獲」では同じ敵を何度も倒す必要があるため、やり込もうとするとやはり作業感が強くなってしまう。
・特定の敵を狙い続けるという作業が、ランダムエンカウントと相性が悪く、狙いのモンスターがなかなか出なくてイライラする。
・「ポケモン」ならレアなポケモンでも一匹捕まえれば事足りるし、捕まえたポケモンをバトルで使える楽しさがある。
・それに対して本作の「捕獲」には、隠しボスと戦えるくらいしかメリットが無く、隠しボスを出すために同じモンスターを何十匹と捕獲する必要がある。手間とリターンが見合っていない。
●召喚獣の演出が長い
・クイックモードにしてもまだ長い
・特に「召喚獣バトル」では、互いに召喚獣を使うので致命的に遅い
●1度行動したキャラにしか経験値が入らない
・前述の通り「この敵にはこのキャラの攻撃しか効かない」というパターンが多いため、キャラを満遍なく育てておかないと後々厄介になる。
・しかしキャラを満遍なく育てるためには、「キャラを入れ替えて防御」を繰り返す必要があり、面倒。
ーーー育成要素の問題点ーーー
●スフィア盤は自由度が低く、単に面倒なだけ
・レベルが上がるたびにメニューからスフィア盤を開き、キャラを移動させてスフィアをはめる必要がある。工程が多くて面倒。
・一見育成の自由度があるように見えるが、実際にはスキルが一直線に並んでいるだけで、端から順番に取る以外の選択肢は無く、自由度が全く無い。
終盤になってようやく分岐に入れるようになり、少しだけ自由になるが、短すぎて楽しめるとは言い難い。
しかもスフィア盤には移動という概念があり、今必要なスキルを気軽に選んで取るといったことは出来ないため、"自由にスキルを取ってカスタムできる"とは言い難い。
・結果的にやっていることは、育て方を選べないのにいちいち手動でレベルアップする必要がある、ただ面倒極まりないだけのシステム。
これなら従来のジョブチェンジの方が、自由度が高いうえに自動で進むので良かった。
・最低限、レベルアップの度に自動で進めてくれれば良かったのに……
●素材集めが面倒
・武器改造や召喚獣強化に使うための素材のうち、店売りされているのはごく一部だけ。
・殆どの素材はドロップ、盗む、ミニゲーム等で稼ぐ必要がある
・要求される素材の数がやけに多く、終盤にならないと素材がなかなか集まらないため、武器改造や召喚獣強化を自由に楽しめない
・一本道で自由に後戻りできない仕様のせいで、ドロップのパターンを覚えて稼ぎ場を作っても、ストーリーが進むとしばらくその稼ぎ場に戻れなくなる。
そのため、飛空艇入手後でなければ効率よく稼ぐのは困難。
・そして飛空挺入手後なら、武器改造の必要が無い「七曜の武器」や、強化の必要がないほど強力な召喚獣が手に入るので、素材の必要性自体が薄くなる
●武器改造が無意味
・素材集めは上で示した通りかなり面倒で、とても道中でこなせるものではない。
・最強武器である七曜の武器は、スロットが埋まっていて武器改造ができない。
・そして七曜の武器は、武器改造で作った武器よりも断然強いため、やり込みプレイであっても、武器改造をする必要性が感じられなかった。
●召喚獣強化の影が薄い
・素材集めは上で示した通りかなり面倒で、とても道中でこなせるものではない。
・ストーリーを進めれば強い召喚獣がどんどん加入するため、初期の弱い召喚獣をわざわざ強化する理由が無い。
初期の弱い召喚獣を強化したところで、終盤のより強い召喚獣には敵わないため、ほとんど無駄。
・終盤に加入する召喚獣は、最初から強力なスキルがほぼ揃っているため、店売りのハイポーションで覚えられるケアルラを付けるくらいしか、やる事が無い。
ーーーシナリオの問題点ーーー
・本作最大の問題点その②
・問題点がとても多く項目が長くなったこと、またシナリオ上のネタバレを多数含むことから、別ページにまとめました。
下記の記事をご覧ください。
ーーーUIーーー
●装備品のUIがとても使いにくい
・装備品は整頓ができず、管理が面倒
・スクロールバーやページ送り等のスクロール補助機能が一切無いため、装備が多くなるとスクロールだけでかなり時間がかかる
・せめて装備品の種類ごとに分ける機能がほしい
・敵がどんどん武器を落とすため、あっという間にアイテム枠が埋まるが、この劣悪なUIのせいで売るのに一苦労する。
●イベントスキップが無い
・特に、ボスと再戦する際にとても面倒
・本作のボスは、初見殺しのギミックを搭載しているものが多い。
何度も試行錯誤する楽しみがあるだけに、ボスと再戦する度にとても長いムービーが挟まってテンポが削がれるのが厄介でストレスが溜まる。
ーーーその他ーーー
●ミニゲームが絶望的につまらない
・チョコボ関係(特にチョコボレース)は理不尽な要素が多く、プレイスキルより運のほうが重要
・ボールやカモメといった障害物は、配置とタイミング次第で、見てからでは絶対に間に合わなくなる
つまり、障害物が当たらない配置になるように祈る運ゲー
・雷避けに関しては単なる苦行
もはや賽の河原。「光ったらボタンを押す」というだけのこれは、果たして本当にゲームなのだろうか?という哲学的思考に至るレベルの虚無。
●ボイスが棒読みでキツい
・特にティーダ/ユウナ/リュック辺りの棒読み感が辛い
・中でもティーダは特に酷い。しかも「~ッス」というわざとらしい語尾で喋るため、とにかく耳障りでキツい。
・ムービーがスキップ不可なせいで、これを何度も聞くことになり、本当にイライラする。
・当時は既にPCEやPS1等でボイスを全面的に使用したゲームが多く登場していた時代なのに、本作のボイスはあまりに前時代的。
【項目別評価】
ストーリー ☆1
・セントラルクエスチョンがまともに機能していない
演出 ☆1
・描写不足が多すぎる
キャラ ☆1
・主人公が何もせずワガママで不快
育成 ☆1
・自由度が無く、ただ面倒なだけ
マップ ☆1
・文字通りの細長一本道で、何の楽しみも無い
バトル(雑魚) ☆2
・単調な後出しジャンケンで、何の戦略性も無い
バトル(ボス) ☆5+
・ボス毎に特殊コマンドがあり、毎回戦略を立てるのがとても楽しい
音楽 ☆3
・普通。ただしピアノ曲が多すぎてくどい。
グラフィック ☆4
・当時としてはかなり先進的なグラフィック。ただしちょっと不気味。
UI ☆2
・装備のUIが劣悪、イベントスキップ無し
ロード ☆3
・普通。強いて言えばちょっと早いかも?
テンポ ☆1
・移動が遅く、エンカ率が高い。イベントスキップも無い。キャラ入れ替えや召喚獣のモーションも長い。
ミニゲーム ☆1
・寺院は総当たり、チョコボレースは運ゲー、雷避けは賽の河原
※各5点満点、「☆5+」は特に良かった項目。
【総評】
一本道を歩かされて、敵が出たら後出しジャンケンをして、到着したらつまらないムービーを見るだけの単調なゲーム。
ボス戦はそこそこ楽しめるが、それほど回数が多くないので、それ以外の強烈なストレスに耐えてまでプレイするほどの価値は薄い。
ストーリーは不自然で唐突な部分が多く、考察しようとするとどんどん粗が出てくる。
そして何より主人公が自分勝手にパーティの足を引っ張る様が不快。
異世界から転移し、口だけでろくに努力しないくせに、偶然にも成功して仲間から信頼されるその姿は、まるでなろう系主人公。
ゲーム全体を通してきわめて自由度が低く、プレイヤーの意思介入を徹底的に排除するという病的な拘りを感じる。
ムービーの価値が高かった当時はともかく、現代では到底オススメできない駄作。
私が今までプレイしたRPGの中で、最もつまらないゲームだった。
特にシナリオはネット上の評判を見てとても期待していただけに、こんな結果になってしまったのが残念でならない。