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人口減少社会の恐怖

自民党の桜田義孝前オリンピック担当大臣例の発言、ほとんどのメディアの見出しは、
「子供最低3人くらい産むように」となっていて、なんだか上から目線の偉そうな命令口調のように感じるけれど、

実際の発言は、
「結婚しなくていいという女の人が増えている。お子さん、お孫さんには子供を最低3人くらい産むようにお願いしてもらいたい」
というもの。
「産むように」と「産むようにお願いしてもらいたい」では与える印象が大きく異なる。
これが、メディアの印象操作なのかどうかはよくわからない。

野党は人権侵害だとか言っているけれど、前大臣に不妊治療をしている夫婦や、LGBTの人たちを傷つけようという意図がないことは明らかだし、まあ、本来であれば、国会議員たるもの、国民が安心して子供を産み育てる環境作りを整備するのが仕事であって、そこを上手く表現できないことに、前大臣の問題があるのだろうけれど、

それはさておき、

夫婦2人から子供が3人生まれないと、人口が増えないのは事実である。

では、人口が増えないと何が問題なのか?

ここに1つの事実がある。
来年、2020年には女性の過半数が50歳以上になるのだ。

そんな状態で、3人以上子供を産んでと懇願して、多少出生率が上がっても焼け石に水。

日本の人口減少はもうどうしようもない現実らしい。

国立社会保障・人口問題研究所が発表したデータでは、2030年にはすべての都道府県で人口が減少し、2045年までに日本の総人口は現在より2000万人も少ない、1億0642万人になると予想している。地方では人口3割減が当たり前と見込まれている。

さて、人口が減ると

消費が減る→モノが売れない→商品の価格が下がる(デフレになる)/企業倒産が増える→税収が減る→行政サービスが維持できない
ということになる。

経済は確実に縮小する。24時間営業のコンビニもファーストフード店もファミリーレストランも店舗を閉鎖するか、24時間営業をやめるしかなくなる。

トラック運転手も人手不足で、物流もスムーズに行えなくなり、今は右肩上がりのネット通販も打撃を受ける。

大学も深刻だ。
1992年に205万人だった18歳人口が、2018年には121万人、2032年には100万人を割り込み、私立大学は当然のこととして、国立大学にも潰れるところが出てくると言われている。

また深刻なのは高齢者福祉の問題。

労働人口が減り、税収は減る。その一方で高齢者福祉の費用は増え続ける。
労働人口が減るのだから、仕事がハードで賃金が低い介護スタッフは人材不足が続き、特別養護老人ホーム、ケアハウスなどに入りたくても入れない。
そうなると、家族が介護せざるを得なくなる。

家族の介護のために介護スタッフが介護職を辞める

というケースも出てくる。そうしてさらに介護スタッフが不足する。

もう目も当てられない悪循環

高齢者人口が増えると、通常の病院も高齢者で溢れかえり、待ち時間数時間は当たり前、ベッドが空かないから入院もなかなかできない。病院機能は機能不全になりかねない。

これは僕にとっては他人事ではない現実であって、今、僕は56歳で、父は86歳、母は78歳(だったかな)。父は今、老人保健施設に入所していて、母はデイサービスを利用している。
週に2回、洗濯物の交換のために父の施設に通っているが、そこで働く福祉スタッフの人たちには頭が下がる。
仕事とは言え、糞尿で汚れたオムツやズボンなどの交換、自分で立ち上がれない老人を車椅子に座らせる大変さ。認知症がある老人とのコミュニケーションのストレス。
どれでいての福祉業界の低賃金。
一方で、施設の入所費用は高額で年金ではまかない切れない。

今後、確実に高齢者の数が増え続け、労働人口は減り続け、介護スタッフも減り続け、税収も減り続けると、施設での介護は困難となり、家庭での介護が増える。

そうするとすでに始まっている介護離職がさらに増え、老老介護も増え、さらには認知症の高齢者が認知症の親を介護するという認認介護も増えるだろう。

夫婦が3人の子供を産むようになっても、もう手遅れかもしれない。

切り札は?
この記事で言われているように、移民政策が機能すれば、少子高齢化による人口減少はそう悲観することでは無いのだろうか?

とにかく、マスコミも野党も、前大臣の「子供を3人以上産んでもらいたい」という言葉をことさら大失言のように取り上げて大騒ぎするのではなく、もう手遅れになった少子高齢化問題をいったいどうやって乗り越えていくのか、それをちゃんと議論して欲しいのだ。

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