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はじめての予算作成~上場準備中の予算作成でやってはいけない7つのこと~

こちらは2018年に投稿した記事ですので、参考程度にご覧ください。

気がついたら12月ももう1週目が終わってしまいました。
年末にかけて今年にやらなければいけないことは今年のうちにと思いながらなかなか物事はうまく進まないなぁ、と嘆きながら今回も投稿させていただきます。
あと、労務があまりにも筆が進まない(労働基準法マジ嫌い)ので、次回は「どうやって予算作ればいいの?」ってことを書こうと思っています。
また本記事は公開初日のみ無料で公開し、公開翌日から有料に切り替えます。
今後もこのような形を取りたいと思っていますので、ぜひ私のnoteかtwitterのアカウントをフォローしてくださいw

というわけで見出しです。

上場準備中の予算作成でやってはいけない7つのこと
1.外部要因の分析が不十分
2.自社の事業分析が不十分
3.単なるトップダウン
4.背伸びする
5.上場時のバリュエーションありき
6.利益水準ありき
7.そもそも予算として不十分

最後に
あるべき予算とは?

1.外部要因の分析が不十分

主に予算策定を主導するのは管理部的なポジションの方だと思うのですが、予算を作成する際にまず頭に入れておかないといけないものがあります。

それは「市場分析、競合他社分析」を絶対にやるということです。

市場分析をしないとマーケットのサイズがわかりません。
上場準備中も上場後もどのように属するマーケットが成長していくのかを株主に説明する機会が少なからずあるはずですので、市場分析は絶対に怠ってはいけません。
今後の成長率、その中での自社の目指す立ち位置等は年に一回ではなく、年に数回はローリングして情報をストックしておきましょう。
それに加えて競合他社の分析も一緒です。競合がいないなんてまずありえません。
もしかすると全く同じサービスはないかもしれません。
ですが、競合というのは全く同じ業界で同じサービスを行っている会社だけを指すわけではありません。
競合ではなく、比較先という考えで分析を行うようにしましょう。
比較先であれば様々な角度、切り口で見ることができるので、全く比較する相手がいないというのはないはずです。
マーケティングの部署がきちんと整っている会社の場合は、その部署に徹底的に調査してもらい、アウトプットを予算検討資料に入れるようにしましょう。

2.自社の事業分析が不十分

市場分析や他社は外部ですが、まさに自社の事業分析は各種外部要因よりもきちんと研究して分析すべきです。
ありがちなのが

2-1.そもそも事業の主要KPIがなんだか定まっていない、まとまっていない2-2.とりあえず過年度の実績から見込み成長率をかけて算出
2-3.とりあえず上記で調べた市場の成長率をかけて算出
2-4.とりあえず現場部門の計画を積み上げて算出

です。

2-1.そもそも事業の主要KPIがなんだか定まっていない、まとまっていない
ほとんどの会社は定まっていないことはないと思いますが、昨年はこのKPIだったが、今年はとりあえずこのKPIでというのはいけません。
上場準備中の予算は合理的な算定根拠がある数字でなければいけません。
その前提となるKPIが適切に継続的に策定されていることが合理的な算定を行っている重要な要素となりますので、KPIを変更するのであれば変更理由も合理的(市場環境の大幅な変化や自社製品の販売方法の変更等)でなければいけません。

2-2.とりあえず過年度の実績から見込み成長率をかけて算出
上場準備中の予算は適切な合理的な算定根拠から導き出された数字であるべきで「とりあえず15%成長で」みたいな予算ではいけません。

2-3.とりあえず上記で調べた市場の成長率をかけて算出
2-2と一緒です。

2-4.とりあえず現場部門の計画を積み上げて算出
タイトルだけ見ると別に悪いわけではないのですが、現場部門「だけ」で作成された計画は様々なバイアスがかかって作成されることが多いため、根拠が不十分であったり、合理的でないことが多いです。
予算のドラフトの過程(それも限りなく1stに近いタイミング)なら構いませんが、ある一定進んだ状態で現場部門「だけ」の数字を使うのは止めましょう。

3.単なるトップダウン

あるあるすぎるのですが、単なるトップダウンの数字は全く(上記に記載した様々な分析が行われていない)根拠がなく、合理的でもなく、その後の予算管理という観点でも全く生きた(魂がこもっている)予算になりません。
現場からしたら「社長(もしくは経営陣)」が勝手に作った予算を必達とか言われてもどうやったら達成できるのかわかりません。
こうして作成された死んだ(魂がこもっていない)予算は達成できないことが多く、未達の場合でも解決策が見出されることもありません。
最後に残るのは1年間よくわからない予算を追わされ、未達だと叱責され、疲弊しきった現場の社員です。

4.背伸びする

これもあるあるなのですが、「成長しなければならない」だけが先行して背伸びした計画を作ろうとすることがあります。
何をするのか決まっていない謎の施策、何をするのか決まっていない新規事業。。。誰にも説明できないものは計画として数字にしてはいけません。

5.上場時のバリュエーションありき

例えば大型のエクイティ・ファイナンスを多数行っていて、ダウンラウンドの上場だけは絶対に避けねばいけない。
そんな場合は上場時のバリュエーションは意識するなという方が難しいかもしれません。
しかし、一度なぜ上場するのかという原点に戻りましょう。時価総額を世間に知らしめるために上場するわけではないと思います。

6.利益水準ありき

5と一緒に見えてしまうのですが、バリュエーションだけではなく、作成過程で売上が成長しているのに、経費はなぜか据え置きとか監査法人の監査報酬が前期と同額とか利益水準から逆算に作ってしまうと合理的でない場合が多くあるため、利益水準からの逆算から予算を作成してはいけません。

7.そもそも予算として不十分

これもあるあるなのですが、上場準備中の予算で営業利益までしか作っていない会社は必ず税引後当期純利益まで作りましょう。
また、税金は必ず実効税率をかけて計算しましょう。とりあえず30%で、とか絶対にいけません。
また、予算というのはPLだけではありません。PLから作ることは悪いことではありませんが、そのPLにたどり着くまでの様々な予算体系(次回説明予定)もきちんと作成しておかなければいけません。

あるべき予算とは?

あるべき予算とは一言でいうと「誰にでも合理的な説明が可能なもの」となります。
そのためには定性的な様々な要因から定量的に説明できることが求められていて、そのためには様々な角度で様々な数字を把握しておくことが重要です。
そしてその様々な数字がまとまったものが会社の総合予算となるのです。

さて、いかがだったでしょうか。
上場準備を進める上で予算、中期経営計画の作成、予算と実績の管理とというのは上場準備の中では最重要と言っても過言ではない部分になります。
はじめての予算ではないですが、予算を作る上で絶対にやってはいけないと思っていることを書いてみました。
こちらはあくまで経験則に基づいた内容になりますので、こっちの方が大事では、このような観点もあるのでは等のツッコミは大歓迎です。

上場準備に苦労する管理部門の方に少しでも有益になりそうな情報をこれからもアップしていきたいと思っています。
次回は冒頭にも記載しましたが、「これらをふまえてどのような手順で予算を作ればいいの?」を大事なポイントと共に書ければいいなと思っています。

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