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はじめての予算作成〜上場準備中の予算はこうやって作る〜

こちらは2018年に投稿した記事ですので、参考程度にご覧ください。

気がついたら今年ももう終わりです。
私自身が上場準備に今も関わっているため、備忘録も含めて書き始めたこのnoteも4本目となりました。
今回は前回からの流れで予算です。はじめての予算、どうやって作っていけばいいのだろうかというお話をさせていただければと思います。

の前に。。。
先日のこのツイートで光栄にも素晴らしい方たちと肩を並べてIPO枠に入れていただき、本当に感謝しています。上場準備に苦労する管理部門の方に少しでも有益になりそうな情報をこれからもアップしていきたいと思っています。

それでは目次です。

1.予算管理規程を作成する
2.予算スケジュールを各部門の責任者に通知、予算についての定例会議を必ず開催する
3.共通費や間接経費の配賦方法のコンセンサスを取る
4.徹底的に事業サイドとヒアリング、ディスカッション
5.取りまとめて統合、抜け漏れチェック
7.税率は実効税率で作ろう
8.1stドラフトが出来上がった。。。でも
9.取締役会までひたすらローリングしていこう
10.予算は作るのが目的ではない

1.予算管理規程を作成する

まず、何はともあれ予算管理規程を作成しないことには始まりません。予算管理規程には
・予算体系(総合予算、人員計画、部門別予算、(必要であればセグメント別予算)等)
・単年度予算の作成手続(誰が立案して誰が作成して誰に報告し誰が決裁するのか)
・上記手続の図解(こんなの↓)

※これはめっちゃ簡略化しているので、あくまでイメージです。
・予実管理、統制の手続(どのような資料を使って予実を管理、統制していくのか)
・予算修正の手続
・上記手続の図解
・中期経営計画の体系
・中期経営計画の作成手続
・上記手続の図解
等を記載しておくことが必要です。
そして絶対に忘れてはいけないのは予算修正の手続きに以下のような文を入れておきましょう。
「当初の予算に対し、通期の売上高見込みで±10%、営業利益、経常利益、当期利益で±30%の乖離が見込まれた時は予算の修正を行う。」頭ではわかっていても規程に入れ忘れることがよくあります。
規程は通常であれば取締役会の決議が必要です。決議も忘れずに取りましょう。

2.予算スケジュールを各部門の責任者に通知、予算についての定例会議を必ず開催する

でも書きましたが(宣伝w)、予算を作ります。と言って「わかりましたー」なんてうまく行ったら管理部門の人はこんなに苦労しませんw
事業サイドの人も初めて上場準備に耐えうる予算を作る人が多くいます。
そのため、全体予算スケジュールの告知とその進捗状況を確認する会議は必ず開催しましょう。
私はいつも添付のようなwordファイルを部門長に渡しています。

そして一緒にExcel(本当はExcelではなくてクラウドサービス(DIGGLEとか)使いたいところなのですが、結局Excelがリテラシー等問わないので一番)のフォーマットも送りましょう。
フォーマットには必ず過去の実績も摘要とともに一緒に渡すようにしてください。いくら使ったかなんて事業サイドは覚えていません。
フォーマットは時間があればそのうちアップします(アップするとは言っていない)

3.共通費や間接経費の配賦方法のコンセンサスを取る

重くて辛い作業。。。それがこちらです。
部門共通費や管理部門の間接経費(個人的に管理部門を間接部門と呼ぶのは大嫌いですが、わかりやすいのでこう呼びます)をどのように各部門へ配賦し、各部門の損益を見るのかというのは会社ごと様々です。
これ!という正解がないため、経営陣の意向を含めて徹底的にディスカッションし、コンセンサスを取ることをおすすめします。
配賦方法が決まってしまえばあとは計算式だけですので、手を抜かずに徹底的にディスカッションしましょう。
個人的にはこの項目は上場準備時点であまりやる意味がないと思っているのですが、仕方ないです。

4.徹底的に事業サイドとヒアリング、ディスカッション

フォーマットを渡して、定期的に会議を開催しても予算は簡単には作成できません。
どうしても予算は勘定科目別に作成しなければいけないため、勘定科目別で管理したいところですが、事業サイドが勘定科目を完全に理解しているわけでもありません。
そのため、フォーマットにイベントという項目を設け、「何に対してお金をを使うのか」というのを記載してもらいましょう。
その欄に〇〇年間利用料と書いてあれば前払費用だったりというのがわかり、ディスカッションの際に「12分割してください」とか伝えることによって精度が上がってきます。減価償却費とかも同様です。
特に売上については売上に連動するKPIの設定も時間をかけてディスカッションしましょう。
どのようなアクションをすることによってどこの数字が上がり、その結果売上が上がるというのを管理部門も理解していないと差異分析ができません。
売上とKPIは事業サイド任せなんでよくわかりません、は絶対にやめましょう。

5.取りまとめて統合、抜け漏れチェック

簡単に書きましたが、まずは各部門の数字を取りまとめて部門ごとの数字をくまなくチェックしましょう。
売上の成長性、KPIは合理的かというのを重点的に原価率、営業利益まできちんと妥当性があるのか確認しましょう。
少しでも疑問が出たら必ずヒアリングして疑問は解決していきましょう。大きい数字が計上されていたりするところも疑問があればヒアリングしましょう。
抜け漏れも確認しましょう。毎月発生している費用は発生しているのか、例えば人員計画で増員しているのに、PCは増えていないとか、各種ツールの利用が増えていないとかですね。
全てにおいて問題がなければ統合しましょう。まだ終わりではありません。

6.営業利益以下の数字を作ろう

営業利益まで出たら営業利益以下の数字を作りましょう。例えば人員計画でどう考えても現オフィスに入らない場合は、そう。

移転するしかありません。

そうなったら移転時期は?どこらへんに?設備投資計画検討?等考えなければいけません。
とはいえ思い通りに行くわけでもなく、物件が思ったタイミングで空くわけでもありませんが、予算上は入れましょう。
その他起こりうる全ての可能性を検討し、数字を作っていきましょう。

7.税率は実効税率で

税率はなんとなく30%とか絶対にいけません。きちんと実効税率で計算しましょう。

8.1stドラフトが出来上がった。。。でも

以上の行程が終わって1stドラフトが出来上がりました。一般的には上記でも記載した予算会議で1stドラフトを全員に見せディスカッションをすることになると思います。
上場準備中で一番あるのが

ドラフトの予算・中経を作ったら思っていたほど利益が出ない問題

なのですが、不要な経費を削る以外のことは個人的にはあまりおすすめしません。
人間誰しも予算を作り始めると早い話「バッファ≒不要な経費」を積みたがりますので、本当に不要であれば削ってもよいと思っています。
ですが、事業をスケールさせるための広告宣伝費を削るとか採用費用を一律で削っていく等は個人的には違うのではないか、と思っています。
どのような方向性で経営陣を納得させるのかは会社ごと様々なのでしょうが、削れば利益が出るは本質ではありません。
投資をして利益を出す方向を考え、経営陣を納得させたいところです。

9.取締役会までひたすらローリングしていこう

ここまで来たらあとは細部を事業サイド側と詰めてフォーマットをローリングしていきましょう。上記8を乗り越えればあとは細部だけです。整合性含めて徹底的にローリングしていき、取締役会で承認をもらいましょう。

10.予算は作るのが目的ではない

取締役会で無事承認をもらいました。お疲れ様でした。ではありません。(確かにここまで大変だったとは思います。)
とはいえ予算は作るのが目的ではなく、達成することが目的です。
達成することが前提ではありますが、未達の場合もあります。
そのため、毎月予実管理と予実統制を徹底的に行なっていきましょう。
未達の場合はなぜ未達だったのか、毎月月次が締まったら事業サイドとヒアリングを行って差異分析をしましょう。
こうやって適切なローリングを行っていくことにより、予算の精度が上がっていきます。
予算の精度が上がっていくにつれて会社が筋肉質な会社になっていくと思っています。

さて、いかがだったでしょうか。
上場準備を進める上で予算、中期経営計画の作成、予算と実績の管理とというのは上場準備の中では最重要と言っても過言ではない部分になります。
はじめての予算ではないですが、どのような手順で予算を作ればいいのかということをざっくりではありましたが、細かな注意点も含めて書いてみました。
ここまでの一連で最低でも3ヶ月はかかると思ってください。色々期末に向けてイベントが目白押しだと思いますが、頑張っていきましょう。
こちらはあくまで経験則に基づいた内容になりますので、こっちの方が大事では、このような観点もあるのでは等のツッコミは大歓迎です。

上場準備に苦労する管理部門の方に少しでも有益になりそうな情報をこれからもアップしていきたいと思っています。
次回こそ「上場準備中に労務管理で注意すべきこと」を書ければいいなと思っています。

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