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ココトモクラブ取材記事 #2

優しい方が多い

その日の「新宿ココトモカフェ」は13時からオープン。私も参加させてもらった。

13時15分ごろからちらほらと利用者が入店し始める。各自ドリンクを注文し、無料でふるまわれたお菓子をつまみながら他愛もない雑談に花を咲かせる。私も元ひきこもりのYさんと“英語学習”についてこんこんと話し込み、ココトモクラブの常連であるというSさんと世界史・日本史談義で盛り上がった。

“発達障害界隈”には「居場所」「自助会」と称されるサークルが全国に多数あり、国内では東京都が最も数も多く盛んである。相楽さん曰くココトモクラブの利用者は「皆一様に優しく、大人しめ」であることが特徴であるという。

時折居場所へと紛れ込む〝業者〟の存在

しかしこういった居場所には時折ネットワークビジネスや宗教の勧誘目的の者が紛れ込む。傷つきを抱えた人々の弱みにつけこむビジネスであり、ココトモクラブも例外ではないという。

「居場所そのものの場ではそういった話はおくびにも出さず、利用者と連絡先を交換して個別に誘い出し、本格的に勧誘するのが彼らの常套手段です」と語る。

“業者”には出入り禁止措置をとるなど毅然とした対応を図る。そういった者たちの反感を買ったためか、オンラインコミュニティがスパム攻撃を受けてサーバダウンしたこともあったそうだ。

「スパムに限らず、批判や攻撃を受けることは珍しくありません。」
メールでの相楽さんの対応が不満だったのか、“鬼電”の果てに暴言を吐かれたこともあったという。

「最初からケンカ腰の人も残念ながらいますね。うちは利用者には最低限の礼儀は持っていて欲しいので、残念ながらそういった方はお断りしています。ほかの利用者の安全を守る義務もあるので」

不適切なコミュニケーション手段しかとることのできないパターンは、精神病理やトラウマなどの影響も考えられる。「苦しいのはそうなんでしょう。だからこそ言語化が大切なんです。困っているのはそうなんでしょうが、きちんと組み立てて伝えてもらわなければわからない」という相楽さんの言葉は切実だ。

今後は声かけ活動などのパトロールも行っていきたいと希望を持つ。
「“トー横”が自身の困り感を言語化できない人々が集うようになったように、歌舞伎町界隈には生きづらさを抱えた人々が散見されます。そういった方々に声をかけるなどのアウトリーチ活動をすることが目標です。いきなり話しかけてもただの不審者ですから(笑)、まずは新宿ココトモカフェを成功させて、認知度を高めていきたいです」と意欲を見せる。

今後も精力的な活動を続けるであろう相楽さんに引き続き注目していきたい。

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延岡佑里子(ライター)
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