6 デジタル化・DXとは組織・経営改革 #ソフトウェアと経営
ソフトウェアと経営マガジン第74回です。長らくピープルマネジメントについて書いていたのですが、今回から少し方向性を変えて、過去の私の取り組みやアドバイスなどを元に組織改革の取り組み方について書いていこうと思います。今回はその概略というか何を書いていこうとしているのかの紹介になります。
記事に対する疑問や感想、意見などXでのポストや記事へのコメントをいただければ、今後のコンテンツの改善に役立てさせていただきます、よろしくおねがいします。
前回の記事はこちら。
デジタル化・DXとは組織・経営改革
この章では実際にソフトウェアを活用してデジタル化・DX推進、組織の変革を進めようという方々向けに私自身が取り組んできたことをもとにお話していこうと思う。特に数百〜数千人以上の規模の組織を変える上で役立つ方法論に慣ればと思う。
大まかな骨子としては下記のような形となっている。
ファクトの整理
組織変革の第一歩は兎にも角にも事実の把握からスタートする。ここで言う事実とは組織内に発生している課題、現状の組織や事業状態を表す数字、そして組織を構成する人とそのつながりの3つの観点を特に重視している。これらの徹底したヒアリングから、自身の組織の全容を再確認しこれから向かう先を考える上での現在地点の共通認識を作る。
ゴールの整理
現在地点が理解できたら次に組織としてのゴール、存在理由を明確にする。これは掲げているミッションやビジョンかもしれないし、中長期経営計画などの場合もあるだろう。なんにせよ、このDX的取り組みの先に近づきたいゴールを明確にし、取り組みが進んだ数年先でどういった姿になっているべきか、将来像を描こう。
KPI管理・管理会計の進化
ゴールに近づくために、事業をモデル化しより解像度を上げる取り組みが必要だ。社内で行われている事業改善のための経営管理や管理会計があればそれを進化させる形で事業モデルを描いていこう。どういったKPI構造に分解できるか、事業内の一つ一つのミクロなイベントがどうこのモデルに影響を与えているのか、それらを知るべくKPI構造の解像度を上げていくことで管理会計をより進化させていく。そうして組織内全ての人間に公平な「数字」という共通言語を生み出し、その言語で目標や良し悪しを語れるようにしていこう。また解像度向上のためにどのようなイベントを計測すべきか、ソフトウェア活用の勘所を見つけていこう。
優先度の整理
事業モデルの共通認識ができたら、それらとファクトを組み合わせ、どこから解決していくべきか優先度を整理する。数値的なインパクトや取り組みの不確実性など幾つかの軸を用いながら取り組むべき課題を並び替えていき、最終的に全社共通の課題の優先度リストを組み上げる。特にレバレッジが聞きやすい課題、コストパフォーマンスの良い課題を明確にすることで初期の改革の効果を最大化しよう。
パッケージを作り、伝える
現在地を知り、ゴールを知り、課題の優先度が明確になったら、これらを一つの物語として統合する。組織内の全ての人にわかりやすい、いつでも立ち返るべき場として改革のパッケージを組み上げる。明確な一つの資料として構成し、わかりやすい言葉と全体を一気通貫したストーリーで表現することで、一つ一つの取り組みの位置付けを理解するための道具にする。これをしつこくしつこく定期的に発信し、定期的に振り返り社内に定着させる。
小さな成功を活かす
パッケージが出来上がったら、その中でも最優先となっているであろう施策群から小さな成功を一つ生み出せるようリソースと全神経を集中させよう。そこで生まれた小さな成功は、現在地点からゴールに至る道程、その先どこに向かうかという問いに対して点と点を結ぶ直線を意識させる。これにより、一人ひとりがどのような行動を取ることで組織に貢献できるのか、評価されるのか明確に意識することに繋がる。現在地点と小さな成功を結んだ先にゴールがある、ということを理解できるようになる。
組織を変える、人を変える
組織を変革するにあたっては、人も変わらねばならない。どういった人を明確に必要とするのか、一人ひとりのジョブとはなにか明確にする。これらを人事評価としても組み入れていくことで日々の行動の変革を促し、また貢献に対して適切に報いる仕組みが必要だ。また、変わろうとする仲間を支えるための仕組みに投資を惜しまない。こうすることで組織全体が変わろうとする力場が生まれる。
文化が生まれる土壌を作る
最終的に、組織の文化を変えていく。文化とはAgilityの基盤の一つだ。一人ひとりが課題に向き合う際、自然に同じような振る舞いをする、それを支える組織文化は、言葉ではなく振る舞いとコミュニケーションの中で組織の人のネットワーク上に自然と発生するものだ。だからこそ、そうした文化が発生するための土壌を整えるための取り組みを様々考え、象徴的なイベントや取り組みを生み出し継続的に強化していく。
ここまで上げてきた流れを踏まえながら、組織のAgilityを高めていくことが、本章の目指すところとなる。以降、一連の流れについて一つ一つ見ていこうと思う。
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