見出し画像

鎖骨

鎖骨は肩⁉︎

最近、鎖骨の役割が大事だなって思うことがあったので、今回は鎖骨についてまとめていきます。

体幹と上肢は多くの筋で繋がっています。
しかし、骨と骨が直接繋がっているのは唯一「鎖骨」しかありません。

鎖骨は「胸鎖関節」で胸骨と鎖骨を繋ぎ、「肩鎖関節」で肩甲骨と鎖骨を繋いでいます。

※肩甲骨は「肩甲胸郭関節」と言われていますが、肋骨との連結は筋肉だけしかなく、靭帯や関節包はないので骨と骨が連結している関節ではありません。

鎖骨は、肩関節の動きに影響しているにも関わらず、一般的に「肩」という認識がありません。

肩関節を痛めないためにも、パフォーマンスするためにも「鎖骨」の可動性は重要です。


鎖骨の機能

犬やチーター、馬には鎖骨はありません。
速く走ることを重視しているので、鎖骨がないことによって脚をより前方につくことができるからです。

鎖骨があることによって肩が安定し、器用な動きができるようになりました。
それでも、猫の鎖骨は小さく、骨と骨が連結せずに浮いているだけです。

また鳥類の鎖骨は胸骨から完全に離れ、左右が中央で癒合してV字状の形をしています。
(鳥の鎖骨は「叉骨」と言われ、翼の上げ下ろしにバネのように働きます。空が飛べるかどうかはこの叉骨あるなしで決まるそうです。)

ヒトは哺乳類の中でも鎖骨が著しく長く発達しています。
それによって、肩関節の水平内転、外転の動きが可能となり、物を投げるためのエネルギーが生み出せるようになりました。
また、2足歩行時のバランスに関与しているとも言われています。

このように進化の過程からみても、鎖骨は非常に重要な働きをしています。


では、ヒトの鎖骨は具体的にどのように動いているのでしょうか?

一般的に、肩関節の屈曲の鎖骨は20%(胸鎖関節で10%、肩鎖関節で10%)を担っていると言われています。
180°の20%だから、だいたい35°くらいは鎖骨の動きが関与しています。

胸鎖関節

胸鎖関節の可動域は、
挙上が60°、下制が10°
前突と後退がそれぞれ15°ほど
前方回旋と後方回旋があり、上肢最大挙上で35°くらい
動きます。

胸鎖関節は完全後方回旋位(約50°)にてしまりの位置となり最も安定します。

胸鎖関節は鞍関節ですが、関節円板が存在することによって3軸の動きが可能になります。
また、肋鎖靭帯、胸鎖靭帯、鎖骨間靭帯があり、安定性が保たれており、退行変性や脱臼は極めて稀です。

画像1

(筋骨格系のキネシオロジーから引用)


肩鎖関節

肩鎖関節は関節内には関節円板、周囲には肩鎖靭帯があります。肩甲骨運動の中心軸としての役割があります。
可動範囲は垂直軸に約30°、矢状軸に約50°、前額軸に30°の運動が可能と言われています。

画像3

(筋骨格系のキネシオロジーから引用)

画像2

(肩関節拘縮の評価と理学療法から引用)

また、肩鎖関節は脱臼しやすく、コンタクトスポーツなど肩を強く強打することで発生します。烏口鎖骨靭帯(円錐靭帯と菱形靭帯)も損傷すると鎖骨が浮き上がってくるのが特徴です。


鎖骨のセルフコンディショニング

ここまでで、鎖骨の重要性や動きについて解説してきました。

次に鎖骨のセルフコンディショニングを説明していきます。

まずは胸鎖関節をケアする側と反対の手で触りましょう。

画像4

STEP1 
胸鎖関節を触りながら肩関節屈曲をします。
屈曲90°あたりから鎖骨が挙上して動いているのを感じとります。

画像5

この時に、鎖骨が後方回旋するのも感じとれるように意識してみましょう。


次に肩関節の水平内外転の運動をします。
内転、外転に合わせて鎖骨が動いているのを感じとります。
(この時は関節面より骨を触っていた方が動きがわかりやすいです)

画像6

画像7


まずはこのように肩関節の動きに連動していることが確認、認識することが大切です。
鎖骨は「肩」という認識を持つこと、持たせることが肩の障害予防やパフォーマンスアップの観点から重要です。


STEP2

肩関節と連動した鎖骨の動きを確認できたら、今度は胸鎖関節にフォーカスして動かしていきます。

挙上、下制

画像8

画像9


内転、外転

画像10

画像11


その他、円運動などいろんな方向に動かします。

胸鎖関節を触って動きを認識しながら行うだけでも動きが軽くなるのを感じられるかと思います。


試しにセルフコンディショニングした方とそうでない方の左右の肩の動きを確認してみてください。

動かしやすさの違いを感じられたでしょうか?

このような動きを確認する作業がそのままセルフコンディショニンとして使えます。

動かしにくい方向などあったら、その方向は入念に行いましょう。


冒頭にも述べましたが、鎖骨は体幹と上肢を繋ぐ唯一の骨です。
鎖骨下リンパ管なども走行しているので循環にも大きく影響します。

しっかりとケアすることで肩関節の動きの改善だけでなく、疲労回復など促進する効果も期待できるので、ぜひ習慣にしていきましょう。

解剖学、運動学だけでなく、生理学、進化の過程など、様々な観点からみて「鎖骨」はとっても重要なポイントになるので軽視しないようにしましょう。

お読みいただきあいがとうございました。


謙虚・感謝・敬意
知行合一・凡事徹底
岩瀬 勝覚

発信媒体

Facebook

Instagram

Podcast(心と身体の“羅針盤”)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?