1万日後に死ぬワニ(割りと長生き)
すい臓がんで余命4ヶ月宣告をされた作家の山本文緒さんの、亡くなる9日前までの日記『無人島の二人』を何度も読み返しています。
もともとファンだったので、遺作小説だと思ってダウンロードして、予想外の内容に一晩で読んでしまった。
病状にもよるだろれど、亡くなる数日前まで人は漫画の新刊を読むし、友達と雑談をするし、1年後に発売される次巻についても思いを馳せる。
すごい作家は、意識が混濁する直前まで、すごい作家のままでいられる。
ご本人も書かれていたけれど、漫画や映画では、俗に言う「朝チュンシーン」のように、「緩和ケアになりました→お葬式シーン」になりがちなので、今回の作品で「緩和ケアを受けながらの日常」が垣間見られて、よかった。
御本人が冗談で、『100日後に死ぬワニ』にかけて、『120日後に死ぬふみお』とおっしゃっているけれど、仮に平均寿命近くまで生きたとしても、365✕年数なわけで、、、。
若さのど真ん中の30歳だとしても、「2万日後に死ぬワニ」くらいかな。
想像できない日数じゃない。
50の声を聞いたら、平均的には1万日とか?
それはある程度楽観的数値であり、1日かもしれないし、500日かもしれない。
長い短いはありつつ、見方によっては誤差な範囲で、人はみんな、余命○○日というなかで、日常を続けている、って実感させられました。
「バニラ様」が発売されてすぐ、「山本文緒さん死去」てニュースがでて、「は?新刊読んだとこだけど⁉️」てビックリした裏側ではこんなことが……。
「新刊が出たら買って間違いのない作家さん」の次巻がもう出ないんだ、と気がついて、今、なんともいえない寂しい気持ちになっています。