腐食した過去は。


え、学校辞めたの?

その一言で心の底がヒヤリとして、さっきまで感じていた生優しい毛布の暖かさは一瞬でどこかに消えてしまった。

 あー、って独り言を吐いてなるべくゆっくりと深呼吸をする。

  世間一般で使われているメッセージアプリから送られたその一言が私はすごく怖くてどうしてこうなっちゃったのかなぁなんて
何千何万と繰り返したかもしれない思考回路をまた再起させる。

まるで腐食したような過去をなぜ思い浮かべているのかは私自身も分からなかった。

けど、もしかしたら世間から、大人から、逃げるなと当たり前に言われるこの世界から、逃げられないことに絶望して自分から嫌な記憶に立ち向かっているのかもしれない。
いや、それすらも自分が逃げている事実から逃げたいだけのただの現実逃避でしかないのかもしれない。

   始まりなんて分からない。
   終わりなんて分かりっこない。絶望だろうと希望だろうとそこに至るまでには必ずほんの少しの過程があるからこそきっと人間は後悔というものをしてしまうんだと思う。 

私の後悔の始まりはなんだったかな、

私の絶望の始まりはなんだったのか。

弟の死か。
それとも母親の善意か。 

毎回毎回、私はこの腐食した過去を思い出してしまう 
望んでもいない中学受験。
死にたいと思うほど苦しんだ毎日。

ベッドに入って瞬きをしたと思ったら朝になってた。そんな絶望があの頃の私に取ってどんなものだったのか今でも語源化が出来なくて苦しんでしまう。

  厄介なことに、記憶力が悪いはずなのにまるで腐食したような嫌な過去に限って頭にこびりついて離れることを知らない。

「あー!!全く人間ってのはなんでこんなにも生きにくいんだー!!、進化の過程で絶対改善した方がいいだろー!!!!」
なんて、どうしようもないことを独り怒りながら言ってみたこともあるけど

現実が何も変わらないことにやっぱりな、とどこか落胆してしまうだけだった。

   …燃え尽き、ってものなのか私は3年、正確に言うと2年半程費やして入った中学校をあっさりとやめてしまった気がする。やめた、そう、やめた。

辞めたのは今よりもずっと前。すごく後悔しているって訳でもない。というより、行きたい学校も特にないから学力が足りそうな少しでもましな学校を第1志望に選んだだけだった。

  充分に学力があったら好きな学校を選べたんだろう。そう言われたら私はNOと答える。
そんな気力もないほどギリギリだったから 。

仮に、入りたいと思える学校を見つける気力があったとしてもその後学校に行けないという1つの事実がある限り私は報われない。

学力自体は、元々は低くはなかった。あまり覚えてないけど無理やり塾に行かせられて、

本当に行けなくなったら今度は無理やり新しい塾に行かせられて、

そうやって私は塾に行くたびに学力が下がっていったような気がする。

   考えれば考えるほど馬鹿げてる話だなと思うけど過去は変えられなくて未来は不確定で、
また心が冷えていって、深海の底に置き去りにされた人形みたいになって、
また何故か考える。


   子供にとって学校というものは世界の全てのように映る。水槽の中で育った魚が水槽の中を「世界」だと思うようにそこが全てだと思い込む。

どれだけ外の世界が広がっていても不安は残る。友達だってそこから生まれるものだからより周りが小さな世界で蓄積されて理解は出来ても感情は着いてこない。


だからこそ「学校退学」なんてことになったらそれこそ人類滅亡並に考える。
それまでの普通から外れることになると同時にに大きい不安に襲われる。

それが、私にとっての腐食した過去だった。

(私の場合は高校ではなくてまだ中学だったことが一応の救いなんだろう。退学ではなく、「転校」という形になるから)


どれだけ気にしないようにしていてもそれを世間は許してはくれないからこの世界子供だとしても生きにくいと思えてしまう。

よく大人は子供よりも大変で辛い、なんて意見をネットで口にする人をよく見るがそれでも大人にある逃げ道が子供にはないと思えた。

いや、それは逆も言えることか。そう考えなおして携帯を持ちながら寝返りを打つ。

どちらにしろ、この世界は生きにくい世界だと私は思う。
もっと、生きやすい世界にも出来ると思う。

   じゃあ…この思考を覗いている画面の向こうにいる貴方はどう解釈するのだろう。

この世界は生きやすいのか
この世界は生きにくいのか

でもそんな話は置いておこうと思う。
きっとつまらなくても面白くても私自身が良くない思考に陥って、溺れてしまうから

私はまだ考える。
この腐食した過去を、無くすとはいかなくてもきっといつかは大切な記憶になるかもしれないから




わたしのnoteを見てる人なら分かると思うけれど、今回はちょっと文章を変えてみた。少し小説風にしてみたけどちょっと読みずらかったかな…
いいなと思ったら感想ぜひ。 
今回私のnoteを見てくれた人とも、またいつか会えますように。またね。


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