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生活保護の申請を検討しているすべての人へ ―申請する時役に立つ「情報」と「ツール」

このコロナ禍で生活に困窮されている方は今まで以上に増していることと思います。
実際、生活保護の申請件数が増加していることが報告されていますね。
しかし、多くの人にとって、生活保護はその制度名こそ知っていても遠い存在ではないでしょうか。
支援の現場で生活に困窮された方と話をする度に痛感するのは、「生活保護に対する様々な不安が、当事者が生活保護を申請するのを躊躇する要因になっている」ということです。

そこで今回は、生活保護の申請を少しでも考えている人にとって役に立つ「情報」や「ツール」について3つの視点から紹介したいと思います。

生活保護は、誰でも申請できる!

相談支援の現場でよく聞く声として、「自分が生活保護の対象になるのかどうか分からない」「生活保護を利用する資格があるか自信がない」というものがあります。

日本では生活保護に対するスティグマや自己責任論が幅をきかせているためか、「自分の頑張りが足りないのではないか」と悩み、「頑張りの度合い」によって「資格」があるかどうかを本人が自問するという状況になりやすいのかもしれません。

こういった気持ちは分からなくはないですが、「頑張っているかどうか」という基準で考え出してしまうと、きりがないように思います。そもそも個人の頑張りを客観的に測る指標などありませんし、今後もつくれないでしょう。
そうであれば、「本当に頑張っているか」という誰も判断ができない基準であなた自身を追い込むのではなく、客観的な指標、第三者に判断を委ねてしまったほうが気が楽になるのではないでしょうか。

日本では憲法25条の生存権によって、すべて国民は「健康で文化的な最低限度の生活」を送る権利を有するとされていますが、この権利は「本人が頑張っているかどうか」によって左右されるものではありません。
どんな人であっても、「今現在、最低生活を下回る生活をしている」のであれば、保護の対象になるのです。

そして、この「最低生活を下回る生活をしているかどうか」という客観的な基準によって、あなたが生活保護を利用できるかどうかを審査するのは、福祉事務所の仕事です。あなたの仕事ではありません。
時々、「私は手続きというものが苦手で自分の資産すら正確に把握していないので、申請できません」という人がいますが、生活保護の要否判定はとても複雑な基準によって行われるのであり、個人で判断や証明などできるわけがありません。
繰り返しになるますが、そういった判断や証明を行うのは福祉事務所です。

あなたは「申請」さえすればよいのです。

そして、この「申請」自体は、すべての人に権利として認められています。
孫正義さんであっても、「申請」できます。
「申請自体が拒否される」ということは、あり得ません。
申請の拒否は、「違法行為」だからです。

ちなみに、令和2年3月10日に厚生労働省から次のような内容の事務連絡が行なわれています。

3 適切な保護の実施
(1)面接時の適切な対応
面接時の適切な対応としては、相談者の状況を把握した上で、他法他施策の活用等についての適切な助言とともに、生活保護制度の仕組みについて十分な説明を行い、保護申請の意思を確認されたい。また、申請の意思が確認された方に対しては、速やかに保護申請書を交付するとともに申請手続きの助言を行う必要があることから、保護の申請書類が整っていないことをもって申請を受け付けない等、法律上認められた保護の申請権が侵害されないことはもとより、侵害していると疑われるような行為も厳に慎むべきであることに留意願いたい。


※もしも、「生活保護の申請書を出したのに、受け付けてもらえなかった」という人がいたら、すぐに教えてください。私も一緒に該当の福祉事務所に抗議のうえ、再度の申請をサポートします。

なので、今まさに生活が苦しいのであれば、躊躇なく申請してもらって問題ありません。

確実に「申請」するために

生活保護の申請はすべての国民に認められた権利ですが、申請のつもりで窓口に行ったものの、「あなたはまだ働ける」などと言われ申請自体を諦めた、という声も残念ながらいまだに聞きます。
この場合、申請書を出していないため、福祉事務所側としては「申請」ではなく「相談」のケースとされてしまうわけです。
※こうした福祉事務所が生活保護の申請を(事実上)受け付けないやり方は「水際作戦」と呼ばれたりします。

このように、「『相談』の結果として申請をしなかったケース」として扱われないためには、予め申請の意思を紙に書いて提出するというのが効果的です。
生活保護の申請用紙はこちらのページ内でダウンロードできます。

申請用紙をダウンロードできる環境にない方の場合は、どんな紙でもよいので以下の内容を書いて、お住いの地域の福祉事務所に出してください。FAXするのも良い方法です。

■タイトル
(「次の通り生活保護法による保護を申請します」など)
■その日の日付
■名前
■生年月日
■理由(例:新型コロナウィルス感染拡大の影響で収入が減り生活に困っている など)


これだけであなたが申請の意思を示したことになり、役所は却下できません。
※もしも、「生活保護の申請書を出したのに、受け付けてもらえなかった」という人がいたら、すぐに教えてください。私も一緒に該当の福祉事務所に抗議のうえ、再度の申請をサポートします。

また、「つくろい東京ファンド」が2020年12月15日から「フミダン」という、オンライン上でフォーム入力するだけで生活保護の申請書を作成できる無料サービスをリリースしています。

12月29日からは東京23区の福祉事務所にオンライン上で作成した申請書をそのままファックスできる機能も追加されるとのことです。

※以下は、フミダンについての公式URLページより、内容を抜粋したもの。


1.オンラインの質問フォームを埋めていくだけで、 簡単に生活保護申請書類が作成。 PDF形式でダウンロードし、 それを印刷し福祉事務所へ自分の手で提出することで、 生活保護の申請ができる。 (12月15日より開始)
2.東京都23区の福祉事務所へ、 作成した申請書類をオンライン上から直接FAXで送信、 オンラインでの生活保護のFAX申請ができる。 (12月29日~1月3日まで試験運用)

一人で申請するのが不安な方へ

そうは言っても、なかなか一人で申請することに不安を感じる人も少なくないでしょう。

生活保護の申請を無料でサポートしてくれる民間団体は国内にたくさんありますが、「自立生活サポートセンター・もやい」など有名な団体は東京などの都心部に多く、地方の方の申請に同行してくれる団体はあまり知られていないようにも思います。

そこで紹介したいのが生活と健康を守る会です。
「生活と健康を守る会」は、国内では最も長い歴史のある当事者団体であり、全国に活動の拠点があるため、地方にお住まいの方でも相談がしやすいと思います。

「〇〇県 生活と健康を守る会」などと検索すればすぐに出てきますので、興味のある方は調べてみてください。
※「生活と健康を守る会」は、地域によって活動内容や規模が大きく変わりますので、「申請の同行」ができるかどうかなどは各自でご確認ください。

その他、不安なことがある方へ

今回紹介させていただいた内容以外にも、生活保護の申請に関して不安なことや分からないことがある方も多いと思います。
筆者はこれまで、生活保護の申請サポートを含む困窮者支援を生業としていますので、何か不安なことがあれば、私のtwitterのDMにてご相談ください。
※仕事終わりや休日を利用して返信をさせていただいていますので、お返事までに時間を要することがあります。予めご了承ください。

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永井悠大
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