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Ample make this Bed ——1日を終わらせるのは
Ample make this Bed ——
Make this Bed with Awe ——
In it wait till Judgment break
Excellent and Fair.
Be its Mattress straight ——
Be its Pillow round ——-
Let no Sunrise' yellow noise
Interrupt this Ground ——
床を広々とつくりなさい
おそれをもって、厳粛に
そこに入って、すばらしく
公正な
裁きの訪れを待ちなさい
布団はまっすぐ
枕はふっくら
朝のけたましい雑音から
その場所を守れ
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挽いた豆をドリッパーにセットしたこの状態が、いわゆる「コーヒーベッド」。ドリッパーの根元を持って左右にかるく揺すると、まっすぐ(straight)になります。
ここに88~92℃くらいのお湯を注いでいきましょう。
ベッドの中心から、
ゆっくりと、
円をえがくように(round)…
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(一般的なケトルだと、狙った場所に落としたり、湯量の調節が難しかったりするので、ドリップポットにお湯を移しかえてやるのがおすすめです。)
最初は全体にかかるくらいの少量のお湯を注いで、少し待ちましょう。(蒸らし)
その後、2~3回に分けて注いでいきます。
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おいしいコーヒーができあがりました。
…さすがにこれで終わるわけにはいかないので、続いて詩の解説いきます。
ディキンソンのこの詩は、まず内容以前に、調子がとてもおもしろいと思いました。
Ample make this Bed -
Make this Bed with Awe -
一行目のmake this Bed、
これがそのまま二行目の頭に転用されます。
(英語の正確な語順としては、
make this bed ample なので、
作者がここであえて語順を倒置して書いたのは、
急に付け足して言うような、この調子を出すためだったのだと分かります。)
In it wait till Judgment break
Excellent and Fair.
いいか、そこ(ベッド)は最後の審判を待つ場所なんだからな。(くれぐれもよろしく。)
と、ここのピリオドで終わったかとおもいきや、
Be its Mattress straight -
Be its Pillow round -
まだ、マットレスはこうだとか、
枕はこうしろとか、
口やかましく言ってくる。
…ようにも聞こえるけれど、
同時にこれが誰かの親の小言のように、
コミカルに聞こえるわけではけっしてない、というところが。(おもしろい。)
その秘密は、やはり内容にありそうです。
ベッドは眠る場所、そして死を待つ場所であり、Judgment breakはキリスト教でいう「最後の審判」をあらわしたものだと思うので、
内容としては、宗教的な威厳をもって、生きているうちからきちんと死と向き合う、そのことを説いているかのように読めます。
「一日を終わらせるのは何だと思う?」
「睡眠、じゃないのか」
「違う。モーニングルーティンだ」
昨日、友人二人がそんな話をしていました。
モーニングルーティン、といえば一日を始めるものであって、むしろ生の儀式だと思っていたので、それを終わり、死の儀式としてとらえる発想はとても斬新でおもしろかった。
そんな彼のルーティンといえば、(ちゃんと確認したわけではないですがおそらく)コーヒーを淹れることだと思うので、
Judgment breakがコーヒーの出来上がりを意味するという解釈で、コーヒーを淹れるモーニングルーティンについて書いた詩である、と無理やり読めなくもない、この詩を訳してみました。
無理か?……
『THE COMPLETE POEMS OF EMILY DICKINSON』
THOMAS H . JOHNSON, EDITOR