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WIFE&HUSBAND
予約が必須のようで、ようやく来れたワイフアンドハズバンド、外からだけでもう、ただならぬ雰囲気だ、中は小さく美しい宝石箱、あるいは秘密のオルゴールの中のような極上空間、ヴィンテージ家具やアンティークグッズに包まれる異世界、モノがたくさんあるのに、整然とした印象を受ける、あるべきものが、あるべき場所に収まっている、そういう感じを受けるからだろうか、カウンターの左の方の席に着き、メニューの一番上にあるドーターブレンドと、チーズテリーヌを注文する、そうこうしている間に、もうスタッフとの会話がゆるやかに始まっている、さすが京都、そう、これこそが京都なのだ、お客さんとどんな話をすればいいのか、大変勉強になる、お住まいは、お近くですか、お店はいろいろ回られてますか、今日はお休みですか、休日は、勉強になるが、あまりできるようになる気がしない、なぜだろう、余計なことを考えてしまうからか、それとも何も考えてないからか、そんなことをつらつらと考えていたらコーヒーが来た、
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ときの流れが自然すぎて、写真を撮るのも忘れていた、なんならコーヒーを飲みに来たことすら忘れそうだった、深煎り特有の深い香りが、ゆっくりと通り過ぎたあとに訪れる味わいは、華やかさもあり、苦みもあり、非常に均整がとれたバランス、そして苦みやアクの強さがあとを引かない、スッキリとしたあと口で、とても飲みやすくおいしいコーヒーだった、悪は存在しない、映画好きのスタッフさんが教えてくれた映画をこんど見に行ってみよう、店を出て、鴨川をぶらつきながら、そんなことを考えていた。
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