【キャリコン視点で】『バチェロレッテ』【再考】
ドラマ・映画好きなキャリアコンサルタント xyzです。
ついに今日、Amazonプライムで『バチェラー』4が始まりますね‼️
先日、シーズン4のバチェラーが黄皓さんだと公式発表があったときのわくわく感‼️
バチェラーの新シーズンが始まる記念に、黄皓さんも参加していた、前シーズンの『バチェロレッテ』について、復習がてらキャリコン視点で思うことなどを。
選ばれる女から選ぶ女へ
『バチェロレッテ』
Amazonプライムで視聴できるオリジナルコンテンツ、恋愛リアリティショーのタイトル。
これまでのシリーズでは『バチェラー』というタイトルで「真の愛を見つけ出すチャンスを得た、ある一人の幸運な独身男性バチェラーが、25人の女性たちと様々なデートを繰り返しながら、運命の相手となる最後の1人の女性を選び出していくという恋愛サバイバル」でした。
(ちなみに本家アメリカでは『バチェラー』のプロデューサーが最近、番組の裏側を暴露したドラマ『UnREAL』を制作して話題になっているそうです。観てみたい……!)
そもそものバチェロレッテの意味は⬇︎
平たく言えば独身女性のことですね。
番組紹介によると「1人の独身女性を、職業、年齢、容姿、性格もさまざまな17人の男性が奪い合う婚活サバイバル」です。
この紹介文……。
「女性を男性が奪い合う」という表現に改めて気がつきモヤモヤしています。
これだと主語は男性ですね。
女性は獲得される側……でも『バチェロレッテ』を1話でもご覧になった方なら同意していただけると思いますが、この番組、まったく女性が受け身ではありません。一人の女性が、運命の相手となる一人の男性を選び出していく過程を見るものでした。
奪われる側ではなく奪う側。
選ばれる側ではなく選ぶ側。
主語として君臨する女性、それがバチェロレッテ。
この番組の中で男性はバチェロレッテの気を惹き、バチェロレッテに選ばれる為にアピールをし、ライバルと戦うのです。
人生の主導権を握るのは。
男性が女性を選ぶ、から女性が男性を選ぶ、という主語の大転換。
これ、既に先駆者がいました!それも随分前に。
漫画『はいからさんが通る』で、ヒロイン花村紅緒の女学校時代の親友に、北小路環というハンサムウーマンが登場します。
時代は大正。
この環さんは華族出身の令嬢。
女学校でも成績優秀、『青踏』を読み、平塚らいてうに心酔するなど、女性解放運動に興味を持つ活発な女性です。当時を情勢を思えばなかなかに勇気ある発言です。
男性に選ばれるのを黙って待っているのではなく、自分とともに歩むパートナーは自分で選ぶ。
「自分の生き方は自分で選ぶ」という自由と覚悟の大切さ。人生の主人公は自分、という強い強い意志と決意を感じさせるセリフでした。
殿方を選ぶ、と聞いて思い出すのは『竹取物語』のかぐや姫です。
わたし、初代バチェロレッテ萌子さんは、令和のかぐや姫ではないかと思っていました。
バチェロレッテ=令和の竹取物語
さて、みなさんご存知の竹取物語。
平安時代前期に書かれた『竹取の翁』、日本最古の物語と言われています。この物語に登場する娘が、かぐや姫。
美しく成長したかぐや姫は、世間の男たちの耳目を集め、その貴賤を問わず皆どうにかしてかぐや姫と結婚したいと、噂に聞いては恋い慕い思い悩んだといいます。SNSもなかった時代の口コミたるや!
その中でも五人の公達(貴公子)がかぐや姫に求婚し、かぐや姫に言われるがままに、宝物探しの旅に出ます。
つまりは入手困難(というよりはほぼほぼ入手不可能)な宝物を持って来させる……って、かぐや姫どんだけ無茶ぶりしてくるの。
金に糸目はつけず、人によっては命まで賭けて、珍しい宝物を手に入れようとしますが全くうまくいかず。
五人の公達、心身ともにボロボロに。
これ、冷静に見ると、やんわりとしたお断りではないのかな?
「結婚する気はありません」ってことですよね?
しかし、かぐや姫、その後帝とは三年間も文通するんですよね……。さすが帝のことは拒めなかったのか、帝だけあってかぐや姫も文を交わすくらい相手をするのですね。五人の公達の苦難を考えれば、帝はまだ報われてます。
でも、その帝のこともソデにしてしまう……帝は、あらゆる力を駆使しても「どう頑張っても手に入らない女」に夢中になって他の女性が目に入らなくなるのです。
ますます、かぐや姫、実は誰とも結婚できなかった(したくなかった)のでは?と疑ってしまいます。
そもそもかぐや姫は月の世界の人で、月に帰らなければならない、つまりこちらの世界では縁を結べないって、初めからわかってたのでは?
それでは、なぜかぐや姫は男たちを競わせたのでしょう?
そんな気がしてならないのです。
(あくまでわたし個人の意見です)
かぐや姫、かまってちゃん説です。
(わたししか言ってないです)
自分への気持ちを、どれだけ真剣なのか確かめたかったのかと。
手強いお姫さま
時は流れ、令和。
初代バチェロレッテは萌子さんというハンサムウーマン。
常に背筋を伸ばした良い姿勢で、はきはきとした口調で自分の思いを率直に語る萌子さん。
世間では、萌子さん支持派が多かったように記憶してます。
男性に媚びない大胆なファッション、大柄で堂々とした立ち姿。
真っ直ぐ相手を見て、視線を逸らさない強さ。
口にするのは、溌剌としたポジティブな言葉や名言の数々。
これまで、バチェラーで選ばれる側にいた女性たちとは一味も二味も違う!
珍しく、似たタイプにバチェラー シーズン3の野原遥さんという女性がいましたが、彼女は結局バチェラー友永に選ばれませんでした。
選ばれなかったのにもかかわらず、別れ際泣いている(!)振った側のバチェラーに「頑張ってね」と優しく声掛けして颯爽と去っていく……最後まで遥流美学を貫き且つ気遣いを忘れない、完璧すぎる女性でした。
バチェロレッテ萌子さんもシーズン3の野原さんも、ポリコレ的な表現からは外れますが、誤解を恐れずに昔の言い方をすれば「男勝り」「姉御肌」な人ではないでしょうか。
姉御肌の特徴として
男性受けよりは女性受けするキャラクター。つまり、男性側からするとオトシにくい相手、でしょうか。
バチェロレッテ萌子さんも、なかなか手強いお姫さまでした。
……ですが、正直言うとわたし、番組途中から萌子さんが苦手になってしまいました。
初めこそはっきりモノを言う萌子さんに痛快さを感じて見守っていましたが、回を追うごとに彼女の言動にモヤモヤを感じるようになっていました。そのモヤモヤはどこからくるものなのでしょう。
(萌子さんが苦手、とは書きましたが萌子さん本人を否定しているわけではなく、萌子さん「的なもの」が苦手という意味です。念のため。)
基準は元カレ?
途中から萌子さんを見るのがしんどくなってしまった理由の一つは「萌子さんがとても頑固」だからかもしれません。
頑固というのは、別の見方をすれば「ブレない」「自分の軸が定まっている」ともいえるのですが、相手に変化を求めるほどには自分の変化は求めていない人なのかな、と思ったのです。自分の中に確固とした正解を持っていて、その正解探しをしてしまってるのかなと。
ひょっとしたら、萌子さん、自分を変えたくてバチェロレッテに挑戦したのかもしれませんが、番組で見る限り、萌子さんをきっかけに変わっていく男性はいたけれど、萌子さんを変えさせるまでの男性はいなかったのか……。
変わらない人。
変わる気のない人。
相手を受け入れない。
相手に受け入れさせても自分は相手を受け入れない。
少し頑ななような……。
萌子さんは、バチェロレッテに参加する前に付き合っていた元カレのことを未だに引きずっていたのかな?(想像)
未練ではなく、次の相手を決める時の基準として元カレが萌子さんの心を支配しているように思えました。
せっかく新しい出会いを求めてきているというのに。
さて、ここでクランボルツに登場していただきます。
キャリアの世界には、プランド・ハプンスタンス理論(計画的偶発性理論)という考え方があります。
どのような人が幸運に恵まれるのか?を研究したクランボルツは、多くの事例の中から5つの行動特性があることを発見しました。
このキャリア理論、恋愛に当てはめてみることもできそうです。
恋愛における萌子さんの行動特性に照らし合わせてみると、この5つの中では③柔軟性 と⑤冒険心 が萌子さんの泣きどころかな……?と思いました。
柔軟性も冒険心も、萌子さん持ち合わせているように見えますが、実はこの部分彼女の弱さであり足りないものではないのかなとも思いました。
(あくまで番組という限られた情報のみでの、わたしの主観ですのでその点ご容赦くださいね)
そして、この二つの行動特性がそれぞれファイナリストの二人の男性の強みであり、萌子さんが彼らに惹かれた部分と深く関わっているのではないか?と気づきました。
「柔軟性」は、ずばり杉ちゃん。
美大を卒業して画家としての活動をしている彼は、独特の感性の持ち主です。
自分の考えに凝り固まらずに、相手に合わせられる融通性もあります。
良くも悪くもずっと変わらなかった萌子さんに対して、杉ちゃんは番組の進行とともにどんどん変わっていきます。
「冒険心」は黄皓さん。
大手企業を退職して起業した彼は、まさにモチベーション高く、青雲の志の持ち主です。
16歳まで中国で生まれ育ち、日本に移住、日本の教育を受け日本で就職をして……一言で「ハイスペック男子」と表現するのは簡単ですが、そこにたどり着くまでの努力は並大抵のことではないし、その努力を見せないスマートさもまた、彼の大きな魅力です。
黄皓さん
名言「仕事があるところに行くし、行きたいところに仕事を作ろうと思っている」
いわゆるハイスペック男子。そして、今や新シーズンのバチェラー。
「リスクマネジメント、やめない?」
萌子さんが黄皓さんに言ったのは、かぐや姫萌子さんが「私への“本気“を見せて!」という気持ちの表れなのかな、と思いました。
序盤は黄皓さん、正直言ってそんなに萌子さんに夢中には見えなかったのです。それは他の男性もそんな感じでしたが。
恋愛リアリティショーでの勝者になりたい、相手は誰であっても。選ばれるのは当然自分。
特に、黄皓さんは自分のスペックの高さを自覚しているし、なんなら他の候補者よりも自分が秀でているという自負は人一倍あったはずだから「自分が選ばれない」ことはあり得ない、それこそゲームの経験値(ポイント)を上げていくような、そんな印象を受けたのです。
きっと萌子さんもずっと「この人、本当に私を好きなのかな?」と不安だったのではないかと推察します。かぐや姫が五人の公達に無茶ぶりしたように、萌子さんも黄皓の気持ちを確かめたかったんだと思います。
それも珍しい宝物よりも手に入り難い注文。「私に自信を持たせてほしい」
萌子さんの心を奪ってみせろという無茶ぶり……。
何事にも(恋愛にも)主導権を握っていたい萌子さんが、黄皓さんに主導権を奪われそうな脅威を感じたのでしょうか。必死になって黄皓さんに対抗しようとしている様子でした。
その一方で、萌子さんは黄皓さんに自分の本当の気持ちをさらけ出していたのかな?
今改めてエピソード見返してみると、最後に振られた時には、すでに次期バチェラーのオファーがきていたのではないか、と邪推してしまうくらい、最後好感度爆上がりしていたしサバサバしてたなぁ、黄さん。
良くも悪くも計算高さを感じさせる黄皓さんです。(褒めてます!)
杉ちゃん
名言「愛は花びら」
「男性として見られない」と最後の最後に萌子さんに振られてしまったスギちゃん。
「たまらなく好きです。萌子さんのこと考えると、成長できるし変われるし、びっくりする明日になる。いまの自分がすごく好き。生きるのに必要不可欠になっちゃったんですよ」
杉ちゃんは萌子さんのことを好きになってから、ぐんぐん変わっていきます。多分参加者の中で一番化けたのが杉ちゃん。
「愛は花びら」もそうですが、杉ちゃんの言語センス、とても独特です。自分の感情を掬いあげて、自分の言葉を使って言語化する……暗黙知を言語化できる人なんですね。
これまでの杉ちゃんは、その暗黙知の表現を得意な描画という手法に頼っていたと思われます。
序盤、口下手で引っ込み思案な様子の杉ちゃんからは、言葉で表現することにはまだ戸惑いや稚拙さが見て取れました。
一方、言葉でなんでも表現しようとする萌子さんに触発されて、彼も思いを言葉を使って表現することに慣れるにしたがって、言語化のスキルが磨かれていったのでは、と思います。
しかも元々絵画のスキルもある杉ちゃん、たくさんの自己表現方法を持っていてるのは強みです!
旅という共通の経験を重ねたことで、杉ちゃんの独特な感性の言葉への共感が萌子さんにも芽生えやすくなったのではないでしょうか。
ちなみに、杉ちゃんの実家の庭に二人でりんごの木を植えてたけれど、あれどうするんでしょうか。気になる……。
「私の」旅、「私の」物語
最終回後の特番で、ファイナリストの二人を含むこれ迄の脱落組が全員スタジオに集められて座談会をした時のこと。
萌子さんが言っていた言葉で印象的なものがあります。
「これは私の旅だから、旅の終わりは自分で決める」
「私の人生を決めるのは、私です!」
「誰かを納得させる為に自分の決断をしているわけではない」
「私の結論は、私だけのもの」
スタジオの男性陣から萌子さんの意思決定にブーイングが出た時の発言です。
選ぶのは私!
決めるのは私!
この旅は私の旅!
外野にとやかく言わせない!という強烈な圧を萌子さんの言葉や言い方の端々から感じ取りました。ものすごくピリピリしているなぁ。
思い返せば、番組序盤からずっと萌子さんは男性達の「先生」的役割でした。
パワフルなバチェロレッテに比べると頼りなさげな男性達を、時には叱咤激励し時には士気を鼓舞させて、「導いて」いる、そんな印象でした。正論を教えてあげる、人生訓を教えてあげる……ひとり視座が高い、と言ったらいいのか。
「お姉さんが教えてあげる♡」的な立ち位置に見えました。まさに姉御肌!
自信なさげな人には優しい言葉を掛け、自分の過去を勇気をもって告白した人には「経験値がある」と慰め……。
(経験「知」ではなくて経験「値」なのがものすごく萌子さんらしいですよね。ビジネスライクな表現というか、ゲーム攻略法的な。)
外見で判断しないで、と訴えてきた相手に「外見で判断するような人だと勝手に判断しないで」と逆襲したり(笑)とにかく、萌子さんは真面目な人だからなのか、自分を「正しく」理解してほしい、その為に言葉を駆使して伝えたい、という気持ちが強い人のようです。自分の気持ちを「自分の思っているように」受けとめてもらえないと納得いかないように見えました。
行き過ぎたポジティブは毒
規格外の美女、セレブ、と称される萌子さん。
萌子さんの(番組内での)言動を見聞きしていて、強気な態度や言葉の間から彼女の脆さや弱さが見え隠れしていたように、わたしは感じました。
萌子さん語録の一部です。
わたしは言葉には言霊があると信じているので、美しい言葉、ポジティブな表現を使うことは非常に良いことだと思っています。
でも、それと同時に行き過ぎたポジティブは毒(トキシックポジティビティ toxic positivity)になるとも思っています。
どんなに辛く困難な状況であっても、常に、前向きな考え方を維持「しなければならない」、この「しなければならない」が思い込み、イラショナルビリーフなのではないかと。
何でもかんでもポジティブで上書きしていって、自分の本心を見えなくしたり、自分のネガティブな感情を過度に抑圧することは心身の負担になりかねません。
テレビで放送されるという点を考慮するにしても、萌子さんは自分の良い面ばかりを他人に見せようと頑張り過ぎていたのかな。
それが彼女を「言葉だけ上滑りして表面的な人間関係しか築けない(誰も選べない)」ように見せていました。
番組が進行していき、自分に余裕がなくなってくると、ますます苦しくなって自分を追い詰めてしまっていたのではないでしょうか。最終回は、萌子さんに溌剌とした美しさがなく、苦しそうな表情しか印象に残りませんでした。
また、特番の席で、一人を選ばなかったことを他の参加者や出演者に責められた時も、涙目になりながらもポジティブな言葉を並べて反論していましたが、彼女の頑なさを露呈するだけでした。
私は間違ってない。
だからみんなわたしの決めたことに文句をつけないで。
全身全霊でそう叫んでいるようでした。辛そうだな……。
それから、この人、絶対に謝らない人なんだな……。謝るどころか「私は愛に満ち溢れた人です、そのことにきづかせてもらえたからありがとう」って言い切ってた……ポジティブ変換すごい!
辛いものは、辛い。
どうしても選べませんでした、ごめんなさい。
素直にそう言えない萌子さんなんです。
もっと自然体でいいんじゃないかな、と思いました。
彼女が無意識に縛られている思い込み、イラショナルビリーフを解き放つことができたら、もっと楽になるかもしれないのにな。
偶然の出会いの可能性を信じて、相手をもっと素直に受け入れることができるのではないかな。
そんな思いを抱きました。
でも、多分ビビッとくるような、運命の一人と思えるような人があの中にはいなかったんだろうな。真面目なロマンチストの萌子さんには、たとえ番組内でとはいえ「妥協」してまでファイナルローズを渡したくなかったんだろうな、とは思います。
……ということで、バチェラーシーズン4の黄皓さん見ることが今から楽しみでなりません🌹
バチェラーシーズン4も、キャリコン視点で楽しみます!
最後まで読んでくださってありがとうございました^^