そうだ、映画の話をしよう ⑤-MEG ザ・モンスター
今回はサメ映画の話である。
洋画がお好きな方はご存じの方も多いと思うがこの世には「サメ映画」というジャンルが存在する。
読んで字のごとくサメが出てくる映画の総称だ。
今回ご紹介するのはそんなサメ映画の中でも比較的一般層向けの作品だ。
タイトル:MEG ザ・モンスター
公開:2018年
主演:ジェイソン・ステイサム
監督: ジョン・タートルトーブ
古代に実際に存在したメガロドンと呼ばれるサメが生きていたら?という設定のストーリーである。
例によってここから先はネタバレを含むので自己責任でお願いしたい。
本作ではまずなぜ古代に絶滅したMEGことメガロドンが生きているか、という設定から見ていく。
あらすじにも書かれている未知の海溝とは、これまで「海底とされてきたのは水と泥の層(水温躍層と呼ばれている)でありその下にさらに深い海が広がっている」というものだ。
水温躍層とは地学で水深に対して著しく水温が低い個所をさすが、本作では少し意味合いが異なってくる。作中の仮説では下記のような場所を水温躍層と呼んでいる。
海面
海中(通常の温度)
水温躍層(通常より低い温度、海底とされてきた)
海中(通常~やや高い温度)
海底
この水温躍層に区切られた深く暖かい海が古代のサメを生存させてきたという設定である。冷たい海が苦手なメガロドンはこの水温躍層を突破できずにいたため今まで発見されなかったという話だ。
正直とんでもないし、ありえないがただ普通の海で生きていました、と言われるよりよっぽど説得力がある。
さて、話を映画本編に戻すと、ステイサム演じる主人公ジョナスは物語の5年前にメガロドンに遭遇している。どういうわけか水温躍層を突破した個体が沈没した潜水艦を攻撃した。救助作業中だったジョナスはやむ得ず一部のメンバーの救助をあきらめることになる。
この件で仲間を見殺しにしたと非難されたことが引き金となり彼は仕事を辞める。
そうして東南アジアでのんびり暮らしていたところに改めて救助の依頼が飛び込んでくる。
最初はのらりくらりと交わしていたが元妻の命にかかわるということで渋々救助に参加することになったわけだ。
その結果、5年前に彼が見たものは幻でもなんでもなく、実在するクソデカサメであると実証された。
ストーリーは少々無理はあるものの何とか筋を通そうとしているし、映像も悪くない。
潜水艇が上昇するときに周囲の水をまき上げ、水温躍層に穴が開いたことによってメガロドンが表層の海に上がってくる、というところは面白いと思う。
しかし、その最大の突っ込みどころはジョナスとメガロドンの戦いにある。
なんと、生身である。
何を言っているんだ、と思いかもしれないがジョナスは潜水艇とか、小型船とかそんなものではなく、生身で、銛(ちょっと魔改造)でメガロドンと戦う。
なお、本来のメガロドンは推定10~15mほどだったとされているが、本作に登場する個体は20m越えクラスの描写がなされている。人間が生身で戦っていい相手ではない。
サメという生物であることは変わらないので動きも機敏、血の匂いにも敏感である。重ねて言うが生身で戦っていい相手ではない。
それでも後半のジョナスvsMEGはめちゃくちゃ面白いし思わず見入ってしまう。そしてジョナスが勝ったことに何となく納得してしまう。
だって、ステイサムだしな……。
そうして海に平和が……戻らない。2作目がある。
こちらに至ってはMEGの飼育に成功しているし、MEG以外にも古代の水棲生物が生き残っていて登場する。
いやいや、勘弁してもらいたい……。なんぼステイサムでも勝てな……勝っちゃうんだよなぁ……。
シリーズ2作品、正直アクション映画としてはイロモノ?B級?というギリギリラインだがサメ映画というジャンルで見ればとても正統派のように思う。
ストーリーも突飛ではあるが辻褄を合わせようとしているし、CGも丁寧だ。
ぜひ、サメ映画の入口として楽しんでいただきたいものである。
追記:犬は無事です。