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誰も興味無い読書感想文・メンデル「雑種植物の研究」

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えんどう豆を使っていくつかの重要な遺伝法則を発見したメンデルが発表した論文。

メンデルの発見した「メンデルの法則」は、現在なら中学生の教科書にも載っていて、定期テストにも100%出題される(よね?)くらい遺伝学における基本中の基本だ。

だけどメンデルの存命中、彼の発見は日の目を見ることなく(かわいそ)、死後半世紀ほど経って別の学者が同じ発見をしたことにより、ようやく評価を得ることができた。


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(画像はWikipediaより)

メンデルによって暴かれた遺伝法則のひとつが遺伝子型の優性と劣性の法則だ。ここでは赤い花と白い花を交配させた孫世代の表現型は『かならず』赤3:1白として顕れることを図解している(遺伝子型で言うと「RR:Rw:ww=1:2:1」)。もちろん論文中の実験でもこの「3:1」という数式は極めて高い確度で証明される。しかし当時の人々は、自然生物のふるまいが「3:1」のような極めて単純な法則に従うことを許容できなかった。(要するに生物の神秘が単純な数式によって表されるのを嫌ったらしい。)


19世紀当時の人がメンデルの法則を受け入れられなかった理由はいろいろあるけど、わたしが面白いのはメンデルの法則があまりに数学的あるいは抽象的に規則正しいばかりに「生物的でない」という判断を下し、却下したことだ。

「法則」というのはあくまで天体その他の無機物質のために備えられたルールであって、「生物」にその無機質な規則が与えられていることを信じなかった。

。。。実はこういう考え方は現代人にも根強く蔓延っている。いまだに、ある種の人々は人間を含めた有機体を支配している無機質な規則を見ようとせず、見たとしても決して従おうとせず、むしろ人間の自由自在を確信し、その自由さをあえて人間の知恵や意志によってコントロールしようとする。

その到達は人類の革新だろうな。今までの人類が断絶して、別な新しいなにかの誕生を迎える。好きにすればいいけど、わたしは与しない。わたしはむしろ昔の人とつながっていたい。性別も人種も階級も宗教もなくしたその新しい生き物が、ゲーテを読んで何になるというんだろう? トルストイを読んで何になるというんだろう?

わたしは生きづらいから世界が好き。

生きづらさのない人生を読んで面白かったためしがないの。

だけどそうだな。生きづらさのない世界で生きるのは、どんなに息が詰まるだろうと思うと、みんな自分に優しい世の中がほしいだけなのかもな。

メンデル「雑種植物の研究」を読んでこんな感想がでるとは自分でも思わなかった。読んでよかった。

近代以前の論文は筆者の気分や状況が文章に乗っていることが多い。コペルニクス「天体の回転について」やガリレイ「星界の報告」など。ぜひ散文として読んでみてほしい。

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