ズッコケちゃうけど憎めないロックの名盤
数多くのレコードを聴くうちに、憧れの存在のロックミュージシャンにも意外と人間味やお茶目な面があることに気づきます。
例えば、EL&Pの名盤『Tarkus』に入っている『Are you ready Eddy?』やKING CRIMSONの『In The Wake Of Poseidon』に収録された『Cat Food』は彼等のイメージとのギャップを感じつつも、どんなアーティストにも『ロックンロール魂』が宿っているんだなぁと感じます。
そんなギャップ作品の中には、吉本新喜劇並みに『ズッコケ』そうになるけど、何故か憎めない迷曲・迷盤があるんです。
今回はその様な迷盤(名盤)を紹介します。
▫️LOVE BEACH - EL&P
『ズッコケシリーズ』の中でもダントツのNo.1アルバムは、この『Love Beach』でしょう。
タイトル、ジャケットデザイン、曲のどれを取っても『ズッコケ度』満点です。
超攻撃型プログレバンドEL&Pはハモンドオルガンとmoogを武器にロックファンの心を鷲掴みにしてきた。
『Tarkus』『Brain Salad Surgery』はプログレッシヴロックの超名盤です。
しかし重厚長大なハードロックやプログレに翳りが見え始めた1977年にリリースされた『Works Volume I &Ⅱ』辺りから音質や曲調に変化が見られるようになり、そして翌年1978年にリリースされたのが、この問題作『Love Beach』です。
恐怖の頭脳改革されちゃったわけですね。
まずジャケ写がぶっ飛んでます。
南国の風景、3人の満面の笑顔、そしてGreg Lakeの赤シャツの着こなし。
ナッソーのコンパス・ポイント・スタジオで夏場に録音したんだから仕方ないか…。
まるでビーチボーイズです。
流石に『どうしたEL&P!!』と叫びたくなりましたね。
収録曲も期待を裏切りません。
A面はポップな小品6曲。
1曲目の『All I Want Is You』から青春ラブソングが炸裂します。
そして2曲目が肝です。軽薄なギターリフで始まるタイトル曲『Love Beach』。
歌詞も“We can make love on love beach” ですからね。Pete Sinfirldも完全にグルだ。
『Taste Of My Love』『The Gambler』『For You』とEL&Pらしからぬタイトルの曲が続き、6曲目のインストナンバー『Canario』でやっとEL&Pらしさを見せます。あの『アランフェス協奏曲』のホアキン・ロドリーゴの曲ですね。
B面は20分を超える組曲『Memoirs of an Officer and a Gentleman』。
これが『Works Volume I』路線のクラシカルな大作で、プログレらしいかどうかは別として、EL&Pとしての面目躍如たる傑作だと思います。
アルバムリリース当時、渋谷陽一氏のラジオ番組で新譜紹介された数曲を聴きました。
彼のコメントは憶えてませんが、B面曲もかけていたのは記憶にあります。流石にA面曲だけじゃマズいと思ったのでしょうか。
とは言え『Love三昧』の内容に驚き、戸惑い、笑いが入り混ざる複雑な心境になりましたが、ポジティブに考えれば、写真、歌詞の内容、曲調は統一感がありますから、コンセプトアルバムだったのかも…。
迷走したアルバムですが決して嫌いなアルバムではないです。
隠れた『名盤』ですね。今でもよく聴きます。
最後にアメリカ盤に入っている広告を見てください。
これも迷盤のポイントを押し上げる要因です。ホント徹底してますね。
LOVE BEACHのロゴが入ったSatin-Feel Jogging Shorts $7.50- です。買うならコレかな⁈
フレディ・マーキュリーが履いてそうだ。
全ての統一感が素晴らしいです。
流石、プログレの雄!
大好きです。