なぜ僕たちは誘惑に負けやすく感情が優先されるのか「意志力」+2
セルフコントロールシリーズの続きです。(+1)
前回でセルフコントロール力、すなわち意志力の3つの要素について説明しました。今回は意志力とはそもそも何か、どのようなロジックで動いているのかを説明していきます。
意志力の本能とは
本能という言葉は抽象的で掴みづらいので使いたくはないんですが、要するに、「人間が衝動的に行ってしまう行動」だと考えるとわかりやすいです。動物や人間が直感的に行動してしまうことですね。
このように体が勝手に衝動的になるとき、僕たちの心と体には普段と違う生理現象が起こっています。
例えば次の2つの場面を想像してみましょう。目の前に猛獣のライオンがいる場面とおいしいパンケーキを街なかで見かけた場面です。状況は全く違いますが、この2つには大きな共通点があります。それは、健康に危険が迫っているという事実です。
もし目の前に猛獣のライオンがいたら、僕たちの生理現象がどうなるかは何となく想像ができますよね。エネルギーがみなぎって心臓はドキドキ。まさに全集中です。このような現象は「闘争・逃走反応」と呼ばれます。
現状の問題に合わせて、エネルギーのリソースを使い分けてくれる反応ですね。この管理反応があるからこそ、ぼくたちは長く繁栄できているのかもしれません。
なぜ誘惑に負けやすくなるのか?
ライオンの話をしたのには訳があって、急にライオンと出くわしたときに起こる闘争・逃走反応は、現代に生きる僕たちにもよく起こる反応なんですね。その一例が、最初に紹介したおいしいパンケーキを見たときです。
僕たちがおいしいパンケーキを見たときに感じるのは、そのパンケーキを食べたい!という衝動的な欲求です。おいしそうな甘い香りがしたら無性に食べたくなりますよね。しかし理屈的に考えれば、パンケーキを食べるメリットはほとんどないでしょう。高カロリーですからダイエットの大敵ですし、健康にも良いとは言えません。
にもかかわらずぼくたちは、パンケーキを食べられるという報酬への期待によって動かされてしまいます。言ってしまえば、「今すぐあのパンケーキを食べろ」と脳が命令していると言っているのです。この感覚はなんとなくわかるはず。
ここで大事になってくるのが意志力なんです。例えば、ぼくたちはパンケーキを食べなくても死にません。ライオンと出くわすしまったら死ぬ可能性はあるんですけど、パンケーキは食べなくても平気。ただし問題があって、脳みそは食べないと死ぬと勘違いしているわけです。
つまり言い換えると、現代では必要なくなっている闘争・闘争本能が、不要な場面で役立っているのです。ですからこの闘争・逃走反応を意志の力を発揮して抗う必要があります。
やりたくないことをやらない方法
パンケーキを食べてしまう場面は、抽象化すると「やりたくないんだけどやってしまうこと」が問題です。ではなぜそのような問題が起こるのか、それは闘争・闘争本能が現代の人間に起こってしまっているからです。
「スタンフォードの自分を変える教室」には、この闘争・闘争本能を乗り越え方についても説明しています。それが休止・計画反応を起こすことです。
闘争・闘争本能と比較して考えるとわかりやすく、こちらは外的要因に対しての反応なんですね。ただ後者に関しては、内なる葛藤に対しての反応なんですよ。つまり自分の感情を認識したときにこの反応が起こります。
頭の中で、「闘争・逃走反応起こっているな...」とメタに把握できていると、このときの衝動を落ちつかせようとしてくれうわけです。
休止・計画反応も僕たちの体の重要な役目を担っていて、ざっくり言ってしまえば僕たちが愚かな行動しないかどうかを見張ってくれています。そのような行動しようとしたときにブレーキをかけてくれるのが休止・計画反応の役目です。
ではどのようにして、休止・計画反応を起こすために意志力を発揮すればいいのかについては、長くなってきたので次回說明していきます。
意志力の実験
1週間のなかで最も大きなストレスを感じる場面を省みてみよう。どのような闘争・逃走反応が起こっているだろう。