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こんなご褒美の使い方はマズい「意志力」+5

セルフコントロールシリーズの続きです。(+1,+2,+3,+4

前回は意志力の特徴について説明しました。今回は、意志力を間違った使い方をしてしまう原因の1つ、モラル・ライセンシングについて説明します。

こんなときぼくらは手を抜く

例えば、いつもより30分多く勉強したからと、いつも我慢しているチョコレートをつまみ食いした経験は見に覚えがあるでしょう。それに30分多く勉強したからこそ、夜は怠けてもいいなぁと考えたりもしますよね。この考え方は、それなりに努力したからその分ご褒美がもらいたいという思考の表れです。

であれば次の例はどうでしょう。世界を守るヒーローが、「いつも仕事で人を助けて称賛されてるし、少しくらい詐欺を働いてもいいだろう」と考えていたとしたら、これはご褒美でしょうか?

何かをがんばったからご褒美を作るのは大切なんですけど、そのがんばりが道徳的に良いとしても、悪いことを褒美にしていいわけありませんよね。ご褒美をもらえることと悪いことをすることは話が全く別なんですよ。なんですけど、良いことをすると悪いことをしても良いと勘違い起こしてしまうことを「モラル・ライセンシング」といいます。

そんなヒーローがいたら最悪ですよね。まさに「TheBoys」の世界。

実際ヒーローが良いことをした理由は、自分の目標や価値観に沿っているからであり、良い行動だったから悪いことをするのはNG。言い換えると、良いことをしたから「次は自分の好きなように」していいわけではないんです。

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判断を狂わせるモラル・ライセンシング

モラル・ライセンシングに引っかかりやすい人は、物事を良い悪いで判断する傾向にあるんですね。というのも良い悪いで判断するからこそ良いことをしたら悪いことをしても良い、という判断になります。

たとえば、衝動買いを我慢することを良いと判断し、自宅にあるチョコレートをぱくぱくするのは悪いことだと考えている女性がいたとします。彼女がウィンドウショッピングで衝動買いをグッと堪えたことで、自宅のチョコレートの数は激減しているかもしれません。

モラル・ライセンシングの怖いところは他にもあって、良いことをしようと考えただけで、したつもりになってしまうんですね。衝動買いを我慢した後に、自宅でチョコレートをパクパクしてしまうのは良い例です。

要するに、僕たちは良いと思ったことをした気分になると、何が正しいのかについての判断が曖昧になってしまうんですよね。自分にとっての善と悪の考え方が変わってしまったり、目標や価値観を忘れて誘惑に負けがちになってしまいます。

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このような行動が増えていくと、自分にとって大事な行動ではない楽な行動を起こしがちになります。つまり自分が良いことをしたのだから自分の好きなことをしても良いという判斷になり、その好きなことは悪いことである確率が高いわけです。


話が長くなってきたので、モラル・ライセンシングの対策については次回説明していきます。

意志力の実験
自分のチャレンジの失敗や成功について、自分自身や周りの人にどんな言い訳や説明をしているのかを思い出してみよう。何に対して良いと判断し、何に対して悪いと判断しているのかを認識すること

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高安智也
読んでいただきありがとうございます。これからも読んでもらえるとうれしいです。