企画屋の妄想思考プロセスを言語化してみた
ゲーム会社で新規事業を担当してる企画屋が、過去に特許を取得した新規サービス企画案を事例に新規企画の考え方を振り返り、その「妄想思考プロセス」を言語化してみました。
はじめに
はじめまして。クロシードデジタルの伊藤と申します。
新年あけましておめでとうございます。ご関係者の皆様、旧年中は大変お世話になりました。自分にとっては怒涛の2019年が終わりまして、2020年が始まるということで、新たなことにチャレンジしたいなと、あまり得意でなく避けていた領域である「自分の考えの言語化・文章化」にチャレンジすることにしました。
そういうわけで、今更ながらnoteはじめました。
簡単に自己紹介&会社紹介ですが、
・新卒で株式会社セガに入社(ゲームプランナー)
・セガタイトルのナンバリングやポーティングを担当
・ゲーム作りのノウハウを他の業界でも転用・活用できないかと
クロシードデジタル(セガ子会社)にて”ゲーミフィケーション事業”として異業種企業様と新しい価値体験の創出にチャレンジ ← イマココ
クロシードデジタルでは執行責任者として日々血反吐はきながらも事業を1歩ずつ前に進めています。
さて、ゲーム会社で働いている自分が何を言語化できるのかと、かなり悩みました。普通、アウトプットしたいものがあってこういうの始めるんでしょうけど伊藤の場合は、まずは言語化にチャレンジすることが先行したので、こんな体たらくです。
なにかあるかなぁ、と自身のキャリアを振り返っていたところ、10年間で特許を48件取得してたことが判明しました。
確かにアイディアが出るたびに特許は申請してましたがまさかそんなに積みあがってたとは。大事ですね、キャリアの振り返り。
とはいえ、特許をたくさん持っているとはいえ、これか?これなのか?自分の言語化すべきネタは。いや、でも、特許でしょ…?自分弁理士でもないし、大層に書けることないで…。いやいやいや…と悩みました。
ただ、その後キャリア振り返りをしていっても他人に見せられるような特筆すべきキャリアもなく、まぁ、なんとかなるだろうとこれで行く事にします。(ちなみに、書き始めた現時点でまだ全然イメージできてません。なんとかなってなかったらほんとすいません)
それで、特許のテーマで何書くのって話ですけど、
先にも書いた通り自分弁理士でもないので、専門的な話とか書けないので。
あえてかけるとしたら、自分の企画の考え方、位かな、と。
まあ確かに自分の企画の考え方って言語化したことなかったところではあるので、チャレンジするネタとしては面白いかも、と思ったので(なかば覚悟を決めて)これで行くことにします(前段長すぎますが表題に戻ります)
「企画屋の妄想思考プロセスを言語化してみた」
過去に取得した特許の例をもってきて、どうやってそれを考えたのかっていうのを思い出し(ひねり出し)その思考プロセスを言語化してみようと思います。2020年1発目のチャレンジ、お付き合いいただけますと幸いです。
(完成後追記)
思い出すのホントに大変だった。こんなにしんどかった正月ははじめて。
そもそも面白い企画って何さ
ここは、いろんな定義があるかと思います。ビジネス的な観点だったりただただ感情的に笑えるものだったり。今回は「面白い企画」という言葉が人によってイメージが違うと人によって内容の受け止め方が変わってしまう可能性もあるので伊藤の方で考える「面白い企画」を定義しておきます。
「面白い企画」=「意外性」×「共感性」を同時に満たすアイディア
僕が考える面白い企画とは、収益性が高い企画や笑いを生み出す企画ではなくそれらのものにつなげることができうる一番最初の「種」です。この「種」は、本当にアイディアでしかなく、この「種」を育てることで実行性のある「芽」や「花」が咲くと思っています。
この「種」の育て方自体は、その育て方の目的によって新規事業の作り方、とか、業界が変われば漫才講座、とかよくわからないですけどそういうのがきっとあると思うのでこの場では触れません。
要するに、伊藤の考えている「面白い企画」は世の中で色々定義されている企画の最小単位で、ひらめくとと脳汁(※)がドバドバでるあれです。
※注釈:脳汁=パチンコとかで大当たり出たときに超興奮するアレ。カタルシスとかドーパミンとかそんな感じ。要するに、苦労した後すごい気持ちよくなったときに出る(とか言われてる)やつ。
それで、話は戻りますが
「面白い企画」=「意外性」×「共感性」を同時に満たすアイディア
「意外性」っていうのは、誰もが思いつかないこと。アイディアを話して「それは思いつかなかったわ」と言われたら意外性◎
「共感性」っていうのは、誰もが納得すること。アイディアを話して「確かに」と言われたら共感性◎
相反する考え方のように思う方もいると思うのですが、共存できうると思ってます。そんなアイディアを考えるのは難しいのですが、それがどれくらいできるのかが、すなわちその人の企画力パラメータなんじゃないかと伊藤は思ってます。
ただただ突拍子もないことをいって、面白いでしょ!といってもそれは誰にも受け入れられないですし、そんなん誰でも思いつくわっていうことを言ってもそれは新しくないですし。この絶妙なバランスでアイディアを出すことが企画マンの役割と思ってます。
ゲームで言えば「電車でGO」とか秀逸でした。
「電車をゲームにしよう」なんで当時誰も思いつかなかったですが、確かに体感シミュレーションゲームとしてはゲーム性もあって面白い、でした。
一般的な企画の考え方って
”一般的”という表現が適切ではない気がするのですが、世に溢れているいわゆる企画の作り方、考え方っていうのを色々検索してみました。
…たくさんありすぎ。
企画に困っている検索者さんの心の声が聞こえるようです。
色んな事が書いてありますが、各記事共通で勧めているのは
・ブレインストーミング(色々話してみたらええやん)
・マインドマップ(色々書きだしてみたらええやん)
・オズボーンチェックリスト(チェックリストに従ってみればええやん)
とかが多い印象です。
伊藤はこれらの手法自体に対して決して否定的ではないです。
先ほど書いたような「種」を「芽」「花」にするプロセスの中では非常に重要なやり方かと思います。ロジカルだし、客観的だし、アウトプットを出しながら作っていくのでエビデンスというか経緯もログで残りますし。
ただ、このやり方だと、どうしても「意外性」は出てこない気がしてます。「意外性」は非連続思考でしか出てこないので、どうやっても可視化による連続思考だけで「種」をひねり出すのは難しいと思っています。
むしろ、一人でうんうんうなって、あーでもないこーでもないと悩んで風呂場でシャワー浴びてたら「あっ」ってなる感じの方がひねり出し方としては良いように思っています。
前提としてこういう思考がある人が、前述の手法の中で、思いつくってのはあると思うのですが
そもそも、非連続思考を脳内で行う習慣がないとなかなか思いつくのは難しいんじゃないかと思ってます。
結局は企画を考えるのって、脳内妄想ゲームです。
妄想力が最大のパラメーター。
一人で頭の中で妄想を膨らませて考えてロジックも思考補助もなく、とにかく妄想する。「面白い企画の考え方を考える」にはその「妄想力」をどう鍛えるか、どう脳みそにインプットするか、どう思考を習慣化させるかがとても重要だと思っています。
その辺を、過去に取得した特許を考えたときの思考を思い出しながら言語化していってみます。
振り返る特許テーマ
今回テーマにする特許はこちらです。
「プレイヤが実行許容値の回復を待つことに起因するゲームのプレイに対する意欲の低下を防ぐ。ゲームシステムは、プレイヤによるゲーム行動の実行命令に応じて、実行許容値の現在の値からゲーム行動に応じた値を減算し、時間の経過とともに、回復上限値を上限として、実行許容値の現在の値を増加させる。ゲームシステムは、所定期間において、実行許容値が回復上限値に達した状態であった期間である上限値期間に基づいて、プレイヤに対して特典を付与する。」
小難しく書いてますが、要するに「ゲームの、体力ゲージがマックスじゃない状態を維持するとアイテムあげる」ってことです。
では、この特許を考えるに至った一番最初の思考プロセスを言語化していきます(特許用に種を芽にしていくプロセスは今回は割愛)
つらつらその時の思考を思い出しながら書いているので箇条書きっぽくなって読みにくいかもですがご容赦ください。
お題「スマホゲームにおけるゲームシステムで新しいアイディア」
思考プロセス1:Observe(観察)
以下当時の脳内思考
・スマホゲームのビジネスは何が重要なんだっけか
・まあ、シンプルに売上(と利益)だな。コスト面は組織とかシステムの効率化になりそうだから一旦置いておくか。
・スマホゲームの売上は課金者×課金額だよな
・課金者はユーザー数×課金率だな
・ユーザー数は新規ユーザーと昔から遊んでくれてるユーザーの合計だな
・昔から遊んでくれてるユーザーの方が楽しんでくれてるってことだし
課金もしてくれそうだな(★)
このフェーズは、客観的事実が基本なのですが(ビジネス構造など)あくまでお題の対象となるものの構造などを捉えてます。このフェーズで大事にしてるのは、定量的なことを考慮しないこと。定量的な数値が情報として入ってくるとどうしてもバイアスがかかる気がしています。(企画を作る上で心理バイアスの話は重要視しているのですが書き出すと長くなるのでまたの機会にでも書きます)あくまで「定性的な客観的事実」をまずは捉えます。
そして、その上で「観察」します。今回の例でいうと★がついている部分です。
ここって、定量的な根拠を確認したわけではないですしめちゃくちゃ主観です。でも、それがこのプロセスの肝だと思ってます。定性的な客観的事実を、主観で観察する。その時自分が思ったことを、想像したことを、感じたことを、もしかしたら違うかもだけど100%鵜呑みにします。
昔から遊んでくれるユーザーは課金もしてくれそう。この「何となく」の感覚、超大事。「何となく、よさそう」って、今の情報過多の社会における人間の行動を捉える考え方としては非常にマッチしているかなと。詳細は別の機会にしますが、端的に言うと情報量が多すぎる環境に置かれると、人間はより本能的、反射的に物事の良し悪しを判断するようになるっていう行動経済学的な話です。なので、感覚的に「何となく、よさそう」はとても大事にしています。
その「何となく」も含まれた観察結果を基に、次のプロセスでもう少しスコープを定義します。
思考プロセス2:Install(設定)
以下当時の脳内思考
・昔から遊んでくれてるユーザーの方が楽しんでくれてるってことだし
課金もしてくれそうだな(★)
・まあ、あとはゲームそのものが”楽しい”かってのはあるけどそれはゲームシステム(汎用の仕組み)とは異なるから一旦置いておこう
・ってことは、ゲームシステム(汎用の仕組み)ってことでゲーム単体で解決できることで言えば
「継続して遊んでもらえる仕組み」
「課金したくなる仕組み」
「課金額が多くなる仕組み」
この辺かな。
・課金したくなる仕組みとか課金額が多くなる仕組みって課金対象の商品に依存しそう、継続して遊んでもらえる仕組み、だとログインボーナスとかデイリーミッションとか汎用の仕組みがあるしゲーム性に依存せずに汎用の仕組みがありえそう
・「継続して遊んでもらえる仕組み」を考えよう
この段階では、観察のプロセスで捉えた曖昧な輪郭の対象をロジカルにそぎ落としていって、考えるべき対象を設定します。
ロジカルなそぎ落としの仕方としては
「お題の与件に合わせる(今回で言うとゲーム性ではなく汎用の仕組み)」
「同じ対象に対して既にどんなアプローチがあるか」
など、与件情報と、既に存在するアプロ―チを踏まえてからそぎ落としていきます。
ただ、このフェーズは対象を絞り込んで設定することが目的なので
最終的に何か1つの指標や目的の最小単位まで落とし込めればよいです。
なので、あまり難しく考えずに自分なりに筋が通ってるロジックであればよいかなと(適当感ありますが)
極端な話、この後のプロセスで企画アイディアが出てこなければこのプロセスまで戻ってくればいいので。
今回の例でいっても、
「課金対象の商品に依存しそうだから、課金関連の指標は外して既に汎用のシステムがあるから継続関連の指標にしよう」
という思考ですが
「汎用のシステムが既にたくさんあるから継続関連の指標は外して課金の汎用システムを考えよう」
っていう思考もあり得た気がします。
身も蓋もないですが、要するにこのフェーズでは自分で納得できる指標を対象に落とし込めればいいです。人によってロジックの切り方も変わる、
というのも、誰も思いつかないっていう意外性を生み出す重要要素なんじゃないかと。
思考プロセス3:Review(振り返り)
以下当時の脳内思考
・ゲーム遊ぶときに、なんでやめてたかなぁ
・課金しないと進めなくなってやめちゃったやつもあったなぁ
・毎日めちゃくちゃ時間使わないといけないやつも途中で疲れたな
・あと、むずかしすぎるのもやめちゃったな
・今やってるゲームは毎日ほどほどにやってもまあまあ楽しめるから続いてるな
・ただ、デイリーミッションこなすくらいで他はやってないんだよなぁ
・とはいえ本格的にイベント参加するかっていうとそれはしんどいなぁ
・いっぱい遊んでもあんまりメリットがないんだよなぁ
・デイリーミッションとイベントの間くらいのものがあればちょうどいいかも(★)
わがまま放題です。
とにかく思考プロセス1と2で決めた領域で、自分の実体験をとにかく思い出す。原体験をひたすらに思い出して脳内で言葉にしてみる。別に書き出すわけじゃないので、思ったこと、感じたことをつらつら妄想します。
この妄想をしてみるとわかるのですが、企画を考えようという前提で思考がプリセットされているので、自然に課題を探そうという意識になるのか、ネガティブな原体験が基本的に思いつきます。「あれ微妙」「なんとなくあれ嫌だ」「あれ面倒くさい」とか。
伊藤はここに時間を費やします。頭の中で、インストールしたスコープのネガティブな原体験をひたすらに思い出します。原体験であって、今の体験ではないです。なので、体験しながらネガティブな要素を探すは基本的にはしません。(このタイミングで改めてスマホゲームを立ち上げて、とかしません)
前述の通り、企画を考える際は「何となく」がすごい重要な要素だと思っているので、実物を見てしまったり体験してしまうと、どうしても表面的な機能部分や細部の仕様に目が行きがちで思考が左脳的になり「何となく微妙」っていう右脳的な感覚が鈍る感じがします。
なので、あくまで原体験に対するネガティブ要素の振り返りを進めていくわけですが、このプロセスでとにかくたくさんのネガティブ原体験を洗っていくと「こういうのあったらいいんじゃね?」って思考に行きつくタイミングがあります。(要するにひらめくタイミング)
今回で言うと上記の★の部分で「デイリーミッションとイベントの間くらいのものがあればちょうどいいかも」ってところです。
この、思考のブレイクスルーは何で起こるのか今日まで考えたことがなかったのですが、人間は脳の構造的に、本能的に課題解決思考の動物なので(狩猟や農業の歴史然り外的環境の変化に順応しないと死ぬので防衛本能的に)
感覚的に妄想を膨らませていっても、そういった本能がちょっと出てきちゃって課題解決のとっかかりがふと思考に出てくるのでは、と想像しています。
本能がアイディアが思いつくまで、感覚的なネガティブ要素をとにかく出しまくる、思考と本能の壁打ちみたいな感じでしょうか。
そしてこの壁打ちをしていくことで、アイディアの元になりそうなとっかかりがでてきたら今度はそれを実際のアイディアに昇華するために、ストーリーを妄想していきます。
思考プロセス4:Imagine(妄想)
以下当時の脳内思考
・デイリーミッションとイベントの間くらいのものがあればちょうどいいかも
・あと、それでいつもより多めにアイテムもらえたりしたら嬉しいな
・ただ、アイテムもらわないといけない、ってなるとそれはそれでしんどいよな
・いっぱい遊べば遊ぶほどアイテムがもらえるとか
・ただ、起動時間だけで評価されると社会人としては厳しいなあ
ずっと起動できる人だけどんどん有利になっちゃうのは微妙だな
・社会人だと、ちょこちょこ遊びしかできないんだよなあ
・ちょこちょこ遊びで、でもアイテムがちゃんともらえる仕組みならいいな
・2時間に1クエスト位なら何とかなるか
・2時間ごと1クエストやれ、ってミッションより、
クエストで体力消費して、回復する前に(2時間以内に)もう1回クエスト
やったらボーナス、とかなら
気楽だしできればラッキー位な感じ
・「体力ゲージをマックスにしない状態を維持したらインセンティブ」
ってアプローチよくないか。
ここでは、振り返りフェーズでアイディアのとっかかりになった部分を実際の環境に照らした場合どうなるかの利用シーンを具体的に妄想します。今回で言うと、スマホゲームにこの要素が入ったらどうなるか。
ここでは、とにかく具体的なイメージで原体験に対して前述のアイディアを盛り込んだ場合にどういう体験が生まれて、その時利用者としての自分がどう思うかを素直に妄想していきます。
妄想しながらネガティブな感情が出てきたら、それがポジティブになるにはどうするかを打ち返していきます。
(上記だと例えば「起動時間だけで評価されると社会人としては厳しい」の部分など)
これを繰り返していくと、ネガティブな要素をそぎ落として、よりイメージが鮮明になった、具体的な企画案に落とし込まれていきます。
お気づきの方もいるかと思いますが、ここまでのプロセス、最初の定性的な客観的事実の把握以外はほぼ「何となくの脳内妄想」で成立しています。
(しかも客観的事実の把握も、自分の知っている業界や領域の企画を考えるのであれば知識として既に持っていて不要なので、全フェーズ妄想で完結します)
ちなみに伊藤は、常に与件を複数予め頭の中にインプットしておいて1人の時間ができるとこの妄想思考をずっとしています。
ただ、さすがに妄想だけで意外性と共感性を担保しているとはいえないので
最後のプロセスで、企画の面白さを担保していきます。
思考プロセス5:Overlook(客観視)
以下当時の脳内思考
・(知り合いに対して)こういうのあったらよくない?(1)
・(知り合い)あー確かに、そういうの見ないし、あったら嬉しいね
・他サービスで同じようなことしているところないかな(2)
・この機能は、できたらラッキーくらいな感じの設計の方がいいな(3)
・インセンティブは上げすぎるとネガティブに働くので
あげるとすれば月に何回か制限かけたほうがいいかな(3)
・うん、細かいレベルデザインはさておき「意外性」も「共感性」も担保できるわ
ここでは、思考プロセス1~4で行き着いた企画案が本当に面白いものなのかを客観的にみて、自分にとっても自信を持つために、評価をしていきます。知識をインプットしていくと行動経済学的や心理学的な根拠づけは脳内でできるようになる気がします。
(1)意外性と共感性の担保
これは人に聞くしかないです。いろんなバックグラウンドの人に聞けるのが理想。「確かに(意外性)」「面白そう(共感性)」ってのが聞ければ合格。
(2)新しさの担保
これは世の中のサービスを調べるしかないのですが、既に既出のものであればそもそも企画として新しくないので、却下になります。特許の場合はシンプルで特許庁のデータベースで調べることになります。
(3)人間の行動原理に従っているかの確認
これは、その企画が人を動かすものなのかを学術的に証明できるかを確認します。行動経済学とか心理学とかその辺が対象になります。一昨年位から伊藤も勉強し始めたのですが、人間は極めて不合理に物事を判断する生き物であり、そこの理由や不合理行動を理解することで、実際に企画の「種」を育てるときにより効果的なものにしてくれると思っています。
例えば今回の例でいうと
「達成できたらラッキー位の設計にしたい」
統率:○○しないと悪いことが起こる
選択の自由:〇〇するといいことがある
という設計のされ方の違いで人間の内発的な動機の力に大きく差が出ることがわかっているようです。後者の方が内発的な動機づけとしては強く(自己決定権と内発的動機はリンク)前者の、統率されたときの動機は中長期的には続かないとのこと。
「あげるとすれば月に何回か制限かけたほうがいいかな」
物質的報酬(外発的報酬)はやりすぎるとアンダーマイニング効果が働いて内発的動機づけが弱まってしまうとのことなのでインセンティブの付与のし過ぎは避けようという話。
これらの客観評価のプロセスを終えて企画思考は終了となります。
1~4までの脳内妄想思考と5の客観評価思考を経て、今回の例でいうと「ゲームの、体力ゲージがマックスじゃない状態を維持するとアイテムあげる」という特許企画案が生まれました。
思考プロセス0:Experience(体験)
ここは前提、というか参考までに、ですが、思考プロセス3のところで「原体験を思い出す」っていうフェーズがありましたが、当然原体験がない、ってケースは人によってはありえます。
その場合は、そもそも思考1に入る前に(与件が出た時点で)実際に体験するのをお勧めします。
伊藤も色んな企業様とお取り組みをする際に企画を考えるのですが
その企業様のサービスを体験したことがなければ事前に体験するようにしています。
企画屋の妄想思考プロセスをまとめると
思った以上に長くなってしまったのですが、一旦今回の思考の振り返りと言語化は以上になります。
プロセス毎役割を区切ってみたので最後にまとめておきます。
0:Experience(対象のサービスを体験する)
1:Observe(定性的な客観的事実を把握し主観で観察する)
2:Install(対象の指標や目的を最小単位に絞り込む)
3:Review(原体験のネガティブな感情を振り返る)
4:Imagine(どういう体験が生まれるか妄想する)
5:Overlook(客観的に企画を評価する)
思考のプロセスとして1~5の順番で頭文字とってOIRIO(オイリオ)とかでしょうか。
ここまで書き終えて、あまり斬新な内容にもなっていない気がして
企画の同業者の方にご活用いただける内容になっているのか些か不安ではあるのですが、読んでくださった方が「ああ、こういう考え方もあるかもね」位に、ほんの少しでも皆様の普段の企画思考への刺激になれていれば幸いです。
さいごに
初めてこういう文章を書いてみましたが、本当に大変でした。ただ、アウトプットすることで自分の思考も整理できましたし非常に有意義でした。
もう少し思考を整理してソリッドに言語化・文章化できるように今年は頑張ってみようと思います。
次書くとしたらバイアスの話か、「何となくいい」の感覚が大事の話かなあ。
今後も引き続き、純粋な”楽しい”の力学で人を動かせるエンタメの力で色々な企業様と一緒に、社会課題や企業課題を解決するソリューションを提供していければと思うので、
ご興味のある企業様や団体様いらっしゃればFacebookでもTwitterででもお気軽にご連絡ください。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
先月から細々Twitterもはじめました。
最後に。
本投稿内容にて、説明が不十分だったり、
不快に思われるような内容がございましたらご指摘賜れますと幸いです。