360°に広がる圧倒的な映像『Nomads: Herders』:XR映画ガイド第26回
今回はFelix & Paul Studiosが2016年に制作したVRドキュメンタリーのミニシリーズ「Nomads」の中から『Nomads: Herders』を取り上げます。Meta QuestのMeta TVのラインナップの中に入り、無料で体験することができるようになりました。
Felix & Paul Studiosは2013年に設立され、EMMY賞をはじめ、数多くの賞を受賞したクオリティの高い作品を作り出すVR制作スタジオです。アメリカ人種差別問題を取り上げた2019年に公開されたドキュメンタリー『Traveling While Black』、宇宙飛行士を200時間以上撮影した2020年に公開されたドキュメンタリー『The ISS Experience』など話題作も多く、VR映画業界を牽引しています。
「Nomads」は2016年に作られたVRドキュメンタリーのシリーズで、モンゴルの遊牧民、ケニアのマサイ族、ボルネオのシージプシーを取り上げ、3つの現代遊牧部族の文化、遺産、生活を記録しています。今回紹介する『Nomads: Herders』はモンゴルのヤクを飼って移動する遊牧民を取り上げています。
見所:360°に広がる圧倒的な映像
「Nomads」シリーズはナレーションも字幕も特になく(一部字幕は入る)、360°の映像だけで見せるドキュメンタリーなのですが、VRの力をまざまざと見せつけられます。『Nomads: Herders』のシーンは主に3つです。少し先で遊牧民が音楽を奏でているシーン、モンゴルの伝統的な居住空間パオの内部、そして、ヤクが移動していくシーンです。特に何かが言葉で語られるわけではありません。しかし、360°広がる映像は言葉以上に雄弁で、圧倒的です。特にヤクの移動していくシーンはずっと先まで見渡せる景色があり、空にはゆっくりと雲が浮かんでいて、まるで自分がそこにいるかのようで、しばらくここにいたいなと思わさせられました。VRの映像ってこういう所がすごいのだよなと再認識させてくれる作品です。
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