見出し画像

「ダイバーシティの先へ」Inner MBA 体験記 #6

Inner MBA 3 週目。Module 3 の課題は @Padmasree さんへのインタビューとQ&Aへの参加だった(アジア圏の生徒は時差があるので録画で視聴)。

Interview and Live Q&A with Padmasree Warrior

画像1

Warrior という強面の苗字を持つ Padmasree さんだが、非常に明るく笑顔溢れる女性。女性リーダーに共通している(と個人的に思っている)エネルギッシュさと明るさがあり、私はすぐに話に引き込まれた。

彼女の経歴はいかにも MBA な感じでピカピカである。IIT(インド工科大学)を卒業後、モトローラ、シスコ、NIO(中国版テスラ。自動運転車テクノロジー会社)などでいずれもCTO職を歴任、現在はメンタルウェルネスに関するキュレーションメディア Fable の創立者 & CEOで、Microsoft と Spotify のボードメンバーにも名を連ねている。Forbes 誌の「世界で最も影響力のある女性リーダー」や、エコノミクス・タイムズ誌の「最もグローバルに活躍するインド人」などに選ばれている伝説的な "Woman In Tech" だ。

こういうすごい経歴を持つ人ほど、人懐っこく、親しみやすいのがこのテック業界のステキなところだと思う。1 時間超のインタビューがあっという間に感じられた。

トピックはプロダクト開発、ダイバーシティ、ワークライフバランス、瞑想、キャリア、生涯学習など多岐に渡った。今回の投稿でも、印象的だったフレーズを引用しながら振り返りたい。

「チームとボードメンバーは違う。いいチームのためにダイバーシティがある」

ダイバーシティやチーム論はどうしても幅広く、悪く言えば曖昧な議論になりがちだが、彼女は非常にズバズバと自説を展開してくれる。

「リーダーが意識してチームにダイバーシティをもたらすのはいいこと。多様な視点があること、そして彼/彼女らから気軽に発言や質問をできる雰囲気を作ることで結果的にいい意思決定をもたらすのだから」
「ボードメンバーはチームと違って、元からが個性の寄せ集めであり、ダイバーシティはそこまで意識しなくてもいい」

たしかに社外取締役が多い会社や業界だと自然に人材は多様になるが、日系の伝統的な企業などボードメンバーにも同質なバックグラウンドな人が固まる場合はやはり注意した方がいいだろう。

「7:3で挑戦しよう。新しいことは 3 で」

彼女はモバイル、クラウド、自動運転、メディア、とどんどん新しい業界に挑戦している。「それって怖くないの?」という質問が出た。曰く、「自分がいつも心がけているのは、うまく行っている時こそリスクを取ろう」。

ただこれだけならよく自己啓発本に出てきそうなセリフなのだが Padmasree からすると、

「7:3 で挑戦する。つまりこれまでのスキルでこなせる割合を 7 新しいことを 3 だけにする。上手く行っている 7 は変わらないのだから、そこまでリスキーではない」

だそうだ。広義なトピックもこんな風に定量的に言ってくれると頼もしい。

「コントロールできないことは無視。5% でもいいから人を助けよう」

「20 代の頃、今よりもテック業界で女性はさらにマイノリティだったと思う。どうやって乗り切って、出世した?」という質問に答えて。

「自分でコントロールできないことは無視しよう」「何千人と部下がいる中でひとりひとりの話を聞けない、これも自分ではコントロールできないこと」

こう言い切っていたのが面白かった。そして、

「5% でもいいから自分の専門外のことでも積極的にやって人を助けているとチャンスは来るよ」

これは言わずと知れた GIVER の精神ということだろう。なので、先のセリフが不思議と冷たく聞こえない。

いいリーダーはまず共感力があることが大事である。話はまたダイバーシティに戻り、

「ダイバーシティは一人一人違うと知ること、ビロンギング(Belonging≒Inclusion)はその強み/弱みを知った上で活かすこと」

というリーダーシップ論が展開された。

「1日30分のフィクションの読書は寿命を2年延ばす」

オンライン読書クラブ的なサービスを提供する彼女の会社 Fable に触れて。上記のデータはイェール大学の論文かららしい。

読書、特に嗜好的な読書体験そのものがいわばマインドフルネス体験である、と私は解釈した。自分でも小説などエンタメ本を消化するのは大好きなのだが、一方でどうしても着手していないビジネス本が気になってしまい、いつも若干の罪悪感を感じていたからだ。ということで、これからは脳と健康のために積極的にSF小説を買い集めよう笑。

画像2

---

終わりに、ホストの Soren が「彼女の考え方こそ Growth Mindset だ」とまとめていた。彼女の生き方と考え方はまさに、固定観念とは対極にある、グロースマインドセット=成長志向だと思う。だから、世界のどこでも挑戦し続ける人は輝いて見える。そんな人は心も、そしてきっと身体も健康的なのだろう。

次回、Inner MBA 体験記 #7 「吉良吉影と内なる道場」に続く!

---

脚注  シャイだけど賢明な人だっているから、会議での態度を常にオープンにしておくのに気をつけてる、とのこと。「いま質問しにくかったら、後でチャットしてもいいよ」とか。イケイケ風なテック業界だってシャイな人はもちろん多いのだ。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?