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自転車レースの迫力がすごい。映画『疾風 スプリンター』香港・中国、2015年
自転車好きの夫を誘って、最終日に観に行って来ました。大画面で迫力ある自転車レースのシーンと、台湾、香港、そしてヨーロッパのきれいな風景、レースコースに圧倒されました。可能な限り、大きなディスプレイで見ることをおすすめしたい映画です。
もともとの中国語タイトル「破風」はアシストという意味。ラストの試合結果で、その意味がよくわかります。自分は誰かのアシストで、だけど自分も誰かにアシストしてもらっている。そんな自転車レースの魅力を全面に出しています。ラストシーン、サイクリストの主人公たちが大勢の選手たちの中にいて、周りの人たちにもいろんなドラマがあるという感じでしょうか。
台湾、中国、そして韓国のイケメン&美女たちとスポーツマンっぽいたくましい肉体が目に焼きつきます。自転車に詳しい人曰く、本当のサイクリストの筋肉のつき方は、この映画みたいに隆々ではないそうですが、映画スタッフさん曰く、映画を知らない人向けにたくましくしたようです。
物語は、自転車にかけるストレートな青春。俳優さんたちは、みんなスタントなしだそうで、台湾高雄の急な下り坂の転倒シーンが見ているだけで痛そうだし、それ以外にもレースのカーブシーンはみんな転びそうで怖くて、怖くて。血に弱い私には、迫力ありすぎるスポーツ映画も危険なことがわかりました。
個人的にこの映画で一番良かったのは、ヒロインやその他の女性たちが応援する立場じゃないことです。ヒロインが主人公を好きになるのは、かっこいいからでも自転車レースに強いからでもなく、自分の自転車レースへの復帰を的確にアシストしてくれたシーンから。反対に、主人公とそのライバルたちがヒロインを好きになるのは、怪我や病気にもめげない、不屈なアスリート精神を持っているから。
最初、主人公の男性は小さいときに自分を捨てた母親に、自分の成功を見せつけるような態度をとっていました。母親は、そんな息子の態度を甘んじて受け止めつつ、でも主人公がレースに出れず腐っているときに、さり気なく手を指しのべていました。そして、主人公は立ち直ります。親子関係がタイトな中華文化圏の映画で、こういう自立した母の描き方は、新鮮な気がします。
男たちの友情はもうなんか少年漫画みたいですが、自転車レースシーンが迫力あるのでいいとしましょう。人生、チャレンジするエネルギーをくれる映画でしたから、まあそのあたり細かいことはオッケーということで。とにかく、エネルギッシュな、楽しい映画でした。
邦題:疾風 スプリンター(原題:破風)
監督:林超賢(ダンテ・ラム)
主演ほか:彭于晏(エディ・ポン)、崔始源(チェ・シウォン)、竇驍(ショーン・ドゥ)、王珞丹(ワン・ルオダン)
制作:香港・中国(2015)125分