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夕遊の台湾小冊

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大好きな台湾に関するものを集めました。
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記事一覧

パワーアップした台湾ローカル色を堪能。『DV8 台北プライベートアイ2』紀蔚然(船…

台湾好きにはたまらない、『台北プライベートアイ』続編。前作は台北が舞台でしたが、今作は淡…

夕遊
2週間前
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モダン都市東京と台湾の近現代を撮った写真家の物語。『南光』朱和之(中村加代子訳)

この小説は、台湾が日本の植民地だった時代から始まります。主人公は、裕福な客家の家に生まれ…

夕遊
3か月前
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何気ない日常が愛おしい。映画『本日公休』台湾、2023年。

舞台は台中の下町。昔ながらの理髪店を40年続ける主人公のアー・ルイ。長年のお得意さんに電話…

夕遊
4か月前
36

今年必読の1冊。『台湾のデモクラシー メディア、選挙、アメリカ』渡辺将人

今年は台湾の選挙イヤー。そのおかげか、昨年、一昨年と台湾関連の良書がたくさん出版されて、…

夕遊
7か月前
35

コミカルで切ない台湾ドラマ『一筆お祓いいたします』2023年

普通の何気ない日常とか、やさしい人間模様を描いた、ゆったりしたドラマをみたいと思って、探…

夕遊
7か月前
46

スリリングでミステリーでおいしい小説は反則『炒飯狙撃手』張國立(玉田誠訳)

狙撃手(スナイパー)のイメージといえば、孤高。人付き合い苦手。無駄なことしない。無口。ス…

夕遊
8か月前
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歩いてみたくなる古都の風景『台湾の歴史と文化』大東和重

最近、台湾について読みやすくて専門的な本が入手しやすくなりました。読者としては単純にうれしいです。そして、大東先生の本もまた、そんなすばらしい読書体験でした。サブタイトルの「6つの時代」ってなんだろう?と思いましたが、なるほどの構成です。 九州ほどの面積に、関西2府4県ほどの人口が住む台湾。このフレーズが全6章のそれぞれで繰り返されるので、日本の読者はイメージしやすいです。そして、台湾の基礎知識や、中国文化とのつながりも、だいたい繰り返されるので、興味ある章のどこから読んで

南の島の生命力と詞の世界。『雨の島』呉明益(及川茜訳)

台湾の呉明益さんの小説は、日本語訳がいくつかあります。現実とフィクション、現在と過去が行…

夕遊
9か月前
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南からみた衝突と融合の三〇〇年『越境の中国史』菊池秀明

日本に来る中国人観光客が増えても、日本人には中国と台湾、香港の区別が難しいです。ましてや…

夕遊
1年前
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台湾の伝奇ミステリー『守娘』小峱峱

表紙の美麗さに、迷うことなく入手した台湾のコミック。水墨画のようで、ちゃんとマンガだけど…

夕遊
10か月前
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知らなかった日本のタイル文化。『和製マジョリカタイル―憧れの連鎖』INAXライブミュ…

先日、台湾の彩色タイルの本を買って、ちょっとづつ楽しみながらパラパラめくって読んでいたら…

夕遊
1年前
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ポップな懐かしさ。『台湾 和製マジョリカタイルの記憶』康鍩錫

台湾の裏通りや下町を歩いていると、レトロな建物や壁、看板があって、歩きながらみているだけ…

夕遊
1年前
70

「中国」との相克の戦後史。『台湾のアイデンティティ』家永真幸

タイトルを見たときは、現代台湾事情を中心にビギナー向けにまとめた本なのかなと思いました。…

夕遊
1年前
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ダサいけど無視できない。『戦狼中国の対日工作』安田峰俊

今から50年ほど前、当時国交のなかった中国と交渉するために訪中した田中角栄は、ホテルの部屋が極端に暑がりな彼の好みぴったりの温度に調整され、彼の好きな日本の老舗のアンパンがウェルカムスイーツで置かれていたのを見て、中国側の事前情報の収集っぷりと交渉への並々ならぬ準備に、「これは大変な国に来てしまった」(≒交渉は相当手強いぞ)と言ったとか。1972年、日中国交正常化にまつわる有名なエピソードの1つです。 そういう「したたかな中国」(≒お金がないので「おもてなし」しかできなかっ