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夕遊の中国旅

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中国大陸とその周辺に関連する本や映画の話題を集めてみました。
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#映画

努力と仲間とダンスへの情熱と。映画『熱烈』中国、2023年

元気がでる映画シリーズ第2弾。ダンス(ブレイキン)は全然知りませんが、見ているだけで熱く…

夕遊
2か月前
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日露戦争に人生を狂わされた男たちの物語。映画『ゴールデンカムイ』2024年

オープニングのすさまじい二〇三高地のシーンから、主人公の杉元とアシㇼパが出会い、困難を乗…

夕遊
10か月前
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かわいい怪獣たちのハートフルな物語。映画『山海経 霊獣図鑑』中国、2022年

『山海経』(せんがいきょう)というのは、中国の大昔の本。奈良時代か、それよりももっと前に…

夕遊
1年前
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ささやかな幸せと切ない人生の物語。映画『小さき麦の花』中国、2022年。

中国西北地域の貧しい農村の中に住む馬有鉄(マー・ヨウティエ)は、両親と兄二人を亡くし、三…

夕遊
1年前
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祝!ミシェル・ヨー(楊紫瓊)第80回ゴールデン・グローブ賞

アジアのステキなお姉さまが、ハリウッドで評価されるのはうれしいです。一昨年のクロエ・ジャ…

夕遊
1年前
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黄金時代を支えたスタントマンたち。ドキュメンタリー映画『カンフースタントマン 龍…

お正月そうそう、見なければいけない映画がもりだくさんでうれしい悲鳴。私はコアなアクション…

夕遊
1年前
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突然あらわれた弟と姉の物語。映画『シスター 夏のわかれ道』

中国の一人っ子政策。やるべきときにやらなくて、やらなくてもいい時期になかなか止めることができなかった制度。先見の明があった馬寅初の進言を否定した毛沢東の負の遺産の一つは言い過ぎかもしれませんが、中国という男系の血を重視しすぎる社会の負の伝統の一つであることは確実です。 この一人っ子政策と、中国に根強い子供の売買や誘拐を素材に、誰も悪くないのに世の中の不合理に苦しめられる夫婦や母親の物語を描いた名作がピーター・チャンの『最愛の子』だったとしたら、今日見た『シスター』は中国の女

中国版ET&ハリー・ポッター。映画『宇宙から来たモーツァルト』中国、2022年。

大阪中国映画週間最終日。前日の『母への挨拶』があまりにもおもしろかったので、翌日もがんば…

夕遊
2年前
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絡み合ったケーブルが暗示するもの。映画『最愛の子』香港・中国、2014年。

この映画は、2008年に誘拐された男の子が、3年後に見つかったという実話をもとにしていま…

夕遊
2年前
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メディアが煽った戦争。『帝国日本のプロパガンダ』貴志俊彦

『ゴールデンカムイ』に石川啄木が出てきた話のとき、ちょうど国内外の新聞に写真が載せられる…

夕遊
2年前
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年とってもイケオジってすごい。『おじいちゃんはデブゴン』香港・中国、2016年

サモ・ハン・キンポーは有名で、『燃えよデブゴン』も有名ですが、実は、彼の映画は全く見たこ…

夕遊
2年前
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文化工作だった映画や小説やまんがやアニメ。『大東亜共栄圏のクールジャパン』大塚英…

第二次世界大戦のときに、映画や小説が「文化工作」――作品としての価値よりも、「宣伝」とし…

夕遊
2年前
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アンディ・ラウのアクション映画。『バーニング・ダウン 爆発都市』香港・中国、20…

『桃さんのしあわせ』、『花椒の味』など、実力派アンディ・ラウの底力を見せつけるような映画…

夕遊
2年前
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単純な好奇心が狂気へ変わっていく。映画『迫りくる嵐』中国、2017年

映画の舞台は、1年の350日が雨みたいな1997年の某地方都市。煤けた国営の製鉄工場らしい場面は、ソン・ガンホ主演の名作『殺人の追憶』(韓国・2003年)を思い出します。あの映画を見たあと、何年も怖くて夜の公園を自転車で通り抜けることができませんでした。あれは、確か韓国の1980年代が舞台。これから成長していく、韓国の闇の部分を描いた傑作です(でも、怖すぎる……) 今回の中国映画でも、経済発展していく直前の中国の重工業地域。その後、衰退していく工場で、主人公は無邪気な工場の