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歳時記と落語

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旧暦と二十四節気に基づいて、落語を紹介しています。2020年4月から語り直していきたいと思います。三代目桂米朝の『米朝ばなし』(講談社文庫)をイメージして、米朝師匠風の語り口調で…
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#お彼岸

【歳時記と落語】春分

「春分」は、大体3月20ごろです。この、春分を中日とする一週間がお彼岸ですな。 お彼岸というと、「ぼたもち」がつきもんですな。漢字で書くと「牡丹餅」です。「おはぎ」という言い方もありますが、あれは漢字で書くと「御萩」となります。 大体「ぼたもち」はこしあん、「おはぎ」は粒あんを使って作りますが、まあ大体同じもんです。「牡丹」は春の花で、「萩」は秋の花ですな。季節によって呼び名がかわるんです。夏は「夜船」、冬は「北窓」と言います。 また、米粒が残らない餅状のもんは「皆殺し」

【歳時記と落語】秋分

2020年9月22日は秋分の日です。これを中日にした七日間が秋の彼岸ですな。 つまり、秋分は「彼岸の中日」ということになります。 彼岸の入りで紹介した「天王寺詣り」、六代目笑福亭松鶴が有名ですが、その原型は五代目笑福亭松鶴のものです。 死んだ飼い犬の引導鐘を撞いてやりたいという男に連れられて、ご隠居さんが案内役でやってきます。 このご隠居さん、ホンマは彼岸の中日に参るつもりやったのに、男にせっつかれて前日に天王寺へ。 ここでは、噺に沿って実際に天王寺さんをめぐってみる

【歳時記と落語】彼岸の入り

2020年9月19日は彼岸の入りです。 秋の彼岸というと付きものが「おはぎ」ですな。ということは、萩の花の季節ということでもあります。 もう一つ、この時期になりますというと、あちらこちらの道ばたを赤く彩りますのんが「曼珠沙華」、別名「彼岸花」です。血の色のような真っ赤な花が印象的ですが、ようく見ると、枝分かれもなければ葉っぱもない、奇妙な格好をしておりますな。実は葉っぱは花が終わったあとで生えてきます。 しかし、実は〈ないないづくし〉にもう一つ無いモンがあります。それは種で