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 宙ごはん 著:町田そのこ

 いやぁ〜読むのちょっと苦しかった。最初の方は心躍る始まり方だったのに結末は残酷で切ない。でも登場人物の疑問は全て回収されていた。

 最初の方の心躍る始まり方の方はweb版での発表でその後の物語は出版に際して付け加えられたものだった。結末ありきでそのこさんは書くのだろうか。どう因数分解すれば、この始まりでこの結末を導き出せるのだろう。やっぱり天才?

 人との温もりを料理で繋ぐこのお話の主人公は宙(そら)ちゃんだ。幼少期のお絵描きでお母さんを描きましょうと言うお題が出て、ママを描くの?お母さんを描くの?と母親が二人居てどっちを描けば良いの?と悩む宙から始まるのだが、その時点でこのラストの構想があったのだろうか?読み易いわけじゃない。読み難いわけじゃない。読み進めるのが楽なわけでも無い。かと言って読んで不満があったとかそう言う事でも無い。読み応えのある芯の通った傑作だと思う。

 町田そのこさんの本は書評が書き難い。だって物語の大事な事をあらすじのように書いてしまったらこの物語が台無しになる。だから読んで良かったとしか書けないのだ。初回限定盤の本が手に入ってて、裏表紙にやっちゃんの手紙のような言葉が書かれてて胸に迫って来た。

 この物語は家族の再生、そして宙の成長を描いている。やっちゃんは宙に初めて料理を教えてくれたビストロサエキの恭弘(やすひろ)だ。宙の母は画家の花野さん育ての母は妹の風海(ふみ)さん日坂家で育った宙は卒園した時、花野の元に預けられ旧家の川瀬家で暮らす事になった。樋野崎市(ひのさきし)と言う都会でも田舎でも無い政令指定都市に隣接するごく普通の街を舞台に宙の成長を子供目線に大人の事情を分析すると言うお話になっている。川瀬家にお世話になった際に宙の食事の世話を頼んだのが花野の後輩であるやっちゃん(恭弘)だ。

 ここまでしか書けない。それから起こる数奇な物語は読んで確かめて下さい。数奇なと書きましたが悲壮感でいっぱいとかそう言う事じゃ無いんです。家族とは、親子とは愛情とはをたっぷり宙の目線から感じ取って欲しい。そんな物語になっています。だからか愛の説明を正し書きにしたような文章に、一文一文唸らされ、読むのに時間がかかりました。

 町田そのこさんは稀代のエンターテイナーですね。でも最初から最後まで母の手料理のように温かいイメージが迸(ほとばし)っています。それが町田そのこさんの文章なんです。それが好きなんです。次は何を読もうか。あと3冊で町田そのこさん読了してしまいます。

 この秋には11月に短編集が出るとか、きっと買う事でしょう。

 以上

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jed
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