すみれ荘ファミリア 著:凪良ゆう
下宿すみれ荘の管理人を務める一悟は、気心知れた入居者たちと慎ましやかな日々を送っていた。そこに芥と名乗る小説家の男が引っ越してくる。彼は幼いころ生き別れた弟のようだが、なぜか正体を明かさない。真っ直ぐで言葉を飾らない芥と時を過ごすうち、周囲の人々の秘密と思わぬ一面が露わになっていく。愛は毒か、それとも救いか。本屋大賞受賞作家が紡ぐ家族の物語。
背表紙引用しました。347ページ読了。目次は次の通りです。
プロローグ ファミリアI
たゆたえども沈まず 美寿々の告白
アンダーカレント 隼人の告白
名前のない毒 青子の告白
イマジナリー 央二の告白
不条理な天秤 母の告白
エピローグ ファミリアII
あとがき
表面張力
美寿々と隼人と青子がファミリアの下宿人です。央二が芥で生き別れた弟です。主人公の一悟は身だしなみを整え、女の子の玩具売り場で思案します。女の子の一咲(かずさ)と言う青子の妹桜子との子供の為です。しかし、プレゼントは送り返されてしまいます。元々体の弱い一悟は母の下宿すみれ荘の管理人をしてはいますが社会的に認められる仕事についた生活を送れているわけでなく、母の遅咲きの恋愛を後押しして自分がすみれ荘の管理人をやるからと母を追い出したのです。桜子は仕事と看病と子育てに追われ事故で亡くなってしまっています。だから青子の両親は働いてない一悟に一咲を任せられないと引き取ってしまいました。嫁の実家宛にプレゼントを届けるも受け取って貰えないと言う悲しい運命。一咲との縁は青子を通してかろうじて繋がってる状態です。そこに芥が現れました。一咲のプレゼントを買って帰って来る途中で自転車で事故を起こしてしまい一悟は芥と知り合い右手の骨を折ってしまいます。芥は作家だから身の回りの世話と口述筆記を頼むとすみれ荘にやって来る事になりました。
しかし、顔の涙ボクロの位置で弟の央二なんじゃないかと最初から一悟は勘づいていました。母に報告し、そして物語は住人の告白の形でラストまで向かって行くのです。
その内容は割愛します。読む楽しみはとっておきたいので。でも、凪良ゆうさん、サスペンスのような幸不幸を見事に書き分けていきます。この物語も読み易く凄い結末でした。
あとがきのあとにある表面張力は一悟と央二の事を書いたスピンオフの短編になっています。兄弟の絆を取り戻す二人には貴重なオフショットのようになっています。是非最後まで読んでみて下さい。
以上
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