塞王の楯 著:今村 翔吾
今まで出会って来た作品の中で、見まごう事なき完全なる傑作である。今まで読んだ本の中で最高傑作だった。
読むのに時間が掛かった。552ページだけど、それは装丁家さんと出版社の凄技なんであって装画の森田 舞さんと装幀の鈴木 久美さんの成せる技。直木賞ホームページには原稿用紙1,000ページにも及ぶ大作だったとある。
そして、参考文献など無い。どこまでがフィクションかわからない。まごう事なき今村 翔吾ワールドである。
初出は「小説すばる」2019年8月号〜2020年12月号、2021年3月号〜8月号に単行本にあたり、加筆、修正を行いました。とだけある。
そして2022年冬の直木賞受賞である。こちらも黒牢城と同じで出来立てホヤホヤの本だ。黒牢城のようなミステリでは無い。どこまでノンフィクションかわからないが、その歴史の造詣と語彙の多彩さ、比類なき形容、そして話の筋書きから最後まで、具(つぶさ)に読んだつもりでも、読めない箇所は多々あった。漢字一つ取り零しせずに読むには相当の教養が必要だろう。私も御多分に洩れず、全て頭に入って吟味できた訳では無いが、読後の爽快感に浸り、眠れずに書評を書いている。
帯にはこう書いてある。
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4,710字
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