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#16 猟師・編集者中村麻矢さんの「狩猟のススメ?」

企画の会社オレンジ・アンド・パートナーズでは、CROSS FMのラジオ番組「X MAGIC/クロスマジック」の中で、オレンジ社のコンセプトでもある「サプライズ&ハピネス」をテーマとしたミニコーナーをスタッフが制作・出演しています。

番組について知りたい方は「#0 カダイカイケツラジオ X MAGIC、noteはじめました」をぜひ読んでみてください。これまでの境界線をとびこえて、かけ算することでマジックは起きる!毎週土曜の夜、すこし先の未来のハピネスを考えます。

“狩猟のススメ?”

皆さんは狩猟という言葉を聞いてどういうイメージを持ちますか?ハンター、マタギ、ジビエ※などのワードが浮かび、毛皮のベストを着て少し自分とは別の世界の存在に思えることもあると思います。

※ジビエ(仏: gibier)とはフランス語であり、狩猟によって、食材として捕獲された狩猟対象の野生の鳥獣、またはその肉を指す言葉。

オレンジスタッフの僕も、銃を所持して狩猟免許を持っているのですがそれまでは先に書いたようなイメージでした。ただ、そういう感情の中に、自分もその世界を避けて通れない感覚がどこかにありました。なぜなら誰よりも食べる事が好きだから。そんな折に北海道での仕事の機会を頂き現地で生活をして風土を知る中で、よりこの場所を知りたくなり、狩猟者という立場に立つ事を選択した際、今回ご紹介する“中村麻矢ちゃん”と出会いました。

中村麻矢さんとは?

中村麻矢ちゃんは職業の枠で言うと猟師・編集者です。グルメライター時代にとあるジビエをきっかけにその蝦夷鹿肉がどこから来てるかに興味を持ち、猟師さんと出会い、取材を申し込んだが断られ・・諦めきれず自分も猟師になって取材を超えて猟師さんに弟子入りしました。

そんな彼女の話を聞いて“すごい探究心だな・・”で終わってしまう前にさらに一歩踏み込んで最初の興味はどんな興味かを聞いてみたところ、“野菜とか魚とかは天然物、自然栽培みたいなものがあるけどお肉の天然物ってそんなに身近ではないことで興味を持った”との事でした。そんなきっかけから猟師になり、今では一人で狩に出て一人で捌いて、生き物から食べ物になる過程を全て行っています。

中村麻矢さんのその先

ここまでなら“猟師の中村麻矢”ですが、彼女は猟の過程で素直に感じたり興味を持ったりする事を通して、“猟師になる事をススめる以上に、猟師に関わる人が増えてほしい”と言います。

それは、命をいただく行為を通して、ただ食べるだけでなくその過程で見逃している事や可能性を考えることを通して、更に自然の事やその獲物自身と向き合うことができて、総じて“命を紡ぐ”事に繋がると思っているのではないかと同じ狩猟に関わる人間としての意気込みを感じました。実際に彼女は狩猟を通したワークショップやイベントを通してその気持ちを具現化して探究し続けています。

・鹿の角を使ってアクセサリを作ってみたり
・皮を鞣(なめ)してプロダクトを考えてみたり
・鹿猟の環境音にバイオリ二ストの演奏を重ねるイベントをやってみたり

最近では特に老若男女問わず参加できる鹿肉を捌くワークショップを積極的に行っています。僕も何度か一緒にサポートさせてもらって、参加者たちが最初は躊躇しつつもやはり食という本能的欲求に関わることだからなのか途中から“食べることを意識する”目に変わる瞬間が見てて面白いです。

そういう風にまず狩猟に関心を持ってもらって、一人じゃなく自分以外の誰かの目線で狩猟を感じ、共有して、具現化・新しい挑戦をしていく姿勢が生き死にに関わる者として一つの大事な姿だなと尊敬しており、ご紹介させていただきました。彼女が気になる人は、是非コンタクトを取ってみてください。(Instargarm

最後に、彼女が“狩猟”に関して寄稿した《“妄想講義” “明るい未来の描き方と作り方”》 をご紹介。24人のクリエーター、経営者などが寄稿していてその中で猟師の妄想について、みんなが狩猟に関わる世界”というタイトルで中村麻矢ちゃんも寄稿しています。2024年9月30日 金風舎さんより発売されましたので気になる人は手に取ってみてください。

収録後記

僕自身が狩猟に関わったきっかけで、一番興味があったのは、自分の中で“命の差”がある事でした。北海道に行ったすぐ翌日に、生きた鶏を捌く機会があり、その時に可哀想という感情が生まれた時に“蚊を手で叩いたり魚は平気で捌くのになんで鶏には可哀想という感情が生まれるんだろう・・同じ命のはずなのに。”そして大好きな鶏肉含めその他のお肉を散々食べてるのにこの感情の違いはなんだろう。食べるのが好きな以上、生き物から食べ物に変わる過程をちゃんと知っておきたいと。
 
そして“ただ食べてるだけ”だからそんな事を思ってしまうのかなと考えたり。ライオンが狩りをして動物を食べるのは食べたい以上に生きる為だと思うので可哀想・・と言う感情はそもそも生まれないんじゃないかと思ったり。コミュニケーション無しでお金さえあれば食に簡単にアクセス出来る今だからこそ“ただ食べる”事が自分自身も未だに多いですが、そんな自分と生き物としての自分を行ったり来たりしながらこれからも食べることを続けていこうと思いました。


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