グルテンフリーのエトセトラ
こんばんは。mon_lapin777です。
最近になって日本でもよく耳にするようになった「グルテンフリー」という言葉ですが、みなさんはグルテンフリー/小麦アレルギー/グルテン不耐症の明確な違いをご存知でしょうか?
● 小麦アレルギー
小麦の摂取による抗原抗体反応(免疫反応)により、じん麻疹や下痢を生じる、食物アレルギーのことです。小麦を食べた後に運動することによって発症する、運動誘発性アレルギーもあります。
● セリアック病
小麦に含まれるグルテンによって生じた自己抗体により、自身の小腸粘膜にダメージを与える、自己免疫性疾患です。
● 非セリアック・グルテン過敏症 NCGS
上記のいずれでもなく、小麦を食べて生じる消化器症状と日常の疲労感、集中力低下がグルテンを制限することにより改善する比較的新しい病態です。英語でnon-celiac gluten sensitivity(NCGS)、日本ではグルテン過敏症、グルテン不耐症とも呼ばれています。
●グルテンフリー
グルテンを摂取しない食事方法、もしくはグルテンを含まない食品のことです。
健康志向が高いハリウッドセレブや、プロテニス選手のノバク・ジョコビッチ選手の食習慣としてその名が広まったグルテンフリーですが、そもそもグルテンフリーはグルテンの入ったものを口にするとアレルギー症状の出る人たちの体質改善が目的の食事療法でした。
ここまで見ると、グルテン不耐性=小麦アレルギー=セアリック病ではないことが分かるかと思います。
もちろん「小麦アレルギー」「セリアック」「グルテン不耐性」
上記3つのどれかに当てはまる人は「グルテン」を除去する必要がありますが、体がグルテンに反応するメカニズムや症状には違いがあります。
グルテン不耐性の人は、グルテンを消化する「酵素」がないため、グルテンを食べた際に腹痛や下痢などの消化器系の症状が現れます。
乳アレルギーではないけれど、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしてしまうという人がいますが、これも同じく「乳糖不耐性」といって乳糖に対する酵素がないことからくる症状です。
症状は一時的で軽い傾向にあるのが特徴になります。
小麦アレルギーのような命に関わる症状や、セリアック病のような長期的なダメージはありませんが、グルテンが除去対象であることに変わりはありません。
一方、セリアックはグルテンに対して異常な「免疫」反応が起きる、「自己免疫疾患」です。
セリアック患者の免疫システムは一部故障しているため、「グルテン」が体内に侵入することで免疫が暴走します。
免疫システムの攻撃対象は「グルテン」ではなく自身の体。
小腸のダメージ以外にも、頭痛や皮膚疾患など症状は多岐にわたり、一説には200以上の症状があるとも言われています。
症状があまりにも多いため診断されるのがむずかしく、正しい診断にたどり着くまでに平均で10年かかるとの報告も。
欧米人の罹患率1%と比べると、日本人がセリアックになる確率は0.05%と低いため、珍しい病気と考えられています。
小麦アレルギーは、グルテンに対して免疫機能が過剰に反応する「免疫異常」です。
免疫システムは体に害となるものを排除する役目を持っていますが、小麦アレルギーの人の免疫システムは、グルテンを「排除しなければいけない外敵」として認識しています。
グルテンを体から排出しようとする際に、炎症性の「ヒスタミン」という物質が体の中で放出され、じんましんや腹痛、呼吸困難などの急性症状が現れます。
攻撃対象がグルテンに限られるため症状の数は少ないですが、症状が現れる時間は数秒から数時間と比較的短いのが特徴です。
しかし、私のように即時型と遅延型を同時に併発する患者さんや、遅延型だけを発症する患者さんもいるため、食べてすぐに症状が出ないからといってアレルギーではないと言い切るのは危険です。
私自身、地元の皮膚科で行った血液検査ではアレルギー反応が出ず、大学病院での皮膚プリックテストでも反応なし、3度目の正直でした皮内テストでようやくアレルギー反応が出た(稀な?)ケースでした。
このように、自覚症状はあるものの検査をしても反応がない人や、せっかく病院に行ったのに"気のせいだ"と言い捨てられてしまう人が沢山いるのが現状です。
そんな時に、一番簡単に始められるのがグルテンフリーなのではないかと思っています。
何を食べ、何を食べないのか、自分の体に取り入れるものを自分で選ぶ
そんな時代だからこそグルテンフリーをもっと身近に感じてもらえる場を提供できたらと考えています。
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