未来記念特集号 自選十首
ふと晴れて汽笛きこゆる原子的生物の顔が電車を降りる
キャンプとは幻想である。沿岸の露店で父はランタンを買う
少年が見てる大陸「いやだ」って言えばわたしもそうなるのだろ
ミツバチの来訪待てど日は長く同じ速度で露は落ちるか
なすり付け合い笑む穂つぶさまで知ってほしいと言いたくて止まず
今君の気分じゃなくって腹立たし白浜にそっと銀の矢立たせ
クレマチスの交配知らぬ人々の雨かと思い君を見上げる
とりあえず食うこともあるトーストにばらばらと色塗りたくりつつ
地に沈むずっしり重たき身をかばい立って眠れる四脚の獣
日が差せば留まらさらめ藻のごとく病む兄がいてそのドレープの
ありがとうございます。自分の短歌読んでいるときは反省しかないです。ぴったりと、考えとはまって、それが他人にも上手く伝わったのではと思えるものはごくわずかです。それから、ジャンキーのように作っては投げ、考えにはまっては焦り、のループが始まってしまう私であった。
(おまけ)短歌研究新人賞で佳作で取っていただいた2首
大雨は流れ水無月目を覚ます信号機前かもめがひらり
とりあえず食うこともあるトーストにばらばらと色塗りたくりつつ
一首目は最初「最悪の後でも日々は続く信号機前をかもめが飛んでくる」二首目は「人真似のテレビのとりどりの色をとりあえず見る私」のような歌でした。どちらも初めと改作で随分と変わってしまった歌だったので、取っていただいたのがなんだか不思議な気分でした。ありがとうございました。これを励みに頑張ります。
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ポエム、詩、短歌などを作ります。
最近歴史に興味があります。