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家ラーメンを極めるしか、あのラーメンを食べる方法が思いつかない。
ラーメンをお腹いっぱい食べたい。ニンニクのたっぷり入った餃子も頼もう。心ゆくまで食べて、お腹を壊してしまいたい。
ラーメン好きの、そこのあなた!!
きっとあなたも同じ気持ちだろう。ぜひ、おすすめのラーメンを教えてほしい。私の好きなラーメンについてはこれからお話しするので、少しお付き合いいただけると嬉しい。
数年前まではラーメンが苦手でした。
好きなラーメンの紹介とか言っておきながら、実のところ私はラーメンを好きになってからまだ2年も経っていない。
「何たべよっか?」という話し合いの場で、私の手持ちのカードの中にラーメンはなかったのです。相手がラーメンと言うカードを出される前に、「今日は麺じゃないものにする?」とか「さっぱりしたもんが食べたいなぁ。」などと言っていた。まぁ、でも中にはラーメンというカードしか持っていない人もいますからね。というか、状況がそうさせる場合も。寒い冬の夜は、ラーメンかおでんでしょうよ。
相手の押しに負けて向かうはラーメン店。
私が頼むのは、ビールと餃子です。
「ラーメンを食べに行こう」とラーメン屋に行っているのに気まずくないのか。気まずい。めちゃくちゃに気まずいとも。
「空気を読め!」
そう言いたくもなるだろう。
「ラーメンがまずくなる!」
ごもっともかもしれない。
でも、苦手なものは苦手なのだから仕方がない。
ここでちょっと言い訳をしたいのだけど、押しに負けてラーメンを食べに行く間柄って、私にとってはそれなりの仲なんですよ。そもそも、ご飯をいっしょに食べに行ける人が世間一般のそれよりだいぶ少ない。つまり、それだけ限られた間柄の人であれば、私は何度か言ってるはずなんです。
「ラーメンってあんまり好きじゃないんだよね」って。
だから、できることなら思い出してほしい。というか、まずは覚えてくれまいかと願う。まぁ、それでも「ここは気に入ると思う」と脳がすでにラーメンモードになっている連れに言われるわけなのだけど。そんなわけで、完敗なんだよなぁ、こりゃあ。失礼しました。
ラーメン好きに言わせれば、私は人生の半分を損して生きてきた。
ラーメン店に行ってラーメンを食べないなんて、登山に誘われ登山靴まで用意までしたのに、登山口ちかくの売店で待っているようなもんだ。
勿体ない。わかっている。でも、好き嫌いも価値観も人それぞれだ。ラーメンだって店によって十人十色なはず。同じ系列でも店主によって味が変わったりするって言うじゃないか。そもそも、私はラーメンを食べなくたって幸せだ。
私がラーメンを食べに行かなかった理由は、二つある。
一つは、何てことはない。
流行っているラーメンに、魅力を感じなかったのだ。
月に1回です行こうと思わなかった。年1回くらいなら押しに負けて行ってもいいかな……という場所、それがラーメン店だった。
反感を買うことを承知で言うが、私はそもそも豚骨の匂いが得意ではない。食べられなくはないが、すすんで食べようとは思わない。豚骨で思い出したが、めちゃくちゃに流行り倒していた(綿崎調べ)家系ラーメンってのがある。
あの家系の、麺が見えないほど山盛りの野菜。あれを食べたいなんて、まったく思わなかった。あの油で光り輝く山盛りの野菜を食べ終わるころには、麺がのびていたりしないのだろうか。あのラーメンの食べ方にもきっと流儀のようなものが存在するのだろう。でなきゃおかしい。
……と思って調べたら本当にあった!その名も“天地返し”と言うらしい。箸とレンゲで、麺と野菜をひっくり返すそうな。これ、失敗したらめちゃくちゃに怒られそうだ。そして、私は確実に失敗する自信がある。尚更こわくて行けないや。
ラーメン好きの中でも、人それぞれ推しラーメンは違う。だから、この一つ目の理由に関しては「豚骨苦手な人いるよね」「あの山盛りは、好み分かれるね」などとご理解いただけるのではないだろうか。問題はもう一つの理由だ。
一人前が多すぎる。半ラーメンはないのか。
うんうん。あなたの反応は、だいたい予想ができる。と言うか、今までに何度も言われたことがあるので、きっとあなたもそうだろうという決めつけではあるのだが。一呼吸おいて、「は?」ではないだろうか。
これはラーメンに限った話ではないのだけど、私は食べるのがめちゃくちゃに遅い。遅いくせに(遅いが故に、なのだと最近は思うけど)食べきれない。これまた厄介。身長が150センチ程度なことが関係するかどうかはさておき、食が細い。でも、すぐにお腹がなる。少しずつ、一日5回とかに分けて食べると調子がいい気がする。もしかしたら胃が小さいのかもしれない。
食べきれるかどうかは別として、速さはどうにか出来ないものか?何度かそうやって努力を試みたのだが、無理だった。
ゆっくり噛んでゆっくり食べた方が健康に良いから、では無い。ラーメンは熱いのだ。めちゃくちゃに熱い。
どうしてあんなに熱いものを5分やそこらで食べきれるのか、私は未だに不思議でならない。フードファイターか何かなのだろうか。もしくは我慢大会なのかもしれない。料理が運ばれて「さぁ食べよう」のスタート段階で、私は棄権することになる。
お気づきの人も多いかもしれないが、私は極度の猫舌だ。ラーメン好きは、完成直後のラーメンをはふはふしながら食べるのが好きだろうが、猫舌にとっては狂気の沙汰だ。あり得ない。喉元過ぎたって、熱いものはずっと熱い。きっと激熱ファイターたちとは、舌だけじゃなくて食道含めて体の部品が違っているのだと思う。
これから猫舌代表として私がラーメンを食べる様子をお伝えする。ラーメンの良さを台無しにしていることは自覚しているので、その様子にイライラしそうな人は読み飛ばすかそっとページからフェイドアウトすることを先に推奨させていただく。
いいですか?言いましたからね。
まず、箸で数本だけつまむ。ここでの注意を怠ってはならない。量が多いと内側になった麺が冷めづらく、口に含んだタイミングで猛威を振るわれる危険があるからだ。つまんだら、どんぶりから20cmほど引き上げて冷ます。この時点で私の周りには、他者との境界線が見え始める。
湯気をかき分けて、冷まして冷まして冷ます。麺を唇に当てて温度をチェックし、そうしてやっと口の中に麺を運ぶ。もちろん、この時点ではまだ麺の先端が汁に浸っている。当たり前だが、浸っている部分はべらぼうに熱い。一気にすするのは危険を伴うので、くわえたまま冷ますか、噛み切る。
やっと一口だ。これを、何度も何度も繰り返して食べる。
私がそんな調子でラーメンとの格闘を繰り広げている横で、連れは5分と経たないうちに空っぽの器を前に満足そうに笑っている。この時点で、食べ終えし者と私の間にくっきりとした境界線が引かれる。改めて自分の器を見ると、減っていないどころか増えたようにも見えてくる。実際、増えているのだと思う。
汁が絡みつくようなタイプのラーメンは、なかなか冷めてもくれない。その上、時間がたてば麺はのびる。そんなことは、給食でソフト麺(懐かしい)を食べていた頃から知っている。汁を吸った麺は、見ているだけでお腹まで膨らんでいる気分になるから不思議だ。連れを待たせている状況がまた、胃を縮ませてくる。
半チャーハンがあるんだから、半ラーメンって出来ないもんですかね??
一つ断っておくと、ラーメンを全く食べないわけではない。家で母が作るラーメンは好きだった。だけど、家で食べるラーメンとラーメン店のラーメンって全くの別物で。ラーメン店のラーメンからしたら、家で食べるラーメンなんてラーメンじゃないとすら思っていた。餅は餅屋、ラーメンはラーメン店なのだ。
ラーメンがゲシュタルト崩壊してきたが、引き続きラーメンの話を続ける。
ラーメン店のラーメンに限って言えば、中学生の頃に家族で行って食べたのが最後だ。その時だって、ラーメンを食べたかは怪しいものでレバニラ定食かなんかを食べていた記憶がほとんどだ。ラーメン……いつだ、最後に食べたのは。定かではないが、どんなに近くとも20年近く前が最後ということだ。いや、最後だった。
ここ1年で、好きなラーメン屋がいくつかできた。私史上最強のドストライク男の彼が、バイクに乗せて連れて行ってくれた都内のラーメン店だ。
最初は正直、全く乗り気じゃなかった。私にとっては約20年間、年に1度だけ押しにまけて食べにいくのがラーメン店だったのだから。しかも、バイクで行くから飲めないし(飲むなら一緒に派)、どうやらラーメンしかメニューがないと言う。
「味噌かぁ、……んー」
なんていつもの如く渋っていたら
「あ、鶏もいいなぁ」
と、屈託ない笑顔で言われた。
めちゃくちゃ寒かった冬の日、彼のその日持っているカードはラーメンしかなかった。
緊張が走る。
私に対してどんなときもストライクボールを投げてきていた彼が、いきなりのデッドボールだ。悪送球にもほどがある。そう言えば、ラーメンの話なんてしないままにこんな関係になっちゃいましたっけね……なんて気付いたって、時すでに遅し。
私は、デッドボールによって塁に進むことになった。味噌を選択し、バイクに乗る。出発だ。夜中の道路は空いていて、風がビュービューと耳元でうるさい。ラーメンに向かってバイクは軽快に飛ばしているというのに、私がまとったよどんだ空気は去ってはくれない。
ラーメンに誘う人ってのは、たいがいが5分で食べる側の人間だ(綿崎調べ)。気まずい空気の中で数本ずつつまんで冷まして食べるのか……。
猫舌が奇跡的に!いま!この瞬間!治ったりしないかしらねぇ!?15分ほどでラーメン店についた頃には、良くも悪くも開き直っていた。夜中の変なテンションもあって、もう何でも来いって気分。
店主の前と窓側にカウンターがあるラーメン店だった。全部で10席ほど。先客は食べている人が1人、提供待ちをしている人が2人。購入した食券を店主に渡し、麺の太さを伝える。
彼「ふとめで」
私「……?!ふっ!ふとめで!」
麺の太さなんて考えたことがなかった。こういうときは先人に倣うに限る。私たちは窓側のカウンターに座った。体は冷え切っているが、ラーメンとの格闘に備えてネックウォーマーだけは外す。
すでに注文済みだった先客2人の後に彼、そして私のラーメンが運ばれた。よし、いざ勝負。
下から麺をすくい上げて冷ます。冬の寒さのせいか湯気が増し増しで前が見えない。「まだ早い!」という脳内ねこの声を振り払って口に入れる。
ウ……ウマイ!!?
めちゃくちゃ熱いけど、べらぼうにウマイ!!しかし熱いッ!!が、ウマイ!!!!これだよ、これ!!味噌ラーメンってこういうのだ!!!!ネギも!!!!!!私の好きな辛いやつ!!!チャーシューも脂身が少なくて好みだ。
このラーメンは間違いなくホームランだ。
どうやら私が苦手だったのは、たくさんあるラーメンの中の一部だったようだ。カロリー増し増しの暴力的な顔したラーメン。カロリーとボリュームの仁王なのかな?みたいなラーメン。
私が30過ぎるまでにラーメン屋で出会ったのは、その全てが仁王ラーメンだった。何てことない一つ目の理由こそが根源だった。猫舌や食べるスピードは、変えようがない。彼が許してくれるのだから、もう気にすることはないのだ。私も、私を許すことにした。
改めて調べてみたら、ラーメンはものすごい種類がある。さっぱり系も山ほど沢山。なんでこういうラーメン屋に学生時代に出会えなかったのだろうか。
人生の早い段階でラーメンに対する固定概念を作っていたのは私だけど、よくもまぁこんなに避けて生きてこれたもんだ。気付かぬうちに食わず嫌いになっていた。
美味しいラーメンが外で食べられることを知った私は、やっぱり人生の半分を損して生きてきたのだと思う。損は取り返さねばならないだろう。
あれから1年半。自ら「今日はラーメン食べに行く?」なんて、34歳になるまで言ったことのなかったセリフまで言えるようになった。年1ですら渋っていた私は、週1でラーメンが食べたい女に変貌をとげたのだ。
そこに、空前絶後のコロナである。
この1か月半、外出自粛の生活で不足していたのは何よりもラーメンだ。もっと他にあるかもしれないけど、いまの私にとってはラーメンだ。腹いっぱいラーメンが食べたい。
緊急事態は解除されたいま、ラーメン欲は増し増しだ。ラーメンについて、ここまで5000字も書いてしまったことが何よりの証拠だろう。猫舌の食べ方らへんで、すでに口の中がラーメン受け入れ態勢に入っていた。
しかし、まだ浮かれてはならないのだ。ハンドソープはまだ品切れしているし、マスクの価格は上がったままなのである。おいおい、コロナがなかったら手を洗わなかったとでも言うのか?そうではないことを祈るばかりである。花粉用に買っていたマスクももうすぐ無くなりそうだ。
そんなわけで、私の生活に店ラーメンを取り戻すまでには、まだ時間がかかる。これを機に、家ラーメンに挑戦してみようかと思っている。市販されているラーメンへのたし算からチャレンジして、ネット上のレシピも参考にしながら最終的には自分なりのかけ算に辿り着きたい。家ラーメンが完成したら、またnoteに書き残すことにする。
あなたの好きなラーメンはどんなラーメンですか。
私は、あの味噌ラーメンが恋しい。
ひとまず、今日は麺を買って帰ります。
注:ヘッダーの画像にするちょうどよい画像がなかったので、うまそうなラーメンにしてみました。食べたことがないのでわかりません。念願叶って店ラーメンをしたら差し替えます。いや!家ラーメンが完成したら替え玉しやしょう。
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