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ファーザー

アンソニーホプキンスが認知症の老人を演じている、という予備知識だけで観賞。評判が良いのも前々から知っていたので。

これは感動系のファミリードラマなのか?いや、サスペンス?SF?結果どれにも当てはまらない全く新しい物語だった。ある意味サスペンスだったけど。主人公が認知症や記憶喪失の作品は沢山あると思うけど、本作は視点が面白い。アンソニーホプキンスの演技も本当に素晴らしかった。

私は歯科衛生士として歯科医院に勤務しているが、認知症の患者さんとの関わりは日常茶飯事だ。まだ診断されていなくても『予備軍』だと気付く事があれば、家族よりも先に認知症だと気付く場合もある。どんな風に進行し、どういう姿になっていくかを常日頃見ている。何十年も前の事は覚えてるけど、今さっき事は分からない。診療室の出口が分からない。口のゆすぎ方が分からない。椅子の座り方が分からない。毎月入れ歯を無くしてしまう。患者さんだけでなく院長もその気があるからビクビクしているところだ…。

こういったリアルな経験があるからか、認知症の人間の演習に納得のいかない部分があちらこちらにあって引っかかりながら観ていたところもある。でもまぁ映画なんだし、フィクションなわけだし、と気にしないようにはしていたんだけど、最後の最後、アンソニーホプキンス演じるアンソニーの台詞に1番納得がいかず、結果あまり楽しめなかった。決め台詞で冷めてしまったという…ちょっと綺麗にまとまり過ぎていたかな。と思うと同時に、広い心で受け止めて楽しめる自分になりたいとも思った。

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