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フレンチアルプスで起きたこと

とある4人家族が休暇で訪れたリゾート地でのお話。普段の日常生活にある、気にするほどでもないちょっとした違和感みたいなもの。どの夫婦にも、どの家族にもあって当然。それと共に生きて行くものだとすら思う。そんな小さなしこりがこの雪山で爆発的に大きくなってしまい、無視できないものへとなって行く…。

本作もリューベン・オストルンド監督らしいブラックユーモアが炸裂した非常に気まずくて面白い作品だった。ザ・スクエアは全然楽しめなかったけど、逆転のトライアングル並みに面白かった。好き。

4人家族の会話内容の濃淡や量のリアルさに感心。会話の切り取り方がとても上手な監督さんだ。逆に、会話がなく何も起こらない地味なシーンの撮り方も上手で、無心でずっと観ていられる。本作はスキーをしているシーンや雪景色のシーンがとても長い。常に画面が真っ白。それでも飽きずに観ていられるのが不思議。

オストルンド監督作品に共通した"なんか不快な音"も本作は特に輝いている。その中でもヴィヴァルディ『四季』の『夏』の使い方よ…この映画のために作られたんではないかと思うくらい絶妙にマッチしている。冬なのに。繰り返し流れるが全然くどくない。あとは子供達が呼ぶ「パパ!」の声。あれは故意的ではないかもしれないけど、なんか凄く耳障り。笑

終わり方も変だったなぁ。帰りのバスのくだりは何故組み込んだのか分からないし何が言いたいのかも全く分からないけど、凄く面白い。

人の不幸は蜜の味って言葉はあまり好きじゃないけど、オストルンド作品って正に人の不幸を美味しく味わえる映画だなと思う。フィクションだからこれからも遠慮なく存分に味わわせてもらいたいと思う。

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