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パラレルワールド終わりと始まり
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Xにおける情報拡散力には、フォロー数とフォロワー数の割合が重要らしい。アカウントスコアやFF比率というものだ。
フォロー数÷フォロワー数 ≦ 0.6
アカウントスコアが0.6以下になると、信頼性が高まるという話。拡散力があるか否かの判断材料になる。というより、Xのアルゴリズムによって、表示するか否か判断されるらしいのだ。
現在、私がライター用に使用しているアカウントのアカウントスコアを計算してみたところ、ピッチャーゴロくらいの感じでアウトだった。
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だからフォロワー数の割にインプレッション数が少ないのかと、合点承知の助の納得具合だった。断っておくが、特別目立ちたいわけではない。基本的に陰キャなので、ひっそり暮らしたい。一方で、できることなら0.6以下に抑えたい自分も居て、矛盾を感じ、もやもやしてしまう。
もやもやはよろしくない。もやもやがもわもわになり、もふもふになってしまうかもしれない。
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このもやもやも、何らかの対策をすれば少しはスッキリするだろうか……
しかし、フォロー数を増やさずにフォロワー数だけを増やすのは簡単なことではない。どう考えても、フォロー数を減らす方が簡単だ。
「解除!解除!これでもか!これでもか!」
と、パワハラ上司に嫌がらせをするかの如く、妄想しながらポチポチすれば良いだけなのだから。
とはいえ、いきなりフォローを外すのは相手に失礼ではなかろうか。これまたもやもや案件だ。どっちに転んでも、もやもやがつきまとうのかもしれない。
どうしたものか。
とりあえず、フォローを外しても問題なさそうな人がいないか確認してみることにした。
あっ、結構いるやん。
何でこの人をフォローしたんやろ?
フォローした当時は重要な情報ソースだったが、現在はまったく必要のないアカウントも多かった。ポチポチと、次々にフォローを解除していく。相手先はフォローされていないため、誰にも気づかれることはないだろう。
とは言え、何百人も減らせるわけではない。しかたがない、一番下から順に確認するか……
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確認して初めて気がついた。
Twitter(現X)を始めた当初にフォローした人の約半数はすでに更新していないようだった。最新の投稿が1年前であったり、2年前であったりという感じだ。
当時Webライターやブロガーと名乗っていた人たちは、いったいどこへ行ってしまったのだろうか……
考えても無駄なので、サクサクとフォローを外していった。「サクサクしょうゆアーモンド」並のサクサク具合で作業が進む。
このペースなら、すぐに0.6以下にできそうだ。更新されないアカウントなら、遠慮なくフォローを外せる。これは盲点だった。おそらく相手にも気づかれない。
個人だけでなく、企業風のアカウントでも更新されていないものもある。継続の難しさを再認識できた。
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フォローしている人のなかには、最近まったく見かけない人が多数存在する。発信されていないものだと思っていたが、そうでない人もいるようだ。
あれ?
Cさん🦈、Xやめてなかった……
しかも、ほとんど毎日投稿してるやん。
Cさん🦈にはとても有益な書籍を紹介していただき、感謝している。1年間取り組み続けることができたので、報告しようと思っていたところだった。
しかし、全然見かけないから、Xをやめてしまったのだと思い込んでいた。お互いにイイネも押さなければコメントもしない。私からCさんが見えていないように、おそらくCさんからも私が見えていないのだろう。
「好きの反対は嫌いじゃなくて、無関心だよ」と銀色夏生さんも書いていた気がする。無関心なのだろうか。いや、少なくとも私は無関心ではなかった。
では、どうして表示されないのだろうか?
パラレルワールド!!
これがまさにパラレルワールドなのではないだろうか。お互いが確実に存在するにもかかわらず、決して交わることがない。X上では、そんなことが有り得るらしい。
あるとき、突然消えてしまうのだ。たとえば、仲間と一緒に祭に参加した際、そのなかの一人が忽然と消えてしまうこともあるかもしれない。
それは、学生時代に同じ英会話スクールに通っていた6人組の物語だった。
森見登美彦著【夜行】
6人のなかの一人が消た10年後、残りの5人が集まったところから物語が動き出す。
物語のカギとなるのは、ある画家の銅版画だった。5人それぞれが、銅版画『夜行』を見たことがあると言う。『夜行』は48枚の連作で、5人それぞれが別々のところで見て、不思議な体験をしていたのだ。
それぞれの不思議な体験を一人ずつ話していくことで、物語が進められていく。短編小説のような形態だが、一つひとつの物語は決して完結するわけではない。
物語の途中で『夜行』と対比する『曙光』という作品があると明かされる。
「夜行」が永遠の夜を描いた作品であるとすれば、「曙光」はただ一度きりの朝を描いた作品だ。
しかし、『曙光』はどこにも無い。
まさに、パラレルワールド。
それぞれの物語と『曙光』については最後に回収され、ある程度スッキリするというシステムになっている。ただし、いくつかの矛盾点もあるため、細かい点が気になる人には、もやもや感やもふもふ感が残るかもしれない。
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ジャンルとしてはホラーだと思うが、「怖い」よりも「不思議」の要素が強い。「世にも奇妙な物語」をイメージしていただければよいだろう。
一人ひとりの物語は展開が気になり、夢中になって読んでしまった。文体も読みやすいので、「ホラー嫌い」「文学嫌い」の人にもおすすめしたい作品だ。
『夜行』は2017年本屋大賞の第8位に輝いた作品。私の感覚では、本屋大賞は裏切らない。今回も裏切られることはなかった。
2024年本屋大賞を受賞した『成瀬は天下を取りにいく』作者の宮島さんが影響を受けた作品と聞き、納得できた。なるほど。ホラー部分でなく、5人のストーリーがつながっていく感じがよく似ている。
ところで、今回どうして『夜行』を読んだのかというと、YouTubeで森見登美彦氏の小説をいくつも紹介している人が居たからだ。
ただし、『夜行』を買ってからその人のYouTubeを見たところ、
「最初に読む森見登美彦氏の書籍として『夜行』はおすすめできない」
と話されていた。
完全なる失敗である!
世界はつねに夜なのよ。
完全なる魔境の夜に取り巻かれてしまったようだ。森見登美彦氏の違う書籍も読んでみたくなった。
これからCさん🦈の居るパラレルワールドXに行ってみようかと思う。「イイネ👍」を押せば、あちらの世界とこちらの世界がつながるかもしれない。
曙が訪れることを期待しよう。
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