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諸行無常の響きあり
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。 沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。驕れるものは、久しからず~
昔に習った平家物語の冒頭です。
最近、リアル平家物語を、目の当たりにいたしました。
ある、医師の話。
見た目にハンサムで、患者さんからも非常に慕われている先生なのですが・・・ 職場内では超パワハラ。パワハラ内容については、公開したくもないですが・・・。ひとつだけ。
「医者が、カラスが白いといったら、白いんじゃ、お前らは、白いと言え」
と言ってくる。
本来、カラスはどう見ても黒く、よく観察すると、青く光っている部分も一部ある。ちょっと勘違いして、カラスは濃紺、青紫っぽく見えるといっても、はい、そうですよね。と言ってもよいが・・・ カラスが白いものだとはとても言えない。
『白いカラス』という洋画もあったようだが、こちらも大学教授が辞任に追い込まれてしまうストーリー。
この医師は、職場の同僚からは、敬遠されていても、患者さんたちからは、非常に慕われ受けもよい。だから評判も非常に良い。なので、どんどん職場内での地位があがっていく。そして、いよいよ組織内での大ボスになろうとしていた。
一方で、その医師をサポートする立場の保健師や看護師、そして医師までもが勤務を継続できない。あまりの言動のひどさに、傷つき、耐えられずに辞めていく状況が続いた。辞めた人たちでネットワークができちゃってるレベルだ。
「いったい、経営層は何をみているのだろうか。」
私も心理学、認知科学をそれなりに勉強してきた。これだけパワハラが社会問題化している世の中で、パワハラの張本人が、どうして権力を握っていく構図になるのだろうか、不思議でならなかった。
あたかも山崎豊子の『白い巨塔』のような展開がおこった。
戦後の高度経済成長期におこる出来事なら、まだ理解ができそうなものだが・・・・・
歴史は繰り返すとは、まさにこのこと。人間は、進化したように見えてなかなか進化していない。
そして、この度いよいよ、パワハラ医師はこの年末、退職となった。
パワハラ問題がやっと露呈したのだ。
大ボスに就任できた矢先の退職となった。
何故、これほどまでにパワハラをする人が権力をもってしまうことになったのか。私なりの見解を理由を3つ挙げてみる。
①それなりにハンサムな医師だったから。見栄えのいいひとは良い人、的な認知の歪みが世の中に出来てるということ。改めて認知を再確認する必要があるように思う。ハロー効果とでも言うべきか。
ハロー効果とは、目立つ特徴によって評価が歪められる現象のこと。ひとつの特徴を「良い」と判断すると、無意識のうちにほかの特徴や行動を好ましいと感じる心理的傾向のことを指す。
②そもそも、医療職は、医師の指示に従うように教育をうける。その大前提をまずは崩さないかぎり、なかなか医療現場の闇は露呈しない。
③権力者にぶら下がり、同じようにおいしい思いをしたがる人たちが群がっていくから。
パワハラ傾向の人はイエスマンが好きで、自分の機嫌を取ってくれる人を周りに置きたがる。それによって、ますます本人が自分を見えなくしていくのだ。「おっしゃる通り、カラスは白いです!」って、言ってくれるひとに囲まれていくから。
驕れるものは、久しからず~
ただ春の夜の夢のごとし
この師走、改めで思うのでした。